2wink
名前
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―「兄貴ってば、今何隠したの?」
「いや、何でもないよ」と何かをポケットに突っ込んで笑うひなたを訝しげに見つめる弟のゆうた。葵家のベランダで洗濯物を取り込んでいたひなたは足早に自室に戻っていく。ぱたんと扉を閉めて、ポケットから取り出した物を広げては溜息を零した。それは男所帯の葵家では見慣れない、女性ものの白いレース素材のショーツだった。持ち主は恐らく、隣人である名前。隣に住んでいる名前は一つ歳上のおねーさんであり、ひなたの想い人でもあった。
「ゆうたくんに言ったら誤解を招くかもなぁ…」
これは弟には内密にしておこうと心に決めたひなたはぽつりと独りごちた。彼もお年頃なのだから、好きな相手の下着が手元にあるなんて、いかがわしい妄想が浮かぶのも当然だ。下着姿で自分に迫る彼女の姿を想像しては、邪念を振り払うようにぶんぶんと首を振った。「名前さんに嫌われたらどうしよう…」と、臆病な思考回路に陥っている彼は悩んだ末に可愛らしい紙袋にそれを入れて部屋を後にした。ゆうたには「少し出掛ける」と伝言をして。
―「私のパンツじゃオカズにもならなかったか…」
「飛んできた洗濯物、届けに来ました」とひなたが差し出した紙袋の中身を確認した名前は残念そうにくすりと笑ってひなたを見据えた。何を言われるのだろう…と冷や冷やしている彼だったが、促されるがままに彼女の部屋に招かれた。初めて入った彼女の部屋の入り口で身を固くしているひなたの様子を察して名前がからかうな口調で「ひーなーたーくん」と、彼の額をちょんとつついた。
「名前さん…子供扱いしないでください」
一つしか歳が違わないのに…と、ムッとした表情を滲ませたひなたに「じゃあ…大人の遊び、したいんだ?」と誘惑するように胸をくっつけて顔を覗き込んだ彼女の眼差しは、情欲の熱が宿る彼の視線と重なった。余裕そうな彼女を驚かせてみたい。そう感じた彼の手が彼女に伸ばされ、気付けば名前はひなたの腕の中にすっぽりと収まっていた。
「俺の事、男として意識してくださいよ」
「…意識してるよ。それに、こんな事されたら好きになっ、」
真摯な口調で話しかけるひなたに、照れたように頬を染めた彼女は答える。こんなことされたら好きになっちゃう。そう言い終わる前に彼女の唇が彼からのキスで塞がれたのであった。可愛い歳下のひなたに唇を奪われ、言葉を失ったように口を噤んでいる彼女を、彼が再び抱きしめて耳元で囁いた。
「好きになってほしいから、してるんですよ」
END