七種茨短編
巴日和
名前
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―「ぼくが君の許嫁だよ。良かったね!いい日和!」
率直に言うと、私は巴日和が苦手である。父が巴財団の当主と親しいからって、何も私の許嫁に日和くんを選ばなくたっていいだろうに。と考えていた刹那、私の家に訪れた彼は清々しい程の笑顔で私の前に現れた。冒頭の台詞は彼のものだ。黙っていれば美形なのに、残念な人だなぁ…と改めて思わされた。しかし、訪問者は彼だけではなかったようで、日和くんの後ろから姿をみせた人物が。
「おひいさんのフィアンセなんてお気の毒すね。心中お察しします」
「確かに、ぼくのフィアンセに選ばれたともなると、数多の女性を敵に回してしまうことになるよね!ちょっと悪い日和!」
彼の登場から五分でひどく気疲れしたような気がする。「とっておきのキッシュを買ってきたんだ」とティータイムに使用しているテーブルでキッシュを頬張っている彼を横目にEveの片割れで常識人の漣くんに話しかけた。「あのクソアホ貴族が騒がしくてすんません」と、謝罪する彼の様子から普段の苦労が窺い知れる。そもそも、私がEdenのファンだとバレてしまったのが悪いのだ。その中でも、Eveのジュンくんのファンであり、日和くんのファンでもなかったというのに、気付いた時にはこんな事態になっていた。「漣くんは優しいし心が広いね」とジュンくんを褒めちぎっていたら不機嫌な声と共に彼の肩が掴まれた。
「ぼくを差し置いて彼女と仲良くするとは生意気だね。ジュンくんのくせに」
「私から話しかけたんだから漣くんのせいじゃないよ」
「本物の巴日和を前にして、緊張して話せないんだね。ぼくにはお見通しだね!」
見当違いなことを言いのける彼は「このぬいぐるみを相手に練習するといいね」と、日和ぬいぐるみをくれたが「これを枕元に置いて、君は床で寝るといいね!」という台詞に悪意が込められていたように思えて仕方がない。
END
率直に言うと、私は巴日和が苦手である。父が巴財団の当主と親しいからって、何も私の許嫁に日和くんを選ばなくたっていいだろうに。と考えていた刹那、私の家に訪れた彼は清々しい程の笑顔で私の前に現れた。冒頭の台詞は彼のものだ。黙っていれば美形なのに、残念な人だなぁ…と改めて思わされた。しかし、訪問者は彼だけではなかったようで、日和くんの後ろから姿をみせた人物が。
「おひいさんのフィアンセなんてお気の毒すね。心中お察しします」
「確かに、ぼくのフィアンセに選ばれたともなると、数多の女性を敵に回してしまうことになるよね!ちょっと悪い日和!」
彼の登場から五分でひどく気疲れしたような気がする。「とっておきのキッシュを買ってきたんだ」とティータイムに使用しているテーブルでキッシュを頬張っている彼を横目にEveの片割れで常識人の漣くんに話しかけた。「あのクソアホ貴族が騒がしくてすんません」と、謝罪する彼の様子から普段の苦労が窺い知れる。そもそも、私がEdenのファンだとバレてしまったのが悪いのだ。その中でも、Eveのジュンくんのファンであり、日和くんのファンでもなかったというのに、気付いた時にはこんな事態になっていた。「漣くんは優しいし心が広いね」とジュンくんを褒めちぎっていたら不機嫌な声と共に彼の肩が掴まれた。
「ぼくを差し置いて彼女と仲良くするとは生意気だね。ジュンくんのくせに」
「私から話しかけたんだから漣くんのせいじゃないよ」
「本物の巴日和を前にして、緊張して話せないんだね。ぼくにはお見通しだね!」
見当違いなことを言いのける彼は「このぬいぐるみを相手に練習するといいね」と、日和ぬいぐるみをくれたが「これを枕元に置いて、君は床で寝るといいね!」という台詞に悪意が込められていたように思えて仕方がない。
END