InsteadLost
とうとうやってきたラファガとの対戦。
ヴェルムはコロシアムの真ん中で彼を待っていた。
「待たせてごめんね~、ヴェルムさん?」
ラファガはこの公の場で、酒瓶片手に酔いながら入場してきた。
ざわつく観客に反し、ブレイカ側の人間は何も言わないどころか声援を送っている。
千鳥足で向かってくるその姿には一切の隙が感じられなかった。
これがラファガの奥の手か、とヴェルムは納得する。
「スピサがさぁ。肋骨にヒビ入ってまだ目覚さないんだよねぇ。」
しゃっくりを交えながら話すラファガ。
「おれさぁ。スピサは可愛い後輩だって言ったよね?」
その言葉と声色、作られた笑み全てから怒りが見える。
「私は勝つ為に必死だっただけよ。後悔はしてないわ。」
「うんうん。"ヴェルムさんは"それでいいと思うよ。それがきみの信念だからね。」
残った一滴まで呑み干し、空瓶を魔法空間に仕舞う。
そして二回戦は始まった。
「よっと。」
ラファガはいきなり逆立ちすると、片手を軸に回転を起こしそれが突風となってヴェルムに襲いかかる。
それはほんの一瞬、擦っただけでヴェルムの身体のあちこちに切り傷を作った。
突風は戦場を縦横無尽に吹き荒れる。
全てを避けるのは不可能で、傷だけが増えていく。
どうすべきか悩むヴェルム。
突風を超えるような烈風を起こせたら。
深く深呼吸し、手首に巻いてある風の大樹のツタから意識を拳に集中させる。
疾く。鋭く。剛く───。
烈風は、突風をも吹き飛ばした。
「ラファガ、場外!勝者、ヴェルム!」
「今の…力は…?」
困惑するヴェルムにラファガは声を振り絞る。
「付与魔術…だね。あー…悔しいなぁ…。」
その後、医務室にて。
「!!先輩の試合っ…!?」
急に身体を起こしたスピサ。反動で上半身に重い痛みが走る。
「終わったよ。仇、とってあげられなくてごめんね。」
「せ、先輩!!?その傷…。」
珍しくスピサが心配すると、ラファガは平気だと笑って見せた。
「スピサの為だもん、こんなの大したことないよ。」
眩しい笑顔に、スピサは言葉を失った。耳まで真っ赤にしながら。
「で、どういうことだ。ヴェルム。」
腕組みしながら、正座で小さくなっているヴェルムを見下ろすクストスがそこにはいた。
翌日の決勝戦、折角クストスが観に来たのにヴェルムは敗北してしまった。
「ブレイカ王から聞いたぞ。二回戦で"偶然"付与魔術が使えたそうだな?旅に出て暫く経つが?学園にも通わせてもらったと聞いたが?」
平謝りするヴェルムと、クストスの圧に端から見てることしか出来ない勇司達。
灰皿は、もう吸い殻でいっぱいだ。
そんなクストスの不機嫌で、武術大会は幕を閉じたのだった。
ヴェルムはコロシアムの真ん中で彼を待っていた。
「待たせてごめんね~、ヴェルムさん?」
ラファガはこの公の場で、酒瓶片手に酔いながら入場してきた。
ざわつく観客に反し、ブレイカ側の人間は何も言わないどころか声援を送っている。
千鳥足で向かってくるその姿には一切の隙が感じられなかった。
これがラファガの奥の手か、とヴェルムは納得する。
「スピサがさぁ。肋骨にヒビ入ってまだ目覚さないんだよねぇ。」
しゃっくりを交えながら話すラファガ。
「おれさぁ。スピサは可愛い後輩だって言ったよね?」
その言葉と声色、作られた笑み全てから怒りが見える。
「私は勝つ為に必死だっただけよ。後悔はしてないわ。」
「うんうん。"ヴェルムさんは"それでいいと思うよ。それがきみの信念だからね。」
残った一滴まで呑み干し、空瓶を魔法空間に仕舞う。
そして二回戦は始まった。
「よっと。」
ラファガはいきなり逆立ちすると、片手を軸に回転を起こしそれが突風となってヴェルムに襲いかかる。
それはほんの一瞬、擦っただけでヴェルムの身体のあちこちに切り傷を作った。
突風は戦場を縦横無尽に吹き荒れる。
全てを避けるのは不可能で、傷だけが増えていく。
どうすべきか悩むヴェルム。
突風を超えるような烈風を起こせたら。
深く深呼吸し、手首に巻いてある風の大樹のツタから意識を拳に集中させる。
疾く。鋭く。剛く───。
烈風は、突風をも吹き飛ばした。
「ラファガ、場外!勝者、ヴェルム!」
「今の…力は…?」
困惑するヴェルムにラファガは声を振り絞る。
「付与魔術…だね。あー…悔しいなぁ…。」
その後、医務室にて。
「!!先輩の試合っ…!?」
急に身体を起こしたスピサ。反動で上半身に重い痛みが走る。
「終わったよ。仇、とってあげられなくてごめんね。」
「せ、先輩!!?その傷…。」
珍しくスピサが心配すると、ラファガは平気だと笑って見せた。
「スピサの為だもん、こんなの大したことないよ。」
眩しい笑顔に、スピサは言葉を失った。耳まで真っ赤にしながら。
「で、どういうことだ。ヴェルム。」
腕組みしながら、正座で小さくなっているヴェルムを見下ろすクストスがそこにはいた。
翌日の決勝戦、折角クストスが観に来たのにヴェルムは敗北してしまった。
「ブレイカ王から聞いたぞ。二回戦で"偶然"付与魔術が使えたそうだな?旅に出て暫く経つが?学園にも通わせてもらったと聞いたが?」
平謝りするヴェルムと、クストスの圧に端から見てることしか出来ない勇司達。
灰皿は、もう吸い殻でいっぱいだ。
そんなクストスの不機嫌で、武術大会は幕を閉じたのだった。
