InsteadLost
時は日の出───。
朝焼けが疲労した身体に染みる。
「パラディソスさんのお陰で命拾いしました、ありがとうございました。」
礼を言う勇司にパラディソスはにこにこと答える。
「いえ、無事で何よりでしたよ。あと私の事はパラド、とお呼び下さい。」
「はい!パラドさん!」
「ふふふ。今日もこうして子供が笑ってくれるのが、私にとって一番の喜びなんですよ。では、私は次の祓うべき相手が居るので失礼しますね。」
勇司達はパラディソスの背が見えなくなるまで見送った。
自分達もあんな風に強くなりたい、と。
「さぁ。皆徹夜で疲れたでしょう。宿に戻って休みましょう、ほらほらナシちゃん。立ったまま寝たら駄目でしょう?」
長い一日を終えて、四人は泥のように昼過ぎまで寝たのだった。
「ナシは決めたのだ!!」
起きるなりナシーリエが大声で言う。
「ここからは一人で修行に行くとな!よりヒーローに近づく為だ!!」
「えっ、ナシちゃんも行っちゃうの?」
そう聞かれるとナシーリエは得意気に胸をそらせた。
「まあそう寂しがるな。今回の旅でセイヤに魔法便を教わったからな!習得したら送ってやる!!だから…」
「また、絶対に会おう、我が好敵手っ!!」
拳を突き出し笑うナシーリエ。
「ああ、また会おうな!」
勇司も拳を出して二人はそれを交わす。
思えばこの少女は最初から最後まで元気いっぱいで、情熱的だった。
ナシーリエと別れて、宿に戻ろうとするとわざとらしい拍手と共にチートが現れた。
「いやぁ~、故郷の仇討ちとご快復…おめでとうございます、ユウジ様。それで?これから行く当てはおありで?」
「あぁ、チートさん。実は昨日世話になった女の子を旅の仲間にしようと…。」
するとチートは一瞬驚いた表情を見せ、すぐに嫌味たらしい笑みに変わった。
「クククッ…いや失礼。まさかあの神の使いを仲間にしたいとは。やはり貴方方は面白い。」
チートは昨日の白髪の少女について教えてくれた。
神の懐という孤島に住まう神の使いの一族。
それは世界で唯一の回復魔術が使える白魔術師。
神の使いの一族は一族内で子を宿している。
一族には、幻術を使う幻の家、結界を張る界の家、無生物に命を吹き込む吹の家、邪気を払う浄の家、一族の裏切り者を殺す黙の家の五家が存在する。
五家の者で描いた魔法陣は死者さえも蘇らせられるという。
昨日の少女は幻の家の末娘で、お忍びで時々近隣の街に来ては無償の治療行為を行っている。
「と、私めが分かるのはこのくらいですかねぇ。でも何故仲間にしたいと?」
「あの子の、自分を嘲笑うような笑い方見た時に、救いたいって、思ったんです。」
その思いは、揺るぎない決意となって勇司の瞳に宿っていた。
「ふむ。ならばストリェロークに今停泊している海賊に頼めば、孤島までは送ってくれるでしょう。」
チートは懐から写真を取り出し、勇司に渡した。
「イネルティア、という海賊です。彼女も救世主ですので一番馴染みやすいかと。」
「ありがとうございます!」
勇司達は様々に別れを経て、新たな旅路に着いた───。
朝焼けが疲労した身体に染みる。
「パラディソスさんのお陰で命拾いしました、ありがとうございました。」
礼を言う勇司にパラディソスはにこにこと答える。
「いえ、無事で何よりでしたよ。あと私の事はパラド、とお呼び下さい。」
「はい!パラドさん!」
「ふふふ。今日もこうして子供が笑ってくれるのが、私にとって一番の喜びなんですよ。では、私は次の祓うべき相手が居るので失礼しますね。」
勇司達はパラディソスの背が見えなくなるまで見送った。
自分達もあんな風に強くなりたい、と。
「さぁ。皆徹夜で疲れたでしょう。宿に戻って休みましょう、ほらほらナシちゃん。立ったまま寝たら駄目でしょう?」
長い一日を終えて、四人は泥のように昼過ぎまで寝たのだった。
「ナシは決めたのだ!!」
起きるなりナシーリエが大声で言う。
「ここからは一人で修行に行くとな!よりヒーローに近づく為だ!!」
「えっ、ナシちゃんも行っちゃうの?」
そう聞かれるとナシーリエは得意気に胸をそらせた。
「まあそう寂しがるな。今回の旅でセイヤに魔法便を教わったからな!習得したら送ってやる!!だから…」
「また、絶対に会おう、我が好敵手っ!!」
拳を突き出し笑うナシーリエ。
「ああ、また会おうな!」
勇司も拳を出して二人はそれを交わす。
思えばこの少女は最初から最後まで元気いっぱいで、情熱的だった。
ナシーリエと別れて、宿に戻ろうとするとわざとらしい拍手と共にチートが現れた。
「いやぁ~、故郷の仇討ちとご快復…おめでとうございます、ユウジ様。それで?これから行く当てはおありで?」
「あぁ、チートさん。実は昨日世話になった女の子を旅の仲間にしようと…。」
するとチートは一瞬驚いた表情を見せ、すぐに嫌味たらしい笑みに変わった。
「クククッ…いや失礼。まさかあの神の使いを仲間にしたいとは。やはり貴方方は面白い。」
チートは昨日の白髪の少女について教えてくれた。
神の懐という孤島に住まう神の使いの一族。
それは世界で唯一の回復魔術が使える白魔術師。
神の使いの一族は一族内で子を宿している。
一族には、幻術を使う幻の家、結界を張る界の家、無生物に命を吹き込む吹の家、邪気を払う浄の家、一族の裏切り者を殺す黙の家の五家が存在する。
五家の者で描いた魔法陣は死者さえも蘇らせられるという。
昨日の少女は幻の家の末娘で、お忍びで時々近隣の街に来ては無償の治療行為を行っている。
「と、私めが分かるのはこのくらいですかねぇ。でも何故仲間にしたいと?」
「あの子の、自分を嘲笑うような笑い方見た時に、救いたいって、思ったんです。」
その思いは、揺るぎない決意となって勇司の瞳に宿っていた。
「ふむ。ならばストリェロークに今停泊している海賊に頼めば、孤島までは送ってくれるでしょう。」
チートは懐から写真を取り出し、勇司に渡した。
「イネルティア、という海賊です。彼女も救世主ですので一番馴染みやすいかと。」
「ありがとうございます!」
勇司達は様々に別れを経て、新たな旅路に着いた───。