InsteadLost
転移後、目を開くといきなり。
「ぱんぱかぱーんっ!!卒業おめでとーーっ!!」
大音と共に紙テープの雨に勇司達は襲われた。
目の前には空になったクラッカーを持ってにこにこしているヒィと、それを呆れながら見ているロンタゼルスの姿があった。
「あれ?此処、エアストウワンの城…じゃないですよね?」
身体に纏わりついた紙テープを払いながら、勇司は尋ねる。
確かに今立っている場所は王血の魔法陣のある部屋だが、エアストウワンとは違い、壁が赤い壁紙で統率されていた。
「そうとも!此処こそロンたんが治める武術帝国ブレイカだ!」
するとロンタゼルスは胸に手を当て少しお辞儀をし、畏まりながら言った。
「ようこそ、ブレイカへ。歓迎させてもらおう…と言いたいところなのだが。」
そこまで言うとロンタゼルスの目つきが変わる。
「ユウジ殿は以前、大鎌を持った笑う少女に知人らを殺された、と言ったな。
実は、その少女と思われる者が最近、この大陸の至る街の墓場で暴れまわっているとの情報が入った。」
「んなっ!?」
「ユウジ殿にとっては仇であろう。旅装束に着替えて直ぐに発つと良い。食料と飲み水の準備はしておいた。最後に少女が目撃されたのはストリェロークだ。」
「急いだ方が良いぞ?」
身震いがする。
全身に怒りの感情が満ちていくのが分かる。
やっと。やっとだ。あの憎い女に復讐出来る。
転移前───あの頃は力が無くて希太と蘭が殺されていく中、逃げることしか出来なかったけれど。
今なら、あの女を殺せるだけの力がある。
自然と口角が上がった。
「ナシーリエ殿も、同行してもらえるか?」
「勿論だ、ロンタゼルス王!悪が蔓延る所にこそヒーローは在るものだからな!」
勇司達は早速ストリェロークへ向かった。
「にしても、ナシちゃんの…その恰好…だ、ダサい…じゃなくて、ど、独創的?」
「なっ!?…ママの手作りのヒーロースーツを馬鹿にするなぁー!」
誠也とナシーリエがそんなやり取りをしている中。
ヴェルムが勇司の顔を覗き込む。
「大丈夫?ユウジ。なんだか、余裕が無いように見えるけれど…。」
「…ああ。平気だ。」
「…そう…。」
三日後、ストリェロークにて。
街では包帯をしている人がちらほら見られた。
そのうちの一人に話を聞いた。
「あぁ、その大鎌の少女ならこの街で数晩暴れた後、グラディアトールの方向へ向かったって話だ。」
その情報を元にグラディアトールへ向かうこと四日。
一行は少女が暴れている最中の街へと辿り着いた。
時を一週間ほど遡った、ブレイカ城───。
勇司達を見送ったヒィとロンタゼルスは。
「行っちゃったなぁ。…本当に良かったのかい?奴はもう何千人も被害者を出してるって話だ。幾ら、救世主が二人居るとはいえ、彼らは卒業したてなのだぞ?」
「実践に勝る修練は無い。それに奴をユウジ殿が放っておくことは出来ないだろう。あと、いざという時の為、保険もかけてある。」
「保険?」
「例の、エクソシストだ。彼にはもしユウジ殿達が危なくなったら、後を任せてある。」
「流石ロンたん。まぁ、なるようにしかならない、か。」
そして勇司らはまた一人、救世主に出逢うことになる。
色々な思いを絡ませながら。
「ぱんぱかぱーんっ!!卒業おめでとーーっ!!」
大音と共に紙テープの雨に勇司達は襲われた。
目の前には空になったクラッカーを持ってにこにこしているヒィと、それを呆れながら見ているロンタゼルスの姿があった。
「あれ?此処、エアストウワンの城…じゃないですよね?」
身体に纏わりついた紙テープを払いながら、勇司は尋ねる。
確かに今立っている場所は王血の魔法陣のある部屋だが、エアストウワンとは違い、壁が赤い壁紙で統率されていた。
「そうとも!此処こそロンたんが治める武術帝国ブレイカだ!」
するとロンタゼルスは胸に手を当て少しお辞儀をし、畏まりながら言った。
「ようこそ、ブレイカへ。歓迎させてもらおう…と言いたいところなのだが。」
そこまで言うとロンタゼルスの目つきが変わる。
「ユウジ殿は以前、大鎌を持った笑う少女に知人らを殺された、と言ったな。
実は、その少女と思われる者が最近、この大陸の至る街の墓場で暴れまわっているとの情報が入った。」
「んなっ!?」
「ユウジ殿にとっては仇であろう。旅装束に着替えて直ぐに発つと良い。食料と飲み水の準備はしておいた。最後に少女が目撃されたのはストリェロークだ。」
「急いだ方が良いぞ?」
身震いがする。
全身に怒りの感情が満ちていくのが分かる。
やっと。やっとだ。あの憎い女に復讐出来る。
転移前───あの頃は力が無くて希太と蘭が殺されていく中、逃げることしか出来なかったけれど。
今なら、あの女を殺せるだけの力がある。
自然と口角が上がった。
「ナシーリエ殿も、同行してもらえるか?」
「勿論だ、ロンタゼルス王!悪が蔓延る所にこそヒーローは在るものだからな!」
勇司達は早速ストリェロークへ向かった。
「にしても、ナシちゃんの…その恰好…だ、ダサい…じゃなくて、ど、独創的?」
「なっ!?…ママの手作りのヒーロースーツを馬鹿にするなぁー!」
誠也とナシーリエがそんなやり取りをしている中。
ヴェルムが勇司の顔を覗き込む。
「大丈夫?ユウジ。なんだか、余裕が無いように見えるけれど…。」
「…ああ。平気だ。」
「…そう…。」
三日後、ストリェロークにて。
街では包帯をしている人がちらほら見られた。
そのうちの一人に話を聞いた。
「あぁ、その大鎌の少女ならこの街で数晩暴れた後、グラディアトールの方向へ向かったって話だ。」
その情報を元にグラディアトールへ向かうこと四日。
一行は少女が暴れている最中の街へと辿り着いた。
時を一週間ほど遡った、ブレイカ城───。
勇司達を見送ったヒィとロンタゼルスは。
「行っちゃったなぁ。…本当に良かったのかい?奴はもう何千人も被害者を出してるって話だ。幾ら、救世主が二人居るとはいえ、彼らは卒業したてなのだぞ?」
「実践に勝る修練は無い。それに奴をユウジ殿が放っておくことは出来ないだろう。あと、いざという時の為、保険もかけてある。」
「保険?」
「例の、エクソシストだ。彼にはもしユウジ殿達が危なくなったら、後を任せてある。」
「流石ロンたん。まぁ、なるようにしかならない、か。」
そして勇司らはまた一人、救世主に出逢うことになる。
色々な思いを絡ませながら。