七種茨短編
漣ジュン
名前
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ー「筋肉馬鹿も大概にするべきだね!名前だって、ムキムキで暑苦しいジュンくんよりもぼくのほうがいい筈だね!」
恋人であるジュンよりも、日和が好きなんてことはない。抱き着いた時に、鍛えられているジュンの胸板を感じるとドキドキする。それは本当だが、日和の言ったことも否定しきれない。と、名前は湯船に浸かりなからぼんやりと水面を見つめて考えていた。あの時もEveの彼らはいつも通り言い合っていた。自らの頬を摘む彼女は、近頃無駄な肉が付いてしまったと落ち込んでいた。腹にも余計な贅肉が付いているような気がする。胸だけが大きくなればいいのに…と思うが、そんな都合のいいようにはいかなかった。筋トレに励んでおり、逞しい肉体のジュンと違い、自分は太ってしまったと…彼女は人知れずダイエットの決心をしたのだった。
―「ジュンくんから見ても、私って太ったと思うよね?」
お家デートとして名前の家に招かれたジュンが部屋で待っていれば、上はキャミソールで、下はショートパンツという露出が多すぎる格好の彼女が戻ってきた。先程はパーカーを羽織っていた筈だが、「今日は暑いから」と脱いでしまったようだ。そして、彼女の唐突な問いかけに戻る。セミダブルサイズのベッドの上、隣に座り凭れかかってきた彼女は「どうなの?」というようにジュンを見つめる。付き合ってから、まだキスだって数える程度しかしていない。それなのに、こんなに密着されたら心が揺らいでしまう。と、ジュンは己の理性と闘いつつも返答をする。「そんなに変わらないと思いますけどねぇ。おひいさんだって、アイドルなのにお腹ぷよぷよっすよ」と。
「変わらなくないよ。太ったのは事実だもん。それに…ジュンくんは、もっとスマートな女の子のほうが好きなんじゃない?」
見た目はさほど変わっていない。と、ジュンの説得もあまり効果はないようで。卑屈モードになってしまった彼女を抱きしめて、ジュンは笑う。「抱き心地がよくなったかもしれないっすね」と。これ以上太ったら彼から嫌われてしまう。と危惧している彼女だが、彼は何ら気にしていないようである。「もともと、細すぎるくらいだったし、ちょっとくらい肉が付いてもいいと思いますよぉ?それに、ここも成長したんじゃないっすか?」と、後ろから抱いたままの体勢で、伸ばされた指がキャミソールの胸元をくいっと引っ張る。「そんな格好して、俺に襲われても知りませんよぉ?」と耳元で囁かれ、ぴくりと反応した名前が咄嗟に胸を隠す。だが…背中をなぞられ、擽ったさに身動ぎすればベッド上に押し倒されてしまった。
―「嫌なら抵抗してくれないと、やめないっすよ?」
「嫌じゃないし。ジュンくん相手に抵抗なんてしないよ」
ぐいっとキャミソールが捲り上げられ、白い肌が顕になった。まだ明るい時間のせいで電気を消していてもあまり意味はなかった。こういった経験もなければ、理性もなくなってしまった彼は、欲望のままに彼女の胸の頂に吸い付いた。もう片方も指で愛撫しながら、両方を交互に舐める。ジュンにされるがまま、彼女は身体を暴かれていく。視界に映る彼は、男の欲をギラつかせている。少し胸を愛撫されただけでこんなにも反応してしまうなんて…と彼女はあまりの羞恥心に頬を染め上げていた。「ハァ…っ。そんな、がっついちゃ、だめェ…っ」
「気持ちよくなってるんでしょう?」
彼女が上体を起こすと、吐息さえも奪うように深い口付けがされた。後頭部を支えられ、舌と舌が絡み合う。そしてもう片方の手で胸の感じるところを攻められる。頭がぽーっとする感覚に陥った名前の身体は、既にジュンを渇望していた。「名前ってほんと、やらしいっすね…」「ン…っ。そんな、こと…っ」そんなことない。そんな反論も出来なくなった。正常位で彼の男根が蜜壷に沈められたからだ。痛みと快楽。それらが混ざり合って声も出ない。大好きなジュン。初めてだから優しくしてくれている。そんな彼が愛おしくてぎゅっと抱きつけば、安心させるようにそっと髪を撫でてくれる。「ジュンくんの好きにしていいから…」「そんな可愛いこと言われたら、やめてあげませんから…っ」ガツガツと出し入れがされ、彼女の甘い嬌声が部屋に響く。
「アァ…っ。もっと…っ」
パンパンと音が聞こえる程に肌と肌がぶつかる。玉のような汗を飛ばし、野性的に自分を抱くジュンの姿は未だかつて見たことがなかった。こんなに声を出したら、外に聞こえてしまうかも。と、声を出すのを我慢している名前だが、ジュンから与えられる快楽には抗えなかった。加速するピストン、先端が最奥を刺激する。背中を弓なりにしならせた彼女は絶頂を向かえた。しかし、それでもまだ行為は続く。これ以上気持ちよくなったら意識が飛んでしまいそうだ。と思う彼女の心境をよそに、ジュンはラストスパートで激しく出し入れをし、一枚の膜越しに欲を吐き出した。疲れたのか、くたりと倒れている名前に本日何度目かのキスをすると、彼女は目を細めて微笑む。
「優しくしようって決めてたんすけどねぇ…無理でしたよ」
「そんなことない。充分優しかったよ」
END