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指先の熱

全くあの毛玉はどこへ行ったんだか…。


『グリムー?』


ほんの少し目を離した…というより、私がシャワーを浴びて出てきたらグリムが居なくなっていた。


『はぁ…お願いだから周りのもの壊さないでよね…。』


ここがオンボロ寮ならまだいい。
しかし私達が今いるこの場所は、あのポムフィオーレ寮だ。
ややあって今日はこの寮に厄介になっている。

寮生からはこの寮に置いてある調度品や家具は一つ一つが高価なものだと聞いた。
もしグリムが何か壊したりでもしたら私が責任を問われるんだ、何としてもそれは避けたいところだが…


「ちょっとアンタ!なんて格好してんのよ!?」


女性的な口調とは不釣り合いな低い声が耳に届く。
そちらを見ると、血相を変えたヴィル先輩が私の方へ向かってきた。


「アンタねぇ…そんな美しくない姿でウチの寮をウロつかれたら迷惑なのよ。分かってるの?」


確かに今の私はシャワーから出てグリムを探すのに夢中だったから下着の上に軽く制服のシャツを羽織っただけという適当すぎる姿だけど、今はそれどころじゃない。


『すみません…グリムが見当たらなくて』

「あぁ、あのモンスターね…って、だからってコレはあんまりでしょ!?髪の毛も乾いてないしボタンもちゃんと留まってないし…あっスキンケアもまだね!?」


 矢継ぎ早にまくし立てられて苦笑するしかない。
しかし私にはそれ以上にグリムを探さなくてはならないのだ。
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