鳴上嵐
名前
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―「アタシが男だって分かってる?」
分かってないでしょう。と、言いたげに瞳を細める嵐くんが鏡に映る。「分かってるつもりなんだけど…」と返答しつつ、本当は分かってないのではないかと感じる。何ていうか、嵐くんはオネェ口調だから女友達と同じ感覚で接してしまう。アイドル達のメイクも担当すると申し出てしてしまった私の練習相手として、最も依頼しやすい相手は交際中の彼だった。
「男相手にそんなにくっついて、無自覚なんだもん…困っちゃうわねェ」
フェイスマッサージをしていた途中、私の胸元に彼の後頭部が当たっている事に気付いた。パウダールームには私達だけしか居ないからいいものの、こんな場面を誰かに見られたら誤解を招いてしまうだろう。鏡に映る彼を一瞥すれば困惑した表情を滲ませていた。
「嵐くんのお肌すごく綺麗だよね」
女の私よりも綺麗な、その白い肌はメイクで一層映える。仕上げのリップの色を選んでいた私に告げられた言葉にはいい意味で吃驚させられた。「貴方と同じ、その色のリップがいいわ」なんて。私は笑って頷いて自分が愛用しているリップスティックの蓋を取った。
「このリップ…私よりも嵐くんの方が似合うね」
「はい、出来上がり」と首にかけていたタオルを外してあげる。私の方へ振り返った彼の唇がほんの一瞬、私の唇に重なった。驚いて言葉の出ない私の前で彼は悪戯っぽく微笑んだ。「同じ色のリップにしたのはこの為よ」なんて―
END