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InsteadLost

「さぁ、ガラクタ達!目覚めなさい!」
少女の掛け声と共に、床に散らばっていた骨が人の形を成す。
それは何十もの数になって此方へ向かってくる。

「はぁっ!!」
「ふっ!!」
勇司とヴェルムの攻撃で骨はバラバラになる。
が、瞬く間に人型に再生してしまう。
「ちょ、これ無限ループかよ!?」
骨、再生。それを止めるには。
誠也は自衛だけしながら考える。

「あっ!皆、俺に任せてくれないかな!」
そう言うと誠也は再生する寸前の骨に向かって猛火の魔術を放つ。
骨は灰になり、動きを止めた。

「ナイス誠也!俺とヴェルムで動きを止めるから始末よろしく!!」
「分かった!」

「あっちは大丈夫だろうから、あとはアンタか。」
畏怖の念を抱き、後退る少女の首元にイネルティアは刃を宛がう。
「ひ…。わ、私は!ただ、ただ…誰かを愛したかっただけなのに…。」
「恋愛ゴッコが過ぎたな。それに、ダルいけどあの坊主にも約束しちまったしな。」
少女の首が宙を舞う。それは光となって空気に溶けていく。
「救ってやるよ、この死に塗れた洞窟から。」

「イネルさん、こっちも終わりました!」

「さて。本命の宝だが…。あそこか。」
少女が座っていた海竜らしきものの骨の口内に宝箱はあった。
「はっ。」
イネルティアの一振りで骨が切り崩れる。
宝箱を開けると綺麗なナイフが十本入っていた。
「これ、普通のナイフじゃないですよね?なんとなくですけど…。」
「…セイヤ。このナイフに魔力を込めてみろ。属性はなんでもいい。」
誠也は試しに、火の魔力をナイフに込めてみる。
するとナイフはその形を保ちながら、金属ではなく火そのものに材質を変えた。
「あっつ…!?…くない?」
「どれどれ!あっつ!!?超熱いんだけど!!?」

「そりゃあ、精霊調和具だな。この世界で三番目に希少って言われる、両術者だけが使える武具だ。使用者が触れても平気だが、他のヤツには術者の魔力によっては、とんでもねぇ威力を発揮するって話だ。売っても高値が付くが折角アンタが居るんだ。やるよ。」

「俺の…新しい、力…!」
誠也は手にした武具に、高揚していた。
これで自分も、特別な力を持つ勇司の隣に立てるかもしれない、と。


数日後、神の懐がある島に着き、勇司達は船を降りた。
イネルティア達は誘拐されていた子供らをイニーツィオに送り届けてから、また旅を続けるらしい。

「皆さんー!!それではお気をつけて!!」
コンフィが見送る。イネルティアは相変わらず寝ているようだ。
でも、またきっと逢える。
そんな気がしたので敢えて互いに言葉は交わさなかった。

「ありがとう、コンフィちゃん!それじゃあ!」

目指すはあの大きな結界に覆われた、神の懐───。
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