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名前
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※この物語はこれ↓の続編です。
大神晃牙とエイプリルフール
―「犬と戯れたい」
「突然なに言い出したかと思えば…」
四月のあの日、偶然出会った晃牙の愛犬レオンに会いたいとばかりに横の席の彼に聞こえるように名前が呟けば、食い付いてきたのは朔間凛月だった。「隣にコーギーがいるじゃん」と。さり気なく二人きりになる口実を設けようとして放った言葉だが、そう言えば彼もわんことか呼ばれていたし、この際回りくどい事をしなくてもいいのでは?と席を立って椅子に座っている晃牙の頭を撫で回す。不機嫌な声と共にその手が掴まれた。「名前お前、わざとやってんだろ」と。彼に掴まれた掌がじんわりと熱を持つ。しばらくこのままでいたいと思ったのも束の間…すぐにその手が離されて訝しげな視線を向けられてしまった。「そう言えば、身近にわんこがいたなと思ってさ」と悪戯っ子のような笑みを見せる彼女に晃牙は面食らっていた。しかし、犬扱いされたのは癪にだったが、名前に触れられても自然と嫌な気持ちにはならなかった。
「仕方ねぇな。俺んとこのレオンに会わせてやるよ」
―そんなやり取りがあった日から数日後、名前は大神宅に訪れていた。二人きりという状況を実感すると、少し大胆な行動だったかもしれないと後悔したが、腕の中に収まったレオンにすりすりと甘えられその思考は消えていった。そしてこの後、思いがけないハプニングが発生した。名前と遊んでいるつもりで部屋をうろちょろとするレオンと、レオンを追いかけていた彼女が絨毯で躓き、ソファーに座ってその様を眺めていた晃牙の上に覆い被さる体勢になってしまったのだ。すぐに離れるかと思っていたのに、そうではなかった。柔らかく、いい匂いがする。と思わずやましいことを考えてしまったせいで、文句を言う事が出来なかった彼は名前の心境には全く気付いてはいなかった。これはチャンスだとばかりに甘えた声で彼の名を呼ぶ彼女の唇は楽しげに弧を描いていた。
「晃牙くん。もしかして…照れてる?」
「うるせーな。早く退けよ」
「やだ」と彼女に突っぱねられ、「名前が犬と戯れたいとか言うから呼んでやったのに…どういうつもりだ?」と狼狽えている彼を一瞥した彼女はくすくすと笑った。「レオンにまた会いたかったのは本当だけど、好きな人と二人きりになれたんだから、これくらい許してよ」と、依然として寄り添ったまま熱の篭った眼差しで彼を見つめそっと彼の頬を撫でてから漸く距離を離した彼女に、呆気に取られたまま晃牙は「バッカじゃねーの」と呟く。だが、名前は嘘を言うような奴ではないし、「また冗談だと思ってるんでしょ?」と怒っているのを見る限り、本気にしてもいいのでは?と考え、今度は晃牙からの反撃が始まった。ソファーの上で押し倒された彼女の視界に映るのは瞳をギラつかせている彼と、天井のみ。しかし、ここで思わぬ伏兵が現れた。
「あーあ。晃牙くん、レオンに邪魔されちゃったね」
END