クリスマス
名前
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※歳下設定ですが「斑くん呼び」しています。
-「マフラーはママが巻いてあげるからなあ!」
彼が巻いてくれるマフラーには、名前は見覚えがなかった。肌触りが良く、よくよく見てみると某有名ブランドのロゴマークが入っているではないか。彼女は彼の真意が分からないというように、斑をじっと見つめる。オレンジチェックのマフラーをした彼女に「名前さん、よく似合ってるぞお!」と彼は満足気に微笑んでいる。そして現在、イルミネーションで彩られた街路樹の下をふたりは腕を組んで歩いている。「迷子にならないように、ママと手を繋いでいようなあ!」と相変わらず保護者のような言動をする彼を諌め、名前は自分の腕を斑の腕に絡めた。「なんだか懐かしい…」と感慨深そうに呟く彼女は幼い頃の出来事を思い出していた。-「転ぶといけないから、ママが手を繋いであげようなあ!」-「斑くん。ありがとう!」
「名前さんは今も昔も、俺をママと呼んでくれないなあ!ちょっと寂しいぞお!」
「だって、斑くんは私の恋人だもん。さっきだって、逆ナンされてて焼きもち妬いちゃった」
待ち合わせ場所に着いた名前が目にした光景は、見知らぬ女性と喋っている斑の姿だった。マフラーを忘れて首元が肌寒いことなどどうでもよくなるくらい、茫然自失して立ち尽くした。もしかして二股かけられてたの?と、頭が真っ白になった名前の心境などお構い無しに駆け寄ってきた彼は彼女を強く抱きしめた。「名前さん。会いたかったぞお!」と言われると「離して」とも言い難く、彼女はただ先程の女性のことを問い掛けるだけだった。「さっきの女の人は…?」と。そして返ってきた答えに安堵すると同時に、肩透かしを食らったような気分にさせられた。「あの女性は俺のファンらしくてなあ!突然声をかけられてびっくりしたなあ!」と斑は笑うが、彼女は納得出来ていなかった。そして、「逆ナンされてて焼きもち妬いちゃった」という台詞に繋がる。
「逆ナンとは違うかもしれないけどなあ!名前さんが珍しく焼きもちを妬いてくれたから、ママは結構嬉しかったりするぞお!」
温かい缶コーヒーを手に、ベンチに座ると斑がぽつりと呟いた。「じつは、俺が海外に行っている間に名前さんの心が離れていってしまったらどうしようかと心配になったんだ」とイルミネーションを眺める彼は憂いを帯びた顔つきだ。確かに彼が海外に行っている間は会えなくて寂しかったが、心が離れるどころか会いたいという気持ちが膨らんで愛しさを持て余していたくらいだった。珈琲を口にして、彼女が彼を仰ぎ見る。「私ね、今…斑くん不足なんだ」と、イルミネーションの光を映して煌めく瞳は彼を待ち望んでいた。名前が瞼を伏せると、斑が小さく笑う声が聞こえた。「こんなところで俺を誘惑するとは、悪い娘だなあ!」という言葉とは裏腹に、ふたりの唇は重なりあった。もっともっと、と強請(ねだ)るように彼のうなじに手を回す彼女の様子を見て彼は苦笑した。
-「ねぇ、このマフラーだけど、クリスマスプレゼントなんでしょ?」
斑の家に着いてマフラーを外しながら名前が問いかけるも「それはママとお揃いで買っただけのものだぞお!」と、よく分からない返答をされた。「嵐さんにもアドバイスを貰ったなあ!名前さんの欲しいものを明日一緒に買いに行こう!」と彼は快活に笑って提案する。「ママが何でも買ってあげるからなあ!」とどうも斑は名前にはデロデロに甘いようだ。だが、彼女の欲しいものは斑が思っているようなものではなかった。だからこそ、今の彼らはベッド上で抱き合っているのだが…。
「言ったでしょ?私、斑くん不足だって…」
「言い分は分かるが…ママがプレゼントしたいのは、もっとジュエリーとか、女の子が喜びそうなものなんだがなあ!」
