七種茨短編
Eden
名前
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―「お正月に一人じゃ寂しいと思って、来てあげたね!ぼくは優しいからね!」
「迷惑だって言ってんのに、ひいさん聞く耳もちゃしねぇんですよね」
新年会とか言いながらプロデューサーが住むマンションに押しかけてくるEden諸君は相変わらず遠慮がない。仕事の関係で、帰省も出来なかったから丁度いいと言えばそうなのかもしれないが、缶ビールと缶チューハイ持参(確実にジュンの自腹)で、高級おせちまで持ってきたから追い返せなかったのだ。しかもご丁寧に全員着物姿ときた。私はといえば、辛うじて化粧はしているが普段着でお正月感が全くない。アポ無しで突撃してきた彼らが悪いのだが…。部屋に上がり込んで飲み会を開始され、作っておいたお雑煮を出してから炬燵に戻る。因みに隣はジュンくんである。
「お雑煮美味いっすね。料理上手なんすね」
「ジュンくん口説いてるね!抜け駆けは許さないね!」
「お雑煮なんて作るの難しいものじゃないしね…」
「謙遜することないじゃないですか」と今度は向かいの毒蛇からの褒め殺しが。アルコール度数低めのカクテルチューハイをちびちびと飲んでいると、右隣の凪砂先輩からおせちの栗きんとんを「口開けて」と口元に持ってこられた。彼の期待に満ちた眼差しを裏切るわけにもいかず、ぱくりとそれを口にして微笑む。「ナギ先輩のほうがよっぽど抜け駆けなんじゃないすか?」とジュンくんが不満そうに呟くと、すかさず日和先輩が「凪砂くんは特別だね!」と笑顔で許可を出した。負けじと高級おせちの伊勢海老を食べさせてくれたのは日和先輩である。Edenの年上組はなんだかんだ私を甘やかす。そして、私は何故かそれを拒めなかったりする。
「アルコール度数4パーの酒で酔ったんですか?」
「うーん。眠たくなってきた…」
「おいで。私の膝で寝たらいいよ」
凪砂先輩に頭撫で撫でされ、ぽすりと膝上に誘導された私はそのまま身を委ねた。「意外とお酒弱いんだね」と前髪を撫でつけるその手が優しくて涙が出そうになる。眠ってしまった私はその間に巴邱に運ばれたとも気付かず、目を覚ましてすぐに煌びやかな着物に着せ替えさせられるのである。
「その着物はぼくからのプレゼントだね!」
「なんとお美しい…!自分も殿下と同じことを計画しておりましたが…「茨の褒め殺し長すぎる。私も褒めたい」
END