2wink
名前
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―「ゆうたくんじゃなくて残念?」
「ひなたくん…」
誰かと待ち合わせもしていなければ、デートなんてとんでもない。一人で街中をぶらぶらしてただけ。そんな私は偶然出会った彼の顔を見て心臓が跳ねた。私が好きなのはひなたくんじゃなくて弟のゆうたくんなのだけど、ひなたくんは元クラスメイトだったわけで私の気持ちに気付いているんだと思う。好きな人と瓜二つの、ご尊顔を前にして落ち着かない私に対して彼はにっこりと微笑む。
「これじゃあ俺とデートしてるみたいになっちゃうね」
アイドルとデートなんて滅相もない。けれど私が長年片想いしているゆうたくんもアイドルなわけだ。「前より綺麗になったみたい」なんてお世辞に決まってるのに嬉しくて、ゆうたくんに会いたくなった。本当にひなたくんが連絡してくれたけど会いたがってるのは自分だけでゆうたくんはそうじゃないかもしれないし。なんて…切ない気持ちを誤魔化すために苺パフェを食べて意識を逸らす。
「名前ちゃん甘党なんだから俺にしとけばいいのに」
ひなたくんが連れてきてくれたカフェのスイーツはすごく美味しいけど、それとこれとは話が違うくないですか。などと私がアイスコーヒーを飲みながらよそ見していた刹那、待ち侘びた彼の声が耳に届いた。「アニキってば、名前ちゃんを口説いてる?」と。
「名前ちゃんはゆうたくんが好きなんだから、口説いても無駄だったね」
「…〜っ!ひなたくん!」
悪戯っぽく笑った彼はカフェを出た後「あとはゆうたくんとデートしなよ」と告げてあっという間に立ち去ってしまった。ひなたくん相手にはこんなにドキドキしなかったのに…。久しぶりに会った彼は見た目で違いがわかるようになっていた。髪も伸ばして、可愛いよりかっこいいって印象が強い。じっと見つめられるとドキドキしすぎて逃げたくなった。ひなたくんもいてくれたらこんなことなかったのに…なんて。
「名前ちゃん今付き合ってる人いるんじゃない?」
「見た目も綺麗な大人の女性になったし」と、大好きなゆうたくんから言われると複雑な気持ちになった。私には恋人はいないし、あなたにずっと片想いしてますなんて言えないから。「付き合ってる人なんていないよ」とだけ呟いて彼の隣を歩く。カップルが多くて、私達もはたから見たらそう見えるかも…なんて一人で舞い上がっていたらゆうたくんに手を握られて一気に距離が近くなった。
「ねぇ、アニキが言ってたこと本気にしていい?」
「俺…ずっと名前ちゃんはアニキのことが好きなんだと思ってたんだよ」と、長年勘違いされていた事実が発覚。そして当時、朔間先輩とは仲良くしていたというよりゆうたくんへの恋心に気付かれてネタにされていただけで朔間先輩のことが好きなわけじゃなかったのに、それすらもゆうたくんから「名前ちゃんは朔間さんともイチャついてた」と言われてしまってショック。
「私はずっとゆうたくん一筋なのに」
ビルの影になってる人目に触れない場所で壁ドンされるとは思わなかった。ゆうたくん大胆すぎる…。というか唇奪われたし。あの可愛かったゆうたくんがこんなに雄みのあることしてくるなんて…すごくいい。後頭部をグッと引き寄せられて何度も乱暴なキスをされる。
「ねぇ…ゆうたく…っ」
「こんなことされて嫌いになった?」
「ううん」と首を振ると、抱きしめて「俺もずっと好きだったよ」なんて優しく頭を撫でてくれる。ぎゅうっと抱きついてゆうたくんを堪能していたら「苺の味がする」なんてぽつりと呟く声が聞こえた。そして唇を貪るみたいなキスのあと「名前ちゃんの唇って美味しいね」と。
END
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