InsteadLost
「はぁ。流石に疲れたわ…。」
ヴェルムは見事に予選のバトルロワイヤルで勝ち残った。
女性、しかも露出の多い外見から数多の出場者に襲われた疲労で、今はぐったりしている。
勘の鋭い者は様子見をしていたようだが。
「ていうかヴェルム、貸し出しの防具付ければ良かったのに?」
誠也が心配するも、ヴェルムはやつれた顔を更に青ざめさせ、断る。
「いえ、遠慮するわ…。…後で兄上に何を言われるか…大体想像出来るもの。」
「それにしてもスピサくん、凄かったわね。」
スピサもまた、その立場から大勢から狙われたが、今年入った新米とは思えない程、破竹の勢いで打破していた。
反してラファガは、敵の攻撃を避けるばかりでおどおどした態度は変わらなかった。
明日の初戦ではスピサと当たる。
スピサに勝てば、恐らく勝ち上がってくるだろう、ラファガと戦うことになる。
だからこそ、ラファガの力を見ておきたかったとヴェルムは残念がった。
───ヴェルム達が眠りについた頃。酒場では。
「乾杯ーっ!」
店の奥のテーブル席ではラファガが予選を観ていた同僚達から称賛されていた。
「ラファガ、よく残ったじゃねぇか!」
「流石、第三騎士団の長だな!だが、酒の力は借りなかったのか?」
「ん、手の内は救世主様パーティのエルフちゃんにとっておこうってな。」
そこでラファガはカウンターで一人、酒を片手に自分の方を睨んでいるスピサを見つける。
「ちょっと席外すわ。」
そしてスピサの隣に座り、彼の頭をわしゃわしゃとした。
「スピサも今日、よく頑張ったなー。」
急なことに驚いたスピサは、ジョッキの酒を一飲みし、
「しぇ、しぇんぱい!!明日の初戦、絶対勝ちますから!!だからぁ…オレのことちゃんと…見て…くらさい…。」
糸が切れたように、寝てしまった。
ふらりと行き場の失った上半身をラファガが支える。
そのまま軽い身体の彼をお姫様抱っこし、
「皆~。わりぃけど先、寮帰るわ。」
二人は帰路についた。
翌日。ロンタゼルスが初戦の火蓋を切る。
「それでは、スピサ=イースクラ対ヴェルムの戦闘───、」
ヴェルムはにこやかにしているが、相変わらずスピサは睨みを利かせている。
「───始め!」
先手を打ってきたのはスピサだ。
俊敏に火を纏ったレイピアで、ヴェルムの隙を突き続ける。
端から見ればそれは、ぱちぱちと弾ける火花のようで。
防戦一方のヴェルムだったがその剣術を目で追い、癖に気付く。
「ごめんなさい、ちょっと痛くするわね。」
迫るレイピアの切っ先の合間を見て、低く体制を落としスピサが腕を伸ばした瞬間、思い切りみぞおちを下から蹴り上げた。
「先輩…ごめんな…さい…。」
そう呟き、床に倒れ込んだ。
「そこまで!勝者、ヴェルム!」
意識のないスピサの目元に溜まった雫は、痛み故か、それとも───。
答えは誰も知る由もないのだった。
ヴェルムは見事に予選のバトルロワイヤルで勝ち残った。
女性、しかも露出の多い外見から数多の出場者に襲われた疲労で、今はぐったりしている。
勘の鋭い者は様子見をしていたようだが。
「ていうかヴェルム、貸し出しの防具付ければ良かったのに?」
誠也が心配するも、ヴェルムはやつれた顔を更に青ざめさせ、断る。
「いえ、遠慮するわ…。…後で兄上に何を言われるか…大体想像出来るもの。」
「それにしてもスピサくん、凄かったわね。」
スピサもまた、その立場から大勢から狙われたが、今年入った新米とは思えない程、破竹の勢いで打破していた。
反してラファガは、敵の攻撃を避けるばかりでおどおどした態度は変わらなかった。
明日の初戦ではスピサと当たる。
スピサに勝てば、恐らく勝ち上がってくるだろう、ラファガと戦うことになる。
だからこそ、ラファガの力を見ておきたかったとヴェルムは残念がった。
───ヴェルム達が眠りについた頃。酒場では。
「乾杯ーっ!」
店の奥のテーブル席ではラファガが予選を観ていた同僚達から称賛されていた。
「ラファガ、よく残ったじゃねぇか!」
「流石、第三騎士団の長だな!だが、酒の力は借りなかったのか?」
「ん、手の内は救世主様パーティのエルフちゃんにとっておこうってな。」
そこでラファガはカウンターで一人、酒を片手に自分の方を睨んでいるスピサを見つける。
「ちょっと席外すわ。」
そしてスピサの隣に座り、彼の頭をわしゃわしゃとした。
「スピサも今日、よく頑張ったなー。」
急なことに驚いたスピサは、ジョッキの酒を一飲みし、
「しぇ、しぇんぱい!!明日の初戦、絶対勝ちますから!!だからぁ…オレのことちゃんと…見て…くらさい…。」
糸が切れたように、寝てしまった。
ふらりと行き場の失った上半身をラファガが支える。
そのまま軽い身体の彼をお姫様抱っこし、
「皆~。わりぃけど先、寮帰るわ。」
二人は帰路についた。
翌日。ロンタゼルスが初戦の火蓋を切る。
「それでは、スピサ=イースクラ対ヴェルムの戦闘───、」
ヴェルムはにこやかにしているが、相変わらずスピサは睨みを利かせている。
「───始め!」
先手を打ってきたのはスピサだ。
俊敏に火を纏ったレイピアで、ヴェルムの隙を突き続ける。
端から見ればそれは、ぱちぱちと弾ける火花のようで。
防戦一方のヴェルムだったがその剣術を目で追い、癖に気付く。
「ごめんなさい、ちょっと痛くするわね。」
迫るレイピアの切っ先の合間を見て、低く体制を落としスピサが腕を伸ばした瞬間、思い切りみぞおちを下から蹴り上げた。
「先輩…ごめんな…さい…。」
そう呟き、床に倒れ込んだ。
「そこまで!勝者、ヴェルム!」
意識のないスピサの目元に溜まった雫は、痛み故か、それとも───。
答えは誰も知る由もないのだった。
