InsteadLost~sub story~
僕には、友達が居なかった。
周りを見ても、僕を避ける人と僕を敵視する人しか居なかった。
だから僕は友達なんて要らないと、思っていた。
中学校入学式───それはとても憂鬱だった。また、退屈な日々の始まりだと、思っていたからだ。
中学初の着席。あぁ、また雨が降っている。
僕の心と一緒だ。
教室にいる人は僕が入るなり、こそこそと静かに、しかし確かに聞こえる声で話し始めた。
「おい、アレ北区の月山じゃね?!」
「関わるとヤバいらしいよー!」
「目合わせないでおこう?」
……なんてことはない。いつもの事だ。
口の中でキャンディを転がしながらまた外を眺める。
「なぁ、あんた!」
肩をとんとんと叩かれる。
「あんた有名人なのか!?すっげぇな!なんか皆があんたのこと噂してるぜ!?」
この人、馬鹿なのかなぁ?
噂ってか陰口でしょ。
「なぁ!俺、真田勇司!友達になってくれよ!」
勇司と名乗ったその人は、眩しいくらいの笑顔で僕に右手を差し出してきた。
「ぷっ……あはははは!」
何故だろうか、自然と笑ってしまっていた。
不思議な人だ。
「君、面白いね!僕は月山希太。あ、コレ、あげる。僕のお気に入りの苺みるく味。よろしくね、ゆーじ!」
僕はその手に、光に手を述べた。
話しながら、教室の外へ出ると厳つい声が遠くから聞こえてきた。階段の方向だ。
ゆーじが行こうと言って僕の手を引いた。
「は?お前ら何なの?蘭はちゃんと謝ったじゃんか?」
「ちょちょ、誠也!余計拗れるからっ…!」
「そのナヨナヨした身体でもよぉ?あんなに激しくぶつかってこられると痛てぇんだよ!!慰謝料、寄越すんだよなぁ!?」
大体は状況が呑み込めた。
でも二人相手に五人で寄って集って恥ずかしくないのかなぁ?
ここはひとつ、僕が倒して…
「あんたら、五月蝿い。」
「えっ、ゆーじ!?」
隣に居たはずのゆーじがいつの間にか不良五人に話しかけていた。
「そんな大声出さなくても充分教室の方まで聞こえてるし、俺らの連れのもう一人が今先生呼びに行ったから。」
臆することのない真っ直ぐな視線にビビったのか、不良達は逃げていった。
「あ、あの、ありが…」
「ひぇー…超スリル…マジビビったわー。」
「「「え?」」」
「え、だって不良だぜ?なるべく関わりたくないじゃん?」
いやいや、僕も不良だし。やっぱり、
「ゆーじって面白いなぁ…!」
それがせーやとらんとの出会いであり、僕達四人が友達になったきっかけだった。
それからは、毎日のように四人で放課後に遊んだ。
ゆーじ達のお陰で大分僕の悪いイメージも払拭されたみたいだ。女子にも告白されるようになった。ゆーじは悔しがってたけど。
僕は、ゆーじから沢山のものをもらった。
だから、なんの躊躇もなく囮になる覚悟ができた。結局、なれなかったけど。
あの時、手を述べてくれてありがと、ゆーじ。
あの時から、僕の世界に色が着いたんだ。
ありがとね、僕の救世主。
周りを見ても、僕を避ける人と僕を敵視する人しか居なかった。
だから僕は友達なんて要らないと、思っていた。
中学校入学式───それはとても憂鬱だった。また、退屈な日々の始まりだと、思っていたからだ。
中学初の着席。あぁ、また雨が降っている。
僕の心と一緒だ。
教室にいる人は僕が入るなり、こそこそと静かに、しかし確かに聞こえる声で話し始めた。
「おい、アレ北区の月山じゃね?!」
「関わるとヤバいらしいよー!」
「目合わせないでおこう?」
……なんてことはない。いつもの事だ。
口の中でキャンディを転がしながらまた外を眺める。
「なぁ、あんた!」
肩をとんとんと叩かれる。
「あんた有名人なのか!?すっげぇな!なんか皆があんたのこと噂してるぜ!?」
この人、馬鹿なのかなぁ?
噂ってか陰口でしょ。
「なぁ!俺、真田勇司!友達になってくれよ!」
勇司と名乗ったその人は、眩しいくらいの笑顔で僕に右手を差し出してきた。
「ぷっ……あはははは!」
何故だろうか、自然と笑ってしまっていた。
不思議な人だ。
「君、面白いね!僕は月山希太。あ、コレ、あげる。僕のお気に入りの苺みるく味。よろしくね、ゆーじ!」
僕はその手に、光に手を述べた。
話しながら、教室の外へ出ると厳つい声が遠くから聞こえてきた。階段の方向だ。
ゆーじが行こうと言って僕の手を引いた。
「は?お前ら何なの?蘭はちゃんと謝ったじゃんか?」
「ちょちょ、誠也!余計拗れるからっ…!」
「そのナヨナヨした身体でもよぉ?あんなに激しくぶつかってこられると痛てぇんだよ!!慰謝料、寄越すんだよなぁ!?」
大体は状況が呑み込めた。
でも二人相手に五人で寄って集って恥ずかしくないのかなぁ?
ここはひとつ、僕が倒して…
「あんたら、五月蝿い。」
「えっ、ゆーじ!?」
隣に居たはずのゆーじがいつの間にか不良五人に話しかけていた。
「そんな大声出さなくても充分教室の方まで聞こえてるし、俺らの連れのもう一人が今先生呼びに行ったから。」
臆することのない真っ直ぐな視線にビビったのか、不良達は逃げていった。
「あ、あの、ありが…」
「ひぇー…超スリル…マジビビったわー。」
「「「え?」」」
「え、だって不良だぜ?なるべく関わりたくないじゃん?」
いやいや、僕も不良だし。やっぱり、
「ゆーじって面白いなぁ…!」
それがせーやとらんとの出会いであり、僕達四人が友達になったきっかけだった。
それからは、毎日のように四人で放課後に遊んだ。
ゆーじ達のお陰で大分僕の悪いイメージも払拭されたみたいだ。女子にも告白されるようになった。ゆーじは悔しがってたけど。
僕は、ゆーじから沢山のものをもらった。
だから、なんの躊躇もなく囮になる覚悟ができた。結局、なれなかったけど。
あの時、手を述べてくれてありがと、ゆーじ。
あの時から、僕の世界に色が着いたんだ。
ありがとね、僕の救世主。
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