逆先夏目
名前
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―「センパイとボク、どっちが大事なノ?」
初恋の相手である名前の口からつむぎの名が出てくるのが非常に気に食わない逆先夏目は、顔を顰めながら実験を進める手を休めようとはしない。秘密の部屋に二人きりという好機に、当初は胸を躍らせたが気に食わないセンパイについて色々と訊かれては嫌悪感を抱かずにはいられなかった。「そんなの選べないよ」と言葉を濁す彼女に、昔から付き合いのある自分ではなく、つむぎに好意が向いている事に内心どうしようもなく嫉妬している。
「夏目さ…つむぎ先輩に手酷い扱いをしてるでしょ。そういうのやめてよ」
先輩に対して失礼だと思わないの?という咎めに「思わない」と答えてしまえば、きっと彼女は自分を嫌うだろう。反省する様子がない夏目を一瞥して呆れたように息をついた彼女は踵を返して彼に背を向けた。自分の事を微塵も意識してくれないもどかしさに突き動かされた彼は、咄嗟に彼女の腕を掴んで引き止めていた。
―「手、離してよ」
「ボクなら、センパイなんかよりも名前を大事に出来る自信あるんだけどナ」
振り向いた彼女は荒唐無稽な彼の言動が信じられないとでも言いたげに彼を見つめた。そして、ぽつりと絞り出されたのは疑惑に満ちた問いかけだった。「それはさ、幼馴染みとして大事にしてくれるって意味でしょ?」と。どうも名前には魔法が効きづらいようだ。一か八(ばち)かの勝負に出るしかないと気付いた夏目は真摯な眼差しで彼女に気持ちを明かしていく。
「子猫ちゃんは鈍感だネ。恋人としての話に決まってるのニ」
名前はボクの事、どう思ってるノ?そう訊きながら腰に回された腕は「答えないと離さない」という暗示にも思える。気まずそうに視線を泳がせる彼女は言い淀んた末に本音を顕にした。その台詞を耳にして、夏目は満足そうに唇に笑みを浮かべた。
「私、本当は昔から夏目が好きなんだよ」
私がつむぎ先輩に惚れてるなんて言ったら、少しでもヤキモチ焼いてくれるんじゃないか…って、馬鹿げてるよね。と自嘲的に苦笑した彼女は彼に顎を掬われ、唐突に唇を奪われた。想いの深さを表すように、口付けは濃厚なものになっていく。唇を離すと、真っ赤な顔の彼女に睨まれた。
「なんで突然キスするの」
「名前が可愛すぎるのが悪いんダ」
それと、散々ボクの気持ちを振り回してくれたお仕置きのキスもしちゃおうかナ。と、悪戯っ子のように彼は笑った。一切抵抗せず、少し背伸びをした彼女は自分から彼の唇に唇を重ねた。そして、恥ずかしそうにしながらも彼の反応を伺っている。
「どうして夏目が照れてるの?」
「ボクに魔法をかけたのに自覚なしだなんて、困った子猫ちゃんだネ」
きっとこれは解けない魔法―
END
初恋の相手である名前の口からつむぎの名が出てくるのが非常に気に食わない逆先夏目は、顔を顰めながら実験を進める手を休めようとはしない。秘密の部屋に二人きりという好機に、当初は胸を躍らせたが気に食わないセンパイについて色々と訊かれては嫌悪感を抱かずにはいられなかった。「そんなの選べないよ」と言葉を濁す彼女に、昔から付き合いのある自分ではなく、つむぎに好意が向いている事に内心どうしようもなく嫉妬している。
「夏目さ…つむぎ先輩に手酷い扱いをしてるでしょ。そういうのやめてよ」
先輩に対して失礼だと思わないの?という咎めに「思わない」と答えてしまえば、きっと彼女は自分を嫌うだろう。反省する様子がない夏目を一瞥して呆れたように息をついた彼女は踵を返して彼に背を向けた。自分の事を微塵も意識してくれないもどかしさに突き動かされた彼は、咄嗟に彼女の腕を掴んで引き止めていた。
―「手、離してよ」
「ボクなら、センパイなんかよりも名前を大事に出来る自信あるんだけどナ」
振り向いた彼女は荒唐無稽な彼の言動が信じられないとでも言いたげに彼を見つめた。そして、ぽつりと絞り出されたのは疑惑に満ちた問いかけだった。「それはさ、幼馴染みとして大事にしてくれるって意味でしょ?」と。どうも名前には魔法が効きづらいようだ。一か八(ばち)かの勝負に出るしかないと気付いた夏目は真摯な眼差しで彼女に気持ちを明かしていく。
「子猫ちゃんは鈍感だネ。恋人としての話に決まってるのニ」
名前はボクの事、どう思ってるノ?そう訊きながら腰に回された腕は「答えないと離さない」という暗示にも思える。気まずそうに視線を泳がせる彼女は言い淀んた末に本音を顕にした。その台詞を耳にして、夏目は満足そうに唇に笑みを浮かべた。
「私、本当は昔から夏目が好きなんだよ」
私がつむぎ先輩に惚れてるなんて言ったら、少しでもヤキモチ焼いてくれるんじゃないか…って、馬鹿げてるよね。と自嘲的に苦笑した彼女は彼に顎を掬われ、唐突に唇を奪われた。想いの深さを表すように、口付けは濃厚なものになっていく。唇を離すと、真っ赤な顔の彼女に睨まれた。
「なんで突然キスするの」
「名前が可愛すぎるのが悪いんダ」
それと、散々ボクの気持ちを振り回してくれたお仕置きのキスもしちゃおうかナ。と、悪戯っ子のように彼は笑った。一切抵抗せず、少し背伸びをした彼女は自分から彼の唇に唇を重ねた。そして、恥ずかしそうにしながらも彼の反応を伺っている。
「どうして夏目が照れてるの?」
「ボクに魔法をかけたのに自覚なしだなんて、困った子猫ちゃんだネ」
きっとこれは解けない魔法―
END