InsteadLost
エアストウワンを発って三日後──。
勇司と誠也は小さな小屋の扉の前で躊躇していた。
すると扉が開き、目つきの悪い男が出迎えた。
「これはこれは、サナダユウジ様にヨロズセイヤ様。お待ちしておりましたよ?」
何処か嫌味たらしく不気味さも兼ねたその声の主は、何故か二人の名前を既に知っていた。
「あの、俺らまだ自己紹介してませんよね…?」
「大切なお客様の情報くらい、把握しておくのが俺なりの礼儀ですよ。
さぁ、お入り下さい。人間界からの長旅でお疲れでしょう。」
まるで何もかもを見透かしているような男に恐怖すら感じながら、小屋に入った。
こじんまりとした小屋の中は分厚いファイルや書類で溢れていた。
入ってすぐの部屋には来客用と思われる木製のテーブルがあり、二人はそこに通された。
「さ、どうぞ。」
そう言って出されたのは匂いのきついコーヒー。
勇気を出して飲んでみるととても苦く、勇司と誠也は思わずむせてしまった。
「ククッ…苦いですか?すみません、生憎うちにはブラックしか無いもので…。」
その人を小馬鹿にしたような態度に、ヒィがこの男を毛嫌いしている理由が分かったような気がした。
「そういえばまだお名前…。」
「これはこれは失礼しました。鬼蜘蛛こと、チートと申します。」
チートはブラックコーヒーを一口飲み、言った。
「ユウジ様、セイヤ様。うちはどのような情報でも正確にお教えするのが売りでして。それ故お値段も三流の情報屋とは違います。」
そこで嫌味たらしい笑みを浮かべ、
「でーすーがー?初回限定特別サービスー!後でちょーっと俺のお手伝いをして下さるだけで!今、貴方方に必要な情報をお一つお教えしましょう!」
明らかに危険で胡散臭い話だが、構わずチートは話を続ける。
「異変を解決するには、元凶を倒す事。その為には世界に散らばる救世主を集める事です。現在確認している救世主は、ユウジ様を除いて十人。
どうです?為になったでしょう?」
確かにそれは、今の勇司達にとって解決に直結的情報に思えた。
「さて、次はこちらの要求を叶えて頂く番ですね。」
「あ、あの、俺らそんな手持ち無いんすけど…。」
勇司が恐る恐る言う。
「いえいえ、初回サービスと言ったでしょう?
実は今から向かう所へ同行して欲しいのです。そしてそこである人物を足止めするだけで良いです。」
「えっ!?俺ら盗みの手伝いとかは…。」
「ククッ、ご安心を。今から向かうのは"森"、ですので。」
そう言ったチートの顔には、影が落ちた気がした。
チートは立ち上がり、フードを被りサングラスをかけ、
「夜には着くよう最速で向かいます、ちゃんとついてきて下さいね?」
小屋を出た。
勇司と誠也は小さな小屋の扉の前で躊躇していた。
すると扉が開き、目つきの悪い男が出迎えた。
「これはこれは、サナダユウジ様にヨロズセイヤ様。お待ちしておりましたよ?」
何処か嫌味たらしく不気味さも兼ねたその声の主は、何故か二人の名前を既に知っていた。
「あの、俺らまだ自己紹介してませんよね…?」
「大切なお客様の情報くらい、把握しておくのが俺なりの礼儀ですよ。
さぁ、お入り下さい。人間界からの長旅でお疲れでしょう。」
まるで何もかもを見透かしているような男に恐怖すら感じながら、小屋に入った。
こじんまりとした小屋の中は分厚いファイルや書類で溢れていた。
入ってすぐの部屋には来客用と思われる木製のテーブルがあり、二人はそこに通された。
「さ、どうぞ。」
そう言って出されたのは匂いのきついコーヒー。
勇気を出して飲んでみるととても苦く、勇司と誠也は思わずむせてしまった。
「ククッ…苦いですか?すみません、生憎うちにはブラックしか無いもので…。」
その人を小馬鹿にしたような態度に、ヒィがこの男を毛嫌いしている理由が分かったような気がした。
「そういえばまだお名前…。」
「これはこれは失礼しました。鬼蜘蛛こと、チートと申します。」
チートはブラックコーヒーを一口飲み、言った。
「ユウジ様、セイヤ様。うちはどのような情報でも正確にお教えするのが売りでして。それ故お値段も三流の情報屋とは違います。」
そこで嫌味たらしい笑みを浮かべ、
「でーすーがー?初回限定特別サービスー!後でちょーっと俺のお手伝いをして下さるだけで!今、貴方方に必要な情報をお一つお教えしましょう!」
明らかに危険で胡散臭い話だが、構わずチートは話を続ける。
「異変を解決するには、元凶を倒す事。その為には世界に散らばる救世主を集める事です。現在確認している救世主は、ユウジ様を除いて十人。
どうです?為になったでしょう?」
確かにそれは、今の勇司達にとって解決に直結的情報に思えた。
「さて、次はこちらの要求を叶えて頂く番ですね。」
「あ、あの、俺らそんな手持ち無いんすけど…。」
勇司が恐る恐る言う。
「いえいえ、初回サービスと言ったでしょう?
実は今から向かう所へ同行して欲しいのです。そしてそこである人物を足止めするだけで良いです。」
「えっ!?俺ら盗みの手伝いとかは…。」
「ククッ、ご安心を。今から向かうのは"森"、ですので。」
そう言ったチートの顔には、影が落ちた気がした。
チートは立ち上がり、フードを被りサングラスをかけ、
「夜には着くよう最速で向かいます、ちゃんとついてきて下さいね?」
小屋を出た。