Double Face
名前
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―「名前さあああん!会いたかったぞおおお!」
「痛い痛い!力強く抱きしめすぎ!」
抱きしめる力が強すぎて、痛いぞ。私に熱烈なハグをかますこのアイドルの名は三毛縞斑。歳の割に小柄なので成人済み女だと思われていないのか、彼にはいつも子供扱いをされる。今も、小さな子供のように膝に乗っけられてるし。でも、推しに抱きしめられるのは幸せすぎて死ぬ。ママは自己犠牲というか、何もかも背負ってしまう優しい人なんだよな。「抱きしめやすくて力が入りすぎていたなあ!悪い悪い」と、くしゃり笑う姿に胸が締め付けられる。守りたいこの笑顔。なんて…無力な私の願望にすぎない。
「 俺は名前さんのママでもあるんだからなあ。欲しいものがあるならなんでも言いなさい!!」
大好きな推しとお付き合いしていいのか…いや、でも…と、気分が高揚したのも束の間。私への対応がママすぎる。ハグも手繋ぎも恋愛的なソレとは違う気がする。キスがしたくて見つめてみても、こちらの心意には気付いてもらえない。私に色気がないせいでママの性欲を煽れないのか!?
「名前さんは可愛いなあ。さすがママの娘…」
「ママは私の彼氏でしょうがぁ!リアルママにならないでよ」
怒った勢いでママの唇を奪ってみる。ベッド上に隣同士で座っているのにやらしい雰囲気にならなくて悔しいから。触れるだけの可愛いものじゃなくて、まるで海外ドラマで見るような濃厚なキスがしたかったのに…。一瞬唇が重なった後、肩を掴まれて宥められてしまうなんて。
「こんな積極的なキスをして、いけない子だなあ」
「私、ママより年上なんだからこれくらいするよ」
なんでショック受けてるの?私からキスされるのが嫌だったの!?なんて不安になって、色欲がしぼんでしまう。だが…そう思ったのも束の間、強い力で押し倒されて困ったように眉を寄せるママと目が合う。「俺には誰かを愛する資格なんてないんだが。こんなに名前さんのことを好きになってしまったなあ!」なんて、ぎゅうっと抱きしめられた。幸せなのに息が詰まる。ママは私を愛すことを拒んでいる。
「私はママのこと愛してるし、ママを幸せにしたい」
「あぁ…もう。そうやって…、」
可愛すぎることを言うもんじゃないぞ。なんて頭を撫でられて優しいキスが落ちてきた。決して性的ではないそれは慈しむような温かみがある。息が止まってしまいそうな気がするくらい熱い口付け。キスもするし抱きしめてくれるのに、その先へは進めない。「俺が手を出したら、名前さんはきっと俺のことなんか好きじゃなくなる」と。
END
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