七種茨短編
七種茨
名前
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-ハロウィンだから何?うちは夢ノ咲と違って馬鹿騒ぎしたりしないし、関係ないわって事で完璧にスルーしていた昨日までの自分に伝えたい。お菓子は持ち歩いておいたほうがいいという事を…。私は秀越学園所属のEdenプロデューサーである。因みに七種茨はクラスメイトだ。そして現在、そんな毒蛇に呼び出された。確かにレッスンまでには時間があるけど、彼の考えている事がさっぱり分からない。静まる空き教室で二人きり。そしたら、この台詞だ。「トリックオアトリート」お菓子をくれないと悪戯するぞ。って…あれ?「ハロウィンて子供だけのイベントじゃないの?」と声に出すと、近寄ってきた彼に顎をくいっと持ち上げられた。女子が憧れてる顎クイってやつをまさか茨にやられるとは…。
「話を逸らさない。どうせお菓子持ってないんでしょう?」
「持ってるわけないでしょ。いきなり呼び出されたんだから…」
話を呑み込めていない私とは対照的に、企むような笑みを滲ませている彼と視線を合わせる。顔面偏差値高いなコイツとか思ってる場合じゃない。「悪戯決定ですね」とか満足気な顔をしている。そして、何やら紙袋を手渡された。中には衣服が入っている。「え…。洋服のプレゼント?」と少し胸をときめかせた私は後に絶望に突き落とされる。「自分は外で待ってますから、それに着替えてくださいね」と、茨は私を残して部屋を出ていってしまう。そして袋から取り出したら、その服がメイド服だと判明した。こんなフリフリしたミニスカートが私に似合うとでも思ってるのか奴は。「こんなの着られるかぁ~!」とか大きな独り言を呟いて、服を仕舞おうとしたが、相手はあの茨だ。これを拒めば次はどんな悪戯を企てているか分かったもんじゃない。レッスンの時間も迫っていることだし、悩んでいる時間もない。ハロウィンだから仕方ない。そう自分に言い聞かせて制服を脱いでメイド服を着用する。
「鏡ないし、よく分からん…」
思ったよりスカートが短い。それに胸元も結構開いてるし…。付属のカチューシャを付けて扉を開いた瞬間に携帯の連写音が響く。これはしてやられた。茨め…なにほくほくした顔してんだ。私なんぞのメイド服姿見て満足なのか?変人だな。あ、この恥ずかしい写真を拡散する気か。毒蛇性格歪んでるな。というわけで…今の写真のデータを消すべく腕を伸ばせば、その腕を掴まれて空き教室に連れ戻された。早くこの衣装着替えたいのに、なにすんだ茨め。と、ジト目で彼を見据えるが、壁に追い詰められて身動きが取れなくなった。顎クイの次は壁ドン。茨なんかにドキドキしたくないのに…鼓動は速くなる一方で。
「ねぇ。もう着替えてもいいでしょ?」
「ご主人様って呼んでくれたら、着替えてもいいですよ」
「絶対やだ」
END