「私はプレゼントよりも、斑くんとエッチなことがしたい」と、彼女が着ていたベロア素材のワンピースがパサリと床に落とされた。黒いランジェリーで下半身はガーターベルトが付いており、普段の彼女からは想像も出来ないセクシーなその格好は彼の欲を煽るには充分だった。ベッドに仰向けに横たわる彼は馬乗りになる体勢で迫られた。狼狽している斑とは対照的に、彼女の表情は活き活きとしていた。積極的すぎる名前に手を捕まれ、そのまま胸に押し当てられた彼は下着の上から胸に触れた。それが気に食わなかったのか、背中のホックは名前が自ら外してしまった。「直接触ってくれなきゃやだ」と上目遣いで自分を見遣る恋人はなんて可愛くていやらしいのだろうと、斑は軽い目眩を覚えた。幼馴染みの名前。幼くてあどけなかった名前をこんなに淫乱にしてしまったのは自分のせいなのかと思うと行き場のない罪悪感に苛まれたが、彼女が自分を求めてくれている。それを証拠に、胸の頂を執拗に愛撫してやれば名前は身を捩らせ感じている。
「ねぇ、斑くん。後ろから、揉み揉みしてェ…っ」
膝の上に座らせ、後ろから手を回す形で望まれた通りに胸を揉みしだきながら弱いところを攻めれば、名前の口から甘い声が零れていく。滑らかな肌はずっと触れていたくなるような柔らかさだ。豆電球の微かな灯りに照らされた彼女の身体は、息を呑む程に色気があった。彼の左手は乳頭に触れつつ、右手はショーツの上からそこをなぞる。どんどん溢れてくる愛液が染みを作っており、隙間から差し込んだ彼の長くて無骨な指が二本に増やされ、そこを解していく。「名前さんは、ほんとにいやらしいなあ」と言葉で責められた彼女は頬を赤く染め、身体を火照らせていた。粘着質な音が部屋に響き、名前の羞恥心は限界に近付いていた。
「斑く…っ。指、そんな、らめェ…っ」
指だけでは物足りないと思っていた筈の彼女は意志とは反対に、そのまま彼の指使いだけで最初の絶頂を迎えてしまった。くたっと背中を彼に預けてふにゃふにゃと文句を言っている名前を、今度はベッドに縫とめ、主導権を握った斑はショーツを取りあげ、濡れそぼった蜜壷に腫れ上がった男根をゆっくりと挿入する。随分とご無沙汰だったことも影響し、情事は激しさを増していく。結合部から発せられる卑猥な音と、ふたりの荒い息遣いが聞こえる。名前を抱きながら腰を打ち付ける彼と、離さまいとしがみつく彼女の唇が重なり、舌を絡めた濃厚な口付けが落とされた。
「アァ…っ。激しいよォ…っ」
「名前さん…っ 」
瞳をギラつかせ、ガツガツと奥へと攻めてくる彼は艶めかしく身を悶えさせている名前の姿に酷く興奮していた。海の向こうの地で、何度彼女に想いを馳せたことか。自分の名を呼び、キスを強請る名前が可愛すぎて、手加減してあげられない。「今夜は手加減してあげられなさそうだなあ!」と彼が申し訳なさそうに謝罪するも名前は嬉しそうにふにゃりと笑うだけだった。「いっぱいエッチなことしたいな」と自分の知らない間に過激になっていく彼女に斑は面食らった。
「俺を煽るのが得意になったなあ!」
「ふァァ……っ。この体勢…らめェ…っ」
指とは比べ物にならないようなその質量とピストンに、名前はドロドロに蕩けてしまいそうな感覚に陥っていた。それもその筈…繋がったまま、抱き上げられる体位は初めてだったのだ。彼のものが彼女の最も感じる箇所を刺激し、胸の先は彼の胸板と擦れて気持ちがいい。快楽の波に呑まれた彼らは絶頂へと上り詰めていた。夜空が見えるように、と開かれたカーテンの隙間からは濃紺の空と満月とは違う少し欠けた月が見えた。そんなぼんやりとした月明かりが照らす中で彼らの営みは深まっていった。ストロークを大きくされ、一気に突かれた彼女は背中を弓なりに仰け反らせ達した。その後、緩く腰を振った彼も一枚の膜越しに欲を吐き出し絶頂を迎えた。幸せそうな表情で、抱き合ったままベッドに身体を沈めるふたりは気付いていないが、壁に掛けられた時計の針は日付が変わった事実を物語っていた。
END