鳴上嵐
名前
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-漫画みたいな幼馴染み関係だったらよかったのに…なんて、馬鹿みたいにフィクション作品に憧れたりした。しかし、女友達からはモデルでアイドルな幼馴染みがいることを羨ましがられたり。そう…私の幼馴染み(お隣さん)はKnightsの鳴上嵐くんだったりする。
「名前ちゃんたら、髪が跳ねてるわよォ?」
「日焼け止めは念入りに塗っておかなきゃ駄目じゃない」
私がズボラすぎるのか嵐くんの女子力が高すぎるのか…。少しくらい嵐くんを見習った方がいいことは分かってるけれど、どうにも変われなくて早数年。私は実家暮らしの垢抜けないOLとして働いているのに対し、彼は今をときめく人気アイドル。住む世界が違いすぎる。だからこそ、私は嵐くんに恋心を抱くことはなかった。ものすごい美人さんだから目の保養になるし、隠れファンみたいなものだと思う。
-「あらやだ。一人で花火なんてしちゃって…」
「煙臭かったよね。ごめんね」
スーパーのくじ引きで貰った花火セットは、夏の終わりにしんみりするにはちょうど良かったのに、まさか庭でぼっち花火してるところを嵐くんに見つかるなんて。暗がりでもわかるくらいに綺麗だなぁ。芋っぽい私とは大違い。色の変わる手持ち花火に注目していたら人影が差して香水のいい匂いがした。顔を上げると優しい笑顔の嵐くんが。「一人で何してんの!?」みたいなドン引きしてもおかしくないだろうに、嵐くん優しすぎる。夏の終わりに人気アイドルと二人きりで花火なんてすごくロマンチックなシチュエーションなのに、私は無言で嵐くんに手持ち花火を手渡して、パチパチと弾けるそれを眺めるだけ。
「名前ちゃんたら今日は静かね」
「あぁ…。私、うるさいもんね。久しぶりに嵐くんに会って緊張してるんだよ」
「アタシは元気な名前ちゃんが好きなのよ。そんな固くならないで」
嵐くんに頭ポンポンされた。お姉ちゃんを自称してるくせにイケメンすぎてずるい。嵐くんの恋愛対象は男なのか女なのか…ずっと触れずにいる話題が脳裏を過ぎる。「好き」って単語に過剰反応して馬鹿みたい。友達としての好きに決まってるのに。蚊取線香の香りが鼻腔を掠め、線香花火がジュワジュワしてるのを見つめる。嵐くんも私も真剣に見入ってるからか静寂な時が流れる。でも、居心地が悪いんじゃなくて安心する空間だった。
「名前ちゃんは相変わらず可愛いわねェ」
「嵐くんはずっと綺麗だよね」
「私は全然可愛くないから!」と全力否定したら嵐くんに「昔よりも綺麗になったって言ったほうがいいかしら」とまた褒め言葉が。恐れ多すぎて消えてしまいたい。超絶美人さんの嵐くんにたとえお世辞でも褒められるのは烏滸がましいというかなんというか。褒められて動揺した拍子に線香花火落ちたよ。ふと気がつけば至近距離に嵐くんの顔があって、全身の血液が沸騰した。
「(嵐くんへのこれは憧れであって、恋愛とは違う…筈!)」
-「明るいところで見たら嵐くんの美しさがカンストしてる」
花火を終えて家に上がってもらったのだけど、美の化身かってレベルで美人さんだよ。蚊に刺され防止用で羽織っていた長袖を脱いだら、私のファッションを一瞥した嵐くんに「女の子らしい格好も似合うわねェ」なんて顎を掬われてじっと見つめられて動けなくなった。いつもの嵐くんとどこか様子が違う。
「私ね…高校生の頃、名前ちゃんが彼氏と歩いてるの見てショック受けたりしてたのよ。彼氏なんて作らないでほしい…なんて、身勝手かしらね」
「そもそも私なんて全然モテないし今だって彼氏いない喪女ですし!嵐くんが心配するようなことじゃ…」
あの嵐くんが私みたいな奴を好きになるわけがない。ましてや焼きもちなんて…と、混乱して頭の中がぐるぐるとしていたら、ふわりと抱きしめられて完全に思考が止まった。何コレ夢!?
嵐くんめちゃくちゃいい匂いする。今までは男性らしさを感じなかったのに、腕の中に閉じ込められると確かに男性らしさが伝わってきて、ドキドキしすぎて耐えられない。嵐くんかっこいい。
「もうお姉ちゃんではいられないみたい。私ね…名前ちゃんのこと、誰にも渡したくないのよ」
「はぁぁ…嵐くんずるい。私だってずっと悩んでたのに。これは恋愛じゃなくて憧れなんだ…って」
クスッと笑ってくしゃりと髪を撫でて耳元で囁いてくるのずるすぎません?嵐くんの雄みを見せられると弱いかもしれない。でも、キスされるかと思って目を閉じたら「名前ちゃんてお肌綺麗ねェ」といつもの嵐くんすぎて肩透かし食らった気分。結局キスはしてくれなかった。
END