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InsteadLost

勇司達がクストスと特訓している頃───。
ロンタゼルスは近衛兵を連れ、少し遠くまで足を運んでいた。

【鮮血淋漓】。
ブレイカの国宝、”クローフィの霜剣”にかけられた呪い。
一日に三体以上の生物の血を吸わせないと、剣に宿るクローフィに腕を喰われてしまうというものだ。
ロンタゼルスもまた、剣を左手に取ったその日から腕を喰われないようにこうして魔物退治を日課としている。

周辺の魔物を粗方一掃したときだった。

「待って下さいよ、アニキ!」
視界の隅に人影が入る。
あまり整っているとは言えない身なりの男が二人。

近衛兵の一人がロンタゼルスに問う。
「盗賊でしょうか。気になられますか?今のところ、目立った被害は耳にしてませんが…。」
ロンタゼルスは特に気に留める訳でもなく、剣を鞘に収め首を振る。
「なら放っておいて問題無いであろう。帰ろう。」


「あんまり遅いと置いていくぞ。」


もう一人の盗賊が言った。
その口調がロンタゼルスの後ろ髪を引き、立ち止まらせた。
振り返ったロンタゼルスは、目を見張り、汗が頬を伝う。

「に、兄様…?」

髪の色こそ違うが、目鼻が死んだ兄にそっくりだった。

そうだ。兄様は幼くして亡くなられたのだ。
あの、満月の夜に。
傷と火傷でぐちゃぐちゃだったが、確かに遺体だって見たではないか。

ロンタゼルスは混乱の中、必死に自分に言い聞かせる。
しかし激しい動悸が襲い、視界もぼやける。

去って行く盗賊達。
兄によく似た男がこちらを一瞥したのを最後に、ロンタゼルスは意識を手放した。








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