瀬名泉
名前
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―「泉ちゃん!久しぶり~」
転校先の夢ノ咲学院で私は瀬名泉と見事同じクラスになった。唯一の知り合いの姿を見つけて喜び勇んでいる私の手を振り払ったその人物こそ、私の想い人である。
「名前が馴れ馴れしすぎてチョ~うざぁい!泉ちゃんとか呼ばないで」
「昔は一緒に仕事した事もあったのに、冷たい~」
「写真の整理で忙しいんだから邪魔しないでくれる~?」
彼が手にしている写真を見て、私は思わず声を上げた。あろう事か、そこに写っていたのは私も知っている人物なのだから。
「どうして遊木くんの写真持ってるの?私も久しぶりに遊木くんに会いたいなー」
「名前みたいな奴をゆうくんに近付けるわけないじゃん」
あぁ…何故、私はこの人を好きなんだろう。モデル時代から口が悪くてひねくれていたような人なのに…。
◆
.溯る事数年前―
―「歩きにくそうにしてたし、靴擦れしてんじゃないの~?」
そう言って気遣ってくれた彼は私を椅子に座らせ、靴を脱がして丁寧に手当てをしてくれた。いつもそっけないくせに、不意打ちのように優しくされて戸惑った…。
「泉ちゃん…迷惑かけてごめん」
「これくらいで泣かないでよねぇ」
「怪我してるわりには頑張ったんじゃないの〜?」と慰めてくれたのは瀬名泉で合っていたのだろうか…。この人は遊木くんを気にかけてばかりで同じクラスにも関わらず私の事など気に留めてくれやしない。
―「ねぇ、名前ちゃん。放課後、俺とデート行かない?瀬名くんのせいで傷付いた心も癒してあげるからさ」
どうしよう…肩に手を廻されている。羽風くんは優しいけれど多分この人は女の敵だ。泉ちゃんはそっけないし、相手にしてくれるのはありがたいけれど複雑な心境だ。こんな時でも、きっと…彼は助けてくれない。…と、決めつけていたから信じられなかったんだろう。
―「羽風に迫られてじっとしてるとか馬鹿なの?俺に助け求めればいいのに…」
「やっぱり泉ちゃん大好き~!」
私の手を引く彼の姿があの日の姿と重なって見えた。私が好きになったのは間違いなく瀬名泉だ。「なんで泣くわけ~?」と困惑しながらも頭をポンポンと撫でてくれる。
「折角会えたのに喋ってくれないし、冷たいくせに優しい時もあるなんて狡いよ…」
「名前は昔から俺を嫌ってると思ってたから。その割りには『泉ちゃん泉ちゃん』て煩いし意味わかんない」
「でも、一番わかんないのは…名前の事放っておけない俺自身か」と自嘲的に呟いた彼に私はぎゅうっと抱きついた。
泉ちゃんは素直じゃない―
END
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