朱桜司
名前
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―朱桜邸に一人の来客が訪れて居るとも気付かずに彼、朱桜司は炬燵に入って蜜柑を剥いている。庶民の文化を取り入れてから朱桜家には炬燵が導入されていた。なんて平和なのだろうか…と温かさにうつらうつらし始めた時、ノックもなしに部屋の扉が開かれて一人の少女が姿を現す。
「かーさくん」
その呼び方にユニットの先輩の姿を彷彿とさせたが、目前に居るのは自らの許嫁だ。久しぶりに司に会えてご満悦の名前とは引き換えに、どうして彼女がその呼び方を知っているのか頭の中は疑問で埋め尽くされた。
「その呼び方やめてくれませんか?」
「嫌だ。だって、かさくん私をライブに呼んでくれなかったでしょ?」
ムッとした表情を浮かべて炬燵に入ってきた彼女にげしげしと脚を蹴られた。アイドルとして舞台に立っている姿を見られるのは気恥しくて、とてもじゃないが名前を招待しようとは考えなかった。それなのに、彼女はわざわざ会場まで足を運んでくれていたのである。炬燵から出て、お茶を飲んでいる彼女の背後に回りこんだ司は、その細い肩を後ろから包み込んだ。
「すみません、名前さん。私は愚か者ですね。嫌われても文句は言えません」
「嫌いになんてなってないよ。でも、ファンの女の子達に笑顔を振りまく司を見てからすごくヤキモチ妬いてるだけ」
「司は私のなのに」と膨れっ面で怒りを表している彼女がとても可愛らしく瞳に映り、宥めるように彼女の頭に手を置いた。
「名前さんはprettyですね」
「かさくんのくせに私を口説いてるの?」
「口説いているわけじゃありません。私をからかわないで下さい」
このからかい方はまるでKnightsの先輩方のようだ。と感じ、なかば諦めたかのように息をついた彼は
今から自室へ来るようにと彼女を誘った。部屋に連れ込むなんて司も大胆になったものだと淡い期待をしている名前の気持ちとは裏腹に、司は全く違う事を考えているのだが。
―「かさくんも漸く私に男の欲を向けてくれる気になったのかな?」
「どうして私のbedに潜っているのですか。私にそんな思惑はないのですが…」
他の用件で彼女を呼んだのにも関わらず、彼は促されるがままにベッドに引きずりこまれた。いつの間にか服を脱いでいた下着姿の彼女から視線を逸らしつつ脱出を試みるが腕に絡んだ手が離してくれる事はなかった。
「名前さん…いけませんよ。こんな…っ」
「遠慮せずに触っていいんだよ」
名前が甘い言葉で司を翻弄していると、決意に満ちた眼差しをした司が腕を掴んでベッドに縫い止めた。何が起こったのか分からずに上を見上げれば、嗜虐的に微笑みながら彼女を見下ろす司と視線が絡んだ。
「私だって男なのですよ」
朱桜家の男子たるもの、女性に主導権を握られるわけにはいきません。と、茫然自失している名前の唇に司の唇が重ねられた。その口付けは次第に深くなっていき、酸素を求めて身じろぎすると漸く開放された。
「歳上の私にこんな事するなんて生意気だよ」
「名前さんのこんなsweetな表情が見られるのなら、生意気で構いません」
「かさくんのばーか」
END