七種茨短編
巴日和
名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
-私は巴家の使用人の一人であり、日和坊ちゃまとは同い歳という共通点はあれど、べつに彼専属というわけではなかった。それなのに、今はどうだろうか。彼の部屋に呼びつけられたので素直に向かいながらも、心の中では他の使用人でもいいだろうに、どうして他の用事で忙しくしている私を指名したりするんだろう?とモヤモヤしていた。しかし、部屋に入るや否や眩いばかりの日和スマイルを向けられて面食らった。
「日和坊ちゃま。何故私を呼び出したりしたんです?」
「名前ちゃんはぼくのだからね。それに…この時間に呼ばれるってことがどういう意味か、分かってる筈だね」
時計の短針は23時を指している。夜も深けた時間に呼び出される理由…推測できるけれど、察したくない。何故なら私は彼の許嫁でも何でもない、巴家の使用人でしかないのだから。前に一度だけ坊ちゃまのお相手をしたことがあったけれど、それで「名前ちゃんはぼくの」なんて言われるようになってしまったのか。さすがスーパーポジティブ。おひいさんとか呼ばれてるだけあるな。と密かに感心した。「私、他にやることがあるので、坊ちゃまの気まぐれに付き合ってる暇ないんですよ」と冷たく突き放すような言動をしたのに、どこ吹く風で私に密着してくるものだから怒る気もなくなる。
「距離!近いんですけど…っ」
「ぼくはこんなにも名前ちゃんを想っているのに、君ときたらぼくを求めてくれないどころか構ってすらくれないね」
手が正直すぎる。ナチュラルに後ろから抱きしめられ、そのまま彼の手が私の胸を掴んだ。服の上から揉まれるだけだったのがやがて胸の先端をくりくりと愛撫するようになったのだから、声が我慢できなくなった。「ちょっと、日和坊ちゃま!どこ触ってるんですか!」と私は怒っているし抵抗しているのに、この坊ちゃまときたら「感じてるの?可愛いね」なんて余裕の笑顔で、私を挑発しているとしか思えない。彼の手に手を重ねて動きを封じてみせるけれど、逆にその手をぎゅうっと握られ正面に回った彼にジーッと見つめられて抵抗するのをやめた。
「ぼくに触れられるのは嫌…?」
「嫌なわけじゃなくて…っ。こういうことは恋人としてくださいよ」
「ぼくに恋人がいないのを知っているくせに」とか「ぼくは名前ちゃんに触れたいね」とか、ワガママ坊ちゃまのくせに顔がいいからずるい。両頬を包まれ視線を合わせられて、焦がれるような眼差しを向けられたら悪い気はしない。私がこの口付けを拒めない理由…ベッドに縫いとめられても身を委ねてしまう理由なんて分かりきっている。私は主人である日和坊ちゃまが好きなんだ。身分違いも甚だしくて、許されるわけがないって分かっているのに…こんなに翻弄してずるい人だな。
「こんなに反応させて、いやらしいね」
「ん…っ。や、ァア…っ」
胸元のボタンを外されてあらわになった肌を唇がなぞる。先程の愛撫で反応してしまったそこをきつく吸われて淫靡な声が漏れる。容赦なく攻められて下腹部が疼く。いつも我儘なお姫様みたいなのに、私に向けている欲はとても男性的で。人気アイドルの巴日和を、私が独り占めしているみたいで優越感に満たされる。おひいさんがこんなにエッチなことをしてくるなんて、漣くんだって知らないんだろうな。と、ぎゅうっと抱きしめてくれる彼を抱きしめ返す。坊ちゃまの高貴ないい匂いと、しなやかな腕に包まれる。メイド服も、下着も脱ぎ捨てて生まれたままの姿で。
「ァン…っ。坊ちゃま…っ。そこ…触っちゃ、やァ…っ」
「こんなに濡らして、いけない娘だね…っ」
日和坊ちゃまの長い指が挿入されて、クチュクチュと卑猥な音が聞こえてくる。早く欲しくて、坊ちゃまの男根に手を伸ばす。硬くなっていて、彼が私に欲情してくれたと思うと嬉しくなった。「坊ちゃま、私の裸に興奮してるんですか?」なんて、それを扱きながら彼に問いかけると苦しげに吐息を零している。「それは…っ。やめて…〜っ」なんてあの坊ちゃまが涙目でよがっているのは可愛い。しかし、彼も男としてのプライドがあるのか、「名前ちゃんのここも欲しがってるね」なんて強引に私の蜜壷に男根を沈めてきた。
「はァ…っ。ひ、ァ…っ。そんな、トントン…しな、で…っ」
「こんなに、締め付けて…っ。可愛い、ね…っ」
激しいのに優しく抱いてくれる。それが日和坊ちゃまの抱き方だった。「ぼくだけを知ってればいい。他の男になんかやらないね…っ」と独占欲の塊のような言葉を投げかけられると私と坊ちゃまは両想いなのでは…?なんて勘違いしそうになる。たとえ、そうだったとしても絶対に成就しない恋なのに。どちらともなく口付けを交わす。舌を絡めた濃厚なそれと、下腹部の繋がりを感じてこのまま溶け合ってしまうんじゃないかとすら思えてしまう。
「ふ、ァァ…っ。らめェ…っ」
「名前ちゃん、好きだね…っ」
「ン…っ。はァ…っ。もう、イく…っ」
好きなんて告げて、坊っちゃまが激しく腰を打ち付けるから答える余裕がなくて。正常位でぺろりと胸の先端を舐められながら奥もぐちゃぐちゃにされて絶頂を迎えてしまった。「こんなにいやらしい名前ちゃんは、ぼくだけが知ってればいいね」と満足そうな日和坊っちゃまに腕に抱かれたまま顎を掬われて唇を奪われる。「そうだ。まだ君の返事を訊けてないね」とじっと見つめられて言葉に詰まる。
「私とあなたは…決して愛し合ってはならない関係なんですよ」
「関係ないね!ぼくには名前ちゃんしか見えてないんだからね!」
「もう…。坊っちゃまってやっぱりアホですね」
END