InsteadLost

ストリェロークの港に行くと、イネルティアはすぐに見つかった。
と言うのも、
「あー…だりぃ…。」
今もこうしているように、だらけきった態度で忙しない船着場に横たわっていたからだ。

イネルティアには条件付きで船旅に同行させてもらえることになった。
それは、イネルティアが今は亡き父から引き継いだ宝玉探しを手伝うこと。
どうやら万物界の孤島にある遺跡や洞窟は、誰かが一度踏破すると内部の形状が無限に変わるらしい。
そうして歴代の海賊達は探索をずっと続けてきたようだ。

それにしても、潮風が気持ちいい。
水面も太陽の光を受けて煌めいている。
「うう…気持ち悪い…。」
ヴェルムは船酔いで大変そうだが。

「大丈夫ですか、ヴェルムさん。ベッドがあるんでそこで休んでください。」
彼女はコンフィ。
イネルティアをサポートするこの船でたった一人の船乗りだ。
コンフィは家事全般・航海術・操舵など単身でこの船のことを戦闘と探索以外、何も出来ないイネルティアに代わってこなしている。
二人はそうして支えあっているらしい。

と、そこで。
「!!?何だ!!?」
爆音が聞こえてきた。
目を凝らすと、違う海賊船が大砲を打ちながら近づいてきていた。
「コンフィちゃん!コレどーすんの!?」
「ああ、それならご心配なく!」
何か策があるのかと不安に思っていると…。

「ったく…うるせぇな。」
熟睡していたイネルティアが目を覚まし、大鎌を手に立ち上がり、飛んできた大砲の方へと素早い足取りで走って行き。
「鎌で玉を…固めた?」
鎌で大砲の玉に触れたかと思うと地属性の付与魔術で生み出した岩石で飛んできた全ての玉を固め、それをそのまま足場にし、敵の船まで凄い跳躍力で飛んでいき、敵を返り討ちにした。

「パラドさんとはまた違うものだけど、イネルさんのも高い戦闘力だ…。」
勇司が関心していると、イネルティアは帰ってきて再び眠りについた。

そうこうしているうちに小さな島が見えてきた。
「さ!皆さん、下船の準備を!」

すると再びイネルティアは目を覚ましたのだった。
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