InsteadLost
魔術大会が終わり、次の朝のこと。
その日は勇司達が王血の魔方陣でイルシオンを去る日だった。
王座の間にてパウジェに挨拶をしていた。
しかしイルシオン城が騒々しくなってきた。
城中で兵や侍女が慌てふためいている。
「お待ち下さい、エルルン様っ!」
誰もがそういった声をあげていた。
「エルルン…様?誰だ?酷い騒ぎになってるが。」
勇司の問いにクレイが答えた。
「御伽之国の現女王、エルルン=アリス様ね。クソ親父がお父上の治療に以前伺った事があるわ。」
パウジェは表情を曇らせている。
「お邪魔致します、パウジェ"前"王。」
そう言って勢いよく扉を開け入って来たのは、兎の耳と尻尾を生やした少女。
豪勢なドレスやティアラを纏っているが、見たところまだまだ幼い子供だ。
「今回の件、一体どういう事なのでしょう?何故、今更あなたが再び王を名乗っているのです?あなたにそんな資格があるとでも?」
するとひっそりと後をついてきた、童話の冒険者のような風貌の男がエルルンをなだめる。
「姫様。お行儀が悪いですよ。他国で粗相があれば我が国の格も下がります。」
クレイはひっそり呟く。
「彼はエルルン様の行政の手伝いをしている、通称・夜の王、ピッドナイト様ね。」
エルルンの怒りは収まることなく、更にパウジェへの罵倒は続く。
「あなたが他の前王達を…両親を見殺しにしたこと。たったの五年で許せるとでもお思いですか。わたくしはあなたを、許さない。」
エルルンが大きな瞳で睨みを利かせると、パウジェは立ち上がり、深々と頭を下げた。
「そのことについては、弁解の余地もないよ。申し訳ない。」
パウジェは頭を上げると、背筋を伸ばし言葉を足した。
「でもね。王座に戻った事を後悔してはいない。民の為だ。」
「確かに…イルシオンの悪政の噂は届いていました…でも…!」
エルルンはきつく歯を噛み締めていると、勇司が遠慮がちに言った。
「あのさ、王族じゃない俺が口挟むのもなんなんだけど。エルルン様だってホントは理屈では分かってるんだろ、パウジェさんは悪くないって。」
「あぁ…。そういえば、今回の件には手助けした救世主がいると聞きましたね、あなたでしたか。」
「え?あ、はい…。」
「イルシオンで裁けないのなら、フェアリーで裁くまでです。」
最早何を言っても届かないかと思われたときだ。
「そこまでです、姫様。帰りますよ。」
ピッドナイトが無理矢理エルルンを制した。
「パウジェ様、お騒がせして大変失礼致しました。」
二人が出て行った王座の間───。
そこには何とも言えないしこりが残っていた。
その日は勇司達が王血の魔方陣でイルシオンを去る日だった。
王座の間にてパウジェに挨拶をしていた。
しかしイルシオン城が騒々しくなってきた。
城中で兵や侍女が慌てふためいている。
「お待ち下さい、エルルン様っ!」
誰もがそういった声をあげていた。
「エルルン…様?誰だ?酷い騒ぎになってるが。」
勇司の問いにクレイが答えた。
「御伽之国の現女王、エルルン=アリス様ね。クソ親父がお父上の治療に以前伺った事があるわ。」
パウジェは表情を曇らせている。
「お邪魔致します、パウジェ"前"王。」
そう言って勢いよく扉を開け入って来たのは、兎の耳と尻尾を生やした少女。
豪勢なドレスやティアラを纏っているが、見たところまだまだ幼い子供だ。
「今回の件、一体どういう事なのでしょう?何故、今更あなたが再び王を名乗っているのです?あなたにそんな資格があるとでも?」
するとひっそりと後をついてきた、童話の冒険者のような風貌の男がエルルンをなだめる。
「姫様。お行儀が悪いですよ。他国で粗相があれば我が国の格も下がります。」
クレイはひっそり呟く。
「彼はエルルン様の行政の手伝いをしている、通称・夜の王、ピッドナイト様ね。」
エルルンの怒りは収まることなく、更にパウジェへの罵倒は続く。
「あなたが他の前王達を…両親を見殺しにしたこと。たったの五年で許せるとでもお思いですか。わたくしはあなたを、許さない。」
エルルンが大きな瞳で睨みを利かせると、パウジェは立ち上がり、深々と頭を下げた。
「そのことについては、弁解の余地もないよ。申し訳ない。」
パウジェは頭を上げると、背筋を伸ばし言葉を足した。
「でもね。王座に戻った事を後悔してはいない。民の為だ。」
「確かに…イルシオンの悪政の噂は届いていました…でも…!」
エルルンはきつく歯を噛み締めていると、勇司が遠慮がちに言った。
「あのさ、王族じゃない俺が口挟むのもなんなんだけど。エルルン様だってホントは理屈では分かってるんだろ、パウジェさんは悪くないって。」
「あぁ…。そういえば、今回の件には手助けした救世主がいると聞きましたね、あなたでしたか。」
「え?あ、はい…。」
「イルシオンで裁けないのなら、フェアリーで裁くまでです。」
最早何を言っても届かないかと思われたときだ。
「そこまでです、姫様。帰りますよ。」
ピッドナイトが無理矢理エルルンを制した。
「パウジェ様、お騒がせして大変失礼致しました。」
二人が出て行った王座の間───。
そこには何とも言えないしこりが残っていた。
