青葉つむぎ
名前
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―図書委員の青葉つむぎと名前は二年生の頃からの知り合いだった。静かな図書室で一人、本の整理に勤しんでいる彼の肩をぽんと叩けば「ひぁうっ」なんて情けない声が聞こえ、名前は苦笑した。
「そんなに驚かなくてもいいでしょ」
「すみません。作業に集中していたものですから…」
言葉ではこう言っているが、こんな可愛い女の子が俺なんかに話しかけてくれるなんて何か思惑があるに違いない。という弱気な思考で埋め尽くされているのが本来の彼である。
「私も手伝っていいかな?」
有無を言わさず、彼が抱えていた本の山から半分取って「これはこの棚でいい?」と、てきぱきと作業を進めていく名前の姿に止める気も失せたつむぎはお礼を告げて反対側の棚に足を進めた。
つむぎと親密な仲なりたいが為に、足繁く図書室に通っていた名前がこの好機を逃す筈がなかった。つむぎくん鈍感そうだもんなぁ…と、恋愛小説を棚にに戻しながら、はぁ…と物憂げな溜め息を漏らす彼女の姿を反対側からつむぎが盗み見ていたとは露ほども気付かずに名前は手にしていた最後の本に視線を向けた。
「この本…一番上の棚かな…」
自分よりも背の高い位置の棚に本を戻そうと手を伸ばし、更に背伸びをした。届きそうで届かないという状況に諦めかけた彼女のもとに一つの影が迫った。
―「高い場所は無理しなくていいですよ」
名前の代わりに本を棚に戻したつむぎは彼女を後ろから抱きしめるような体制になっている。それに気付いた時にはすでに遅し。棚に手をついて、いわゆる壁ドンの姿勢になっている。名前は身動きもとれずに間近に迫ったつむぎと視線を絡めた。言わずもがな、その顔は赤く染まっている。
「つむぎく…「名前さん、顔が真っ赤ですよ。どうしたんですか?」
速くなった鼓動に気付かないふりをして、名前はつむぎの首に腕を回した。幸い、図書室には彼ら以外誰も居ない。
「つむぎくんの事、ずっと好きだったって言ったら信じてくれる?」
「いくらなんでも、そんな夢みたいな事…」
鈍感で腰が低すぎる彼にはこれくらい大胆にならないと分かってもらえないのかも。と、決意に満ちた目をした名前に唇を奪われたつむぎは足元から崩れ落ちて、暫く茫然自失していた。
「これが夢なら覚めたくない…」
「夢じゃないよ。もっとチューしてあげようか?」
俺だってずっと好きだったんだ―
END