InsteadLost

シニエリウスとロンタゼルスの衝突は終わり、和解と共に陰っていた眩い陽が顔を出し始めた。

「あの森で。昔三人でよく冒険した森で、ヒィが待ってる。」
行こう、とロンタゼルスが手を差し伸べる。
シニエリウスはそれに自らの手を重ねた。

「じゃあアニキ、ゆっくりしてきて下さいね!」
ヤエドは気を利かせ、別行動をとるという。

ユニコーンに二人で跨り、駆けていく中でロンタゼルスは口を切る。

「兄様はさ。父様のこと嫌いだった?」
散々ぶつかり合った後だ、問うのに淀みはなかった。

少し間を置いてからシニエリウスは答えた。
「あの人は、俺に興味を持ってなかった。愛情を俺には向けなかった。だから俺もそれに"応えた"だけだ。」
勿論、全てが全て嫌いだったわけじゃない。
王としては人格者だった。深紅のマントをはためかせるその背中には威厳を感じていた。

それを聞いたロンタゼルスは、シニエリウスが創った嘘に父ガリザウスに起こった真実を話し始めた。



あの夜、遺体に真っ先に駆け寄ったのは父だった。

泣き叫ぶことしか出来なかった自分と母に一日中寄り添ってくれた。

その結果、霜剣の呪いにより右腕を失った。

自室で静かに一人涙を流していたのを見た。

その後も毎朝シニエリウスの墓に花を手向けていた。


「だから、兄様は父様に愛されていたんだよ。」
温かい笑みをシニエリウスに向けるロンタゼルス。

「───そうか。」
相変わらずぶっきらぼうだが、一瞬口元が緩んでいたのをロンタゼルスは見逃さなかった。
わざわざそれを喋るほど野暮ではないが。





「ん。やっと着いたか。」
森の中でヒィと合流するなり、彼女は二人に飛びつくように体重を預けた。

「おかえり!ロンたん、しー兄!!」
「おわっ!?」
「ははは。兄様、ヒィも重くなっただろう?」

やっと。三人の時間は再び動き始めた───。
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