斎宮宗
名前
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-「名前ちゃん先輩。マド姉用のドレス作ったん?すごいわぁ〜」
パープルローズモチーフに光沢のある生地で作ったブラックとパープルでちょっと大人な感じのドレス。是非マドマアゼルさんに着てもらいたい。そう…私は斎宮宗くんのことはべつに好きではないけれど、お人形のマドマアゼルさん通称マド姉のことは大好きである。手芸部所属の後輩みかくんからは高評価の、このドレスを果たして宗くんは認めてくれるのだろうか。そしてマド姉に着用させてくれるのか…?彼の裁縫技術は評価しているし彼の作った作品を見るのも好きだけど、私は自身の縫製技術がそれ程あるとは思えないし宗くんからは嫌われている。(多分)
『あら…?そのドレス素敵ね』
「名前の作ったものなんてマドマアゼルに着せるわけにはいかないのだよ」
お人形サイズのマネキンに例のドレスを着せて飾っておいたら、部室に宗くんが入ってきて、それを見つけるやいなや一人二役会話である。マド姉からは好評なのに、宗くんは認めてくれないなんて…悔しい。マネキンごと手に取り、じっくりとドレスを眺めて愉快げに笑ったと思ったら褒められた。突然のデレ…?横に居たつむぎからは「宗くんは名前ちゃんの技能をちゃんと認めてますからね」と。え?初耳なんですけど。宗くんずっと私には塩対応だったじゃん。私の作ったお洋服を頑なにマド姉に着せてくれなかったし。
「マド姉可愛い!すっごく似合う〜」
三人揃って部室を出されて、暫くしたら私だけ呼び出された。部室に戻ると私作のドレスを纏ったマド姉が!こうして本人に着せてくれたのは初めてで。宗くんったらどういう風の吹き回し?なんて、勘繰ったりしていたけれど、二人きり(マド姉もいる)の空間で真摯な眼差しで見つめられるとドキドキする。私の本命はマド姉なので宗くんのことは特に意識していなかった筈なのになぁ。中身はアレだけど、高身長でイケメンなのは事実だし。
「宗くん。マド姉に着せてくれてありがとう」
「いつもマドマアゼルにしか興味ないようだけど、君は僕のことは何とも思ってないのかね?」
まさか少女漫画でよくある顎クイってやつを宗くんにされるとは…。そんなキャラでしたっけ?私はみかくんみたいにお師さん信仰はしていないし、なずなみたく可愛い顔なわけでもなく。平凡な女なのですが…なんでこんな距離近いの?男っ気のない私だから、たとえ相手が宗くんでもときめくよ?宗くん<<<マド姉って感じだけど。
「宗くんの縫製技術は尊敬してるし、Valkyrieのライブを観るのも好きですが」
マド姉を介して会話することはあっても、宗くんが直接私と会話してくれるのは希有である。いつも私には冷たいというかフンって感じでツンツンしていただけに突然歩み寄られて反応に困る。今まで「俗物の相手をしている暇はないのだよ」とか言ってたくせに、そんな愛しげな目で見つめないでほしい。
「僕は君のことを憎からず思っている。とだけ伝えておくのだよ」
「ふーん。宗くんて私のこと好きなんだ?」
「エッチな目で見てるってこと?」と胸元のボタンを外して胸を押し当てるように迫ってみたら、「やめるのだよ」と引き剥がされてすごい勢いで逃げていった。ピュアな宗くんをからかうのは楽しいな。しかし、ふとマド姉と二人きりになった空間で、彼女を見つめると「宗くんをいじめないであげて」と言われたような気がした。心優しいマド姉ほんと好き。
END