七種茨短編
漣ジュン
名前
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-「一緒の布団で寝た仲でしょ?」
コズプロ事務員の彼女の発言に驚かされたのはジュン以外のEdenの面々である。ESビル内で行きずりに出会ったその人物こそ、二つ歳上のジュンの幼馴染み名前だったのだ。中学卒業以降疎遠になっており久しぶりの再会だった故に「ジュンくんだ!可愛いなぁ」と抱きつかれ、冒頭の台詞が飛び出し、ジュンは慌てて反論する。「それ、ガキの頃のお昼寝の話でしょう」と呆れたように息をつきながらも、昔より綺麗になった彼女を相手にして変に緊張感が募る。
「ジュンくんが可愛い?」
「うん。昔のジュンくんはもっと可愛かったけどね」
「名前姉。男に可愛いは褒め言葉じゃないんすけど」
ジュンにとっては憧れの存在だったが、名前から見たジュンは弟のような存在なので、どうしても可愛いと思ってしまうし言葉にしてしまうのだ。一方のジュンは数年ぶりに再会した幼馴染みにどう接したらいいか。と考えあぐねていたのだが、ある日エレベーターの中で二人きりになった女性こそ名前で。彼女も今から帰るのだろうと見てとれた。だが、彼は話しかけようと開いた口を閉じた。瞳が涙で滲んでいるように見えたからだ。しかし…それは見間違いではなかった。彼女の目元に慌ててハンカチを当てながら彼は訊ねる。聞いていいことなのか…という躊躇いはあったが、ぎゅうっと抱きつかれて困惑した。いい匂いが鼻を掠める。エレベーターが開き物陰に隠れた刹那、彼女が口を開く。
「ジュンくん、ごめ…っ。その…っ、彼氏に…っ」
彼氏に振られた。最後まで聞かなくても推測出来た。涙を拭いながら嗚咽を漏らす彼女を連れて、ジュンはそのまま歩き出す。彼が向かう先は隠れ家のようなバーで。知り合いがやっているバーで、人目を避けるにはうってつけの場所だった。カウンターに腰かけ、カクテルを煽りながら、ぽつりぽつりと彼女が呟く。二年付き合っていた彼氏に許嫁がいたこと、その相手と結婚するから別れてほしいと言われたこと。ジュンは話を聞いていて沸々と怒りが湧き上がってきた。それと同時に、今なら付け入る隙もあるのでは?なんて思ってしまうのも事実。
「ねぇ、ジュンくん。慰めてよ」
「相応の慰め方ってあるでしょ?」と、どう考えても誘っているようにしか思えない。だからこそ、ほろ酔いの彼女の手を引いてホテルに入ったのだ。酔っている相手に手を出すなんて…という理性は、名前に抱きつかれてキスをされて砂のように崩れていく。彼女を掻き抱いて、舌で唇を割り濃厚な口付けをする。服を脱がし、胸に触れると彼女がぴくりと身体を震わせ、笑った。「ジュンくん肉食系なんだね」と。憧れの名前の身体は色欲を煽るものでしかなく、ホックを外し、彼がその先端に吸い付く。舌で愛撫しながら交互に両方の胸を攻められた彼女は甘い嬌声を漏らし、ジュンの名を呼ぶ。彼にとってはその声さえ愛おしかった。
「ジュンく…っ。やだァ…っ」
「慰めろって、名前姉が…っ言ったんでしょう」
「アァ…っ。それ、らめェ…っジュンく…っ」
濡れそぼったそこにジュンの男根が挿入し、ガツガツと腰を動かすと彼女は身を捩らせて感じている。ずっとこうして抱いてみたかった。名前のことを手に入れたかった。その欲望を現すように律動が激しくなり、愛液が溢れる程に濡れていく。可愛いジュンを誘惑し、今いけないことをしている。と背徳に苛まれる彼女だが、自分を抱いている一人の男は今まで可愛がっていた可愛い弟ではないのだと実感していた。ジュンと繋がっている。彼の雄に突かれて、どうしようもなく下腹部が疼いた。
「ア…っ。もう、イっちゃう…っ」
「ほら…っ。イっていいっすよ」
「ふ、ァ…っ。それ…っ、やァ、ンン…っ」
酔いも覚めてベッド上の有り様を自覚した彼女はジュンと目が合うと恥ずかしげに微笑んだ。「ジュンくん意外とスケベだよね」と挑発するように告げると、彼女の頬を包み込んで顔を近付ける彼と唇が重なり合った。「名前姉のほうがスケベなんじゃないっすかねぇ?」と、唇を離したジュンが悪戯っぽく微笑む。
「名前姉みたいないい女手放すなんて信じられませんよ。俺だったら…」
「俺だったら?」
「絶対手放さないのに…なんて」
END