2wink
名前
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-「朔間さんは軽音部の後輩を愛し子って呼び方するけど、葵兄弟は私の愛し子なんですからね」
「また、そんな細かいことを…。我輩からすれば名前の嬢ちゃんも愛し子じゃよ」
軽音部の活動日。暗くなった頃に起き出した朔間零と名前の口論が部屋に響いていた。2winkのふたりと名前は互いが小学生だった頃からの付き合いであり、夢ノ咲学院で再会した彼女は彼らを溺愛していた。そんな場に遅れて登場したのは話題に出されていた双子だ。「なんか言い争ってませんでした?」と外まで声が聞こえていたのかゆうたが問いかける。それに答えたのは零だった。「名前の愛情は重たい。っていう話をしていただけじゃよ」と。その台詞だけで判断すると、まるで恋バナでもしていたようで、焦った様子のひなたとゆうたは両側から彼女の手を掴んだ。その行動はまるで、誰にも渡さないという独占欲を表しているようだった。
「朔間先輩といえども、名前先輩はあげませんからね!」
「何か勘違いさせてしまったかの?吾輩と名前はべつに何もないわい」
「っていうことは、他の先輩と!?」
今度はひなたが焦燥感に駆られた声をあげた。だが、それも全くの見当違いである。彼らに手を握られたままの彼女の頬は緩みきっていた。「両想いで何よりじゃの。そのにやにやしたみっともない顔をどうにかしたらどうじゃ?」と零が言及するが、彼女の表情は嬉しそうな笑顔のままだ。「双子ちゃんと両想いなのに、にやにやせずにいられるかって話ですよ」と「これで分かったでしょ?」というように名前はふたりと顔を見合わせた。「吾輩の前で惚気けるのはやめておくれ」と零はやれやれというように彼らを見つめていた。すると、突然思い付いたように提案したのは名前である。「私、このまま愛し子達とデートするので帰りますね」と。
―「ふたりとも、昔は名前ちゃんって呼んでくれてたのに…」
夜の空気を吸い込んで、ふぅ…と溜め息をついて彼女は繋いだ手をぎゅっと握り直した。「じゃあ…今日だけ昔の呼び方に戻そうかな」と、ひなたは笑顔を浮かべて「名前ちゃん。デートするって本当?」と問いかけた。「もう暗くなる時間だし、デートって言っても私の家でお泊まりデートなんだけどね」と苦笑するが、その発言を聞いて彼らは胸を高鳴らせた。それと同時に自分達のことを異性として見ていないのでは?と思わされた。「さぁ、上がって上がって。今日は私以外誰も居ないから」と彼らを家に招く彼女から想像通りの一言が。リビングのソファーに腰掛けると彼らの距離がぐっと縮まった。「絶対分かってないよね?男は誰でも狼なのに…」「俺たちは名前ちゃんが覚えてる時の小学生の俺たちじゃないんですよ」とあまりにも隙だらけの彼女の腕に腕を絡ませて双子は鼻先が触れそうな距離まで顔を近付ける。
「どうせ、お風呂も寝る時も一緒。なんて言うんでしょ?」
「まぁ…寝る時は川の字で一緒に寝ようと思ってたけど」
「名前ちゃん無防備すぎるでしょ。油断してると、双子の狼に食べられちゃいますよ?」
確かに、いつまで経っても彼らを子供扱いしてしまうところがある。幼い頃のイメージが付き纏っているせいだ。しかし…あの頃違うのは、今では両隣からぴったり密着されるとドキドキしてしまうことだ。「昔と違って、俺たちの身長伸びたでしょ?」と耳元で囁かれ、ふたりの腕の中に拘束されてしまった。あんなに可愛かった双子が…いや、今も可愛いけど、男の子っぽく成長したことだ。と状況が状況にも関わらず感慨深い気持ちになった彼女は暫く幸せに浸ることを決めこんだ。溺愛している2winkに抱きしめられているという時間を。「幸せすぎて死にそう…」と恍惚とした表情でぽつりと呟くと、ふたりはオーバーリアクションで返してくれる。
「名前ちゃん。死なないで…!」
「俺たちと結婚するって約束したでしょ?」
「やばいそれ。指切りげんまんした覚えある」
END