逆先夏目
名前
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―「HoHo~♪ししょ〜、嫉妬してるな〜」
夏目を見て一言。「宙には分かります!」と自信満々な面持ちで宙は笑う。レッスンのない本日。放課後のブレイクタイムにガーデンテラスにてお茶をしていた名前と宙。名前がお手製のクッキーを宙にあーんして食べさせていたところに「子猫ちゃん。顔が緩みきっているヨ」と現れたのは逆先夏目である。「宙くんの可愛さに癒されてたのに…。夏目くん何か用?」とぶっきらぼうに問いかけて彼女は夏目を一瞥した。近頃、夏目を避けていただけに、極力会いたくなかったのだ。「嫉妬なんかしてないけド。宙の気のせいじゃないかナ」と答えるその様子は、彼らしくもなく何だか取り繕っているように思えた。幼馴染みの夏目。彼にこんなにも苦手意識を抱くようになったのはいつ頃だったか。「子猫ちゃん」その呼び方は自分だけに向けられているわけではなかった。同じく、隣のクラスにいるプロデューサーのあんずのことも彼は「子猫ちゃん」と呼んでいた。そりゃあ、自分よりも彼女のほうが可愛くていい子なのだから、夏目が惹かれるのも当然だよなぁ…と、自己嫌悪に陥ってしまう。そんな彼女の肩に、ぽんと手を置いた彼は「約束忘れたノ?」と問いかける。「ううん。そもそも、夏目くんが教室にいないのが悪いんじゃない」そう。本日、名前は逆先家に泊まる予定だったのである。それもこれも、夏目と名前をくっつけようと企てている彼らの母の作戦に起因していた。有名な占い師である夏目の母が家を留守にしている間、お泊まりすればいい。と夏目の母から誘われた彼女は頷く他なかった。花嫁修業と称して料理を頑張ってきたのだから、手始めに夏目に査定してもらえばいい。と名前は潔く腹を括っていたのだ。
「マミィ達の提案には驚いたけど、子猫ちゃんが泊まりに来てくれるのは嬉しいヨ」
「夏目くん…手、離して」
学院からスーパーへの道程、それから彼の自宅に着くまで…名前がどんなに拒もうと彼は繋いだ手を離してはくれなかった。付き合っているわけでもなんでもないのに。こんなことがちょっぴり嬉しいと感じてしまう自分はどうかしてしまったのかもしれない。と、彼女は頭を悩ませていた。そして、夕飯を作っている現在も彼の行動には困惑させられている。彼の母が用意してくれたというフリフリとしたエプロンをつけている彼女の腰に後ろから手を回して密着してくる彼をどうしたものか。と「ご飯作ってるのに、邪魔なんですけど」と文句を言えば想定外の台詞が返ってきたせいで彼女は何も言えずに口を噤んだ。形の整えられたハンバーグは焼く前の段階まで完成していた。「名前がボクの奥さんになったみたい。離したくなくなったよ」と真摯な口調で彼は告げる。「離してくれないと夕飯作れないんだけど…」と少し抵抗してみれば「夕飯は後にして、このまま寝室に行こうか」と夏目はとんでもない発言をする。「夏目くんはあんずちゃんのことが好きなんじゃないの?」とずっと気になっていたことを問いかける彼女の顔は切なげに顰められていた。
―「さっきボクが言ったこと覚えてル?」と夏目は笑みを携えてベッド上で名前を抱き締めている。先程言われた言葉を思い出しながら、彼女はこの状況を受け入れなければと必死になっていた。「ボクの好きな子はあんずじゃない。名前だよ」と。「好きな相手にしかこんなことしないよ」と、いつもの語尾を歪めた喋り方ではないその発言は彼の本音だった。夏目の腕の中でこんなにも胸を高鳴らせている自分は、本当に彼のことを苦手としているのだろうか。そう思い込むことで彼への恋心を自覚しないようにしているのではないだろうか。そう。認めたくなかったのだ。夏目が好きだという事実を…。
「ねぇ…。ほんとに同じベッドで寝るの?」
「子猫ちゃんも往生際が悪いネ。ボクの気持ちも考えてほしいナ」
「名前とひとつ屋根の下にいるのに、何もしないなんて勿体無いことボクには出来ないヨ」と彼女の頬に手を添えた彼は親指の先でその唇をなぞる。片手で腰を抱いている彼はまるで彼女を逃がさまいとするようだった。目を閉じた名前は全てを受け入れたように思えた。やがて、夏目が触れるだけの口付けを落とした。唇を離すと、顔を紅潮させた彼女が恥ずかしそうに顔を背ける。「これくらいで照れてるノ?今からもっといいことするのに、耐えられるかナ?」と寝間着の間から手を差し込まれ、彼の手が素肌に重なった。お風呂後からブラを付けていなかった為、遮るものは何も無かった。胸の上まで捲り上げられ、その膨らみは外気に晒された。「何も付けてないなんて、ボクを煽ってるとしか思えないネ」とその先端に舌が這わせられ、もう片方も指で愛撫される。あまりの羞恥心に逃げ出したいのに、彼から与えられる快楽を拒むことが出来ない。それ程に身体が疼いてしまったのである。
「ァア…っ。やだァ…っ。夏目く…っ」
「嫌なんダ…?じゃあ、やめちゃおうかナ」
名前から距離を取った夏目はそう言って悪戯に微笑む。その視線は彼女の反応を見て楽しんでいるように瞳は弧を描いている。ジト、と彼を見やった彼女は「嘘。夏目くんシたいんでしょ?」と彼のうなじに腕を回す。甘く誘うような笑みは彼の心を掻き乱した。「ほら、好きにしていいから」と彼の手を取り、そのまま胸に押し当てる大胆な行動は普段の彼女からは到底考えられないものだった。「そんなこと言って、どうなったって知らないかラ」と履いていたものを脱がされ、ショーツのクロッチ部分をツーっとなぞられる。ぐっしょりと濡れているのが嫌でも分かってしまう。案の定、彼からは「こんなに濡らして、名前はほんと淫乱だネ」とせせら笑われた。悔しくなった彼女は「べつに、夏目くんのなんかいらないもん」と精一杯の反抗をしてみせる。その姿に流石に虐めすぎたか。と眉を下げた彼は彼女の頭をよしよしとなでた。
「ボクをこんなに昂らせた責任は取ってもらうヨ。子猫ちゃん」
ショーツを取り払われ、充分すぎるほどに潤ったそこに彼の男根が収まる。あんなに拒んだのに、身体は正直というのは本当なのか。と納得してしまう自分が腹立たしかった。だが、愛しげな眼差しを自分に向け、感じているのか表情が色っぽくなっている彼を見れば全てがどうでもよくなるのだから不思議なものだ。破瓜された痛みすら感じさせないのは、優しいキスと弱い箇所への執拗な愛撫のおかげか。痛みよりも快楽のほうが勝っていた。卑猥な水音が部屋に響き、彼らは背徳というものを身を持って実感していた。「夏目くん」と名を呼ばれると、それだけで心が揺さぶられた。彼のものが出し入れされる度に彼女の嬌声が大きくなっていった。「好きなの…っ」と、唐突な告白と同時に締め付けられ、彼は彼女のナカで最初の絶頂を迎えた。
END