七種茨短編
漣ジュン
名前
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※中学時代設定
―「近寄るなイケメンが…」
「どういうノリなんすか。なんか怒ってる?」
「私のようなキモヲタに一軍男子のジュンくんが話しかけるべきじゃない」
母親同士が仲良くて、一緒に旅行に出かけてしまったのが事の発端である。それにしても歳頃の男女を一晩とはいえ、ひとつ屋根の下で生活させるとは。クラスの人気者イケメンが家にいること自体信じ難いのに、私の面倒見てくれるとかどういうこと!?さて…私の目の前で苦笑を滲ませている彼は漣ジュンくん。幼馴染みのような間柄故に、学校でも話しかけてくれる性格の良いイケメンだ。
「ていうか、ジュンくん付き合ってる彼女いるくせに他の女の家にお泊まりして大丈夫なの?」
イケメンは可愛い娘と付き合っているもの。私は所詮地味モブなので関係ない。と他人事も同然だったのに、どうも地雷を踏んでしまったらしい。「それは、本当に気にしなくて大丈夫なんで」と、こめかみをピキピキさせながら彼は告げる。由々しき事態だと悟った瞬間に私は話題を変えた。「鍋温めたから夕飯食べようか」と。
「はぁぁ…そもそも俺が安易に付き合ったりしなければ良かっただけなんすけどね」
クソデカ溜め息。どうやら付き合ってた彼女に二股かけられたらしい。私なんか乙●ゲームでしか恋愛していない女なので、恋愛相談に乗れるわけないのに。しかし、ジュンくんはそれで満足らしい。後ろから抱きしめられる体勢…所謂バックハグというやつをされて離してもらえなくなった。まぁ、ジュンくんは傷心中なんだもんな…。冷静なように見せて私は内心穏やかじゃないんですけども!
「名前と一緒にいるのが一番落ち着く」
―陰キャオタクの私が出て行ったところでどうもならんやろ。と、冷めているようで今めちゃくちゃイライラしている。本当はこんな修羅場に出くわしたくなかった。「私にはジュンくんしかいないの」と話す女はまさに二股かけていたらしいジュンくんの元カノ。因みに、移動教室時に置き忘れた物を取りに戻ったらこの状況だったので私は今、物陰に隠れている。だけどあまりにも腹が立つから、忘れ物取り来たと見せかけてジュンくんを助けよう!(小心者故に心臓バックバク)
「あ、やっぱりここにあった!」
「名前…」
あえて空気読んでないだけだからね。二股女にすっごい睨まれてるし、すっごい気まずい。けれども、「俺、コイツと付き合ってるんで絶対無理っすわ」とか言って私の手を引っ張って見せつけるようなことするジュンくんが悪い。ジュンくんが私のような陰キャと付き合ってるわけないだろ。苦し紛れの嘘だってすぐバレるわ。
「“あんなブスと付き合ってるとか正気か”と噂されるからやめたほうがいいよ」
ジュンくんみたいな他の学年の女子からもキャーキャー言われてるような人気者と私が当下校を共にしてるの見られたら、めちゃくちゃバッシングを受けるに決まってるよ。だが、私の心なんて露知らず彼は笑顔である。嘘も方便というし、あれって二股女に諦めてもらう為の演技じゃないの!?と私はジュンくんの気持ちが全くわからない。
「本当に付き合ってるわけじゃないんだから、わざわざ私と帰らなくても良かったんじゃないの?」
「名前は俺と付き合うの嫌なんすか?」
「ジュンくんずるい。私に拒否権なんかないじゃん」
「俺、名前にそういう可愛い顔見せられると弱いんすよ」
END