ドラマティックな恋仕方
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ピンポーン
「はいはーい、今出ま……………………独歩ォォォォ!!!!!!!!!」
独歩の朝帰りから一週間、いつも通りの日常が戻ったかと思った矢先のことだった。
インターホンの音に玄関に向かった一二三が一目散に独歩の元へとUターンしてくる。
「なんだよ…インターホン鳴ったんだから早く出ろよ。」
「独歩出て…」
「は?」
「俺!女!無理!独歩出て!!」
片言で何を言っているか分からない一二三に代わりインターホンの画面を覗き込むと、顔は映っていないが確かにそこには女性らしき影が。
彼女への応対は一二三には無理なことだと納得する。
「ったく仕方ないな…」
ピンポーン
ピンポーン
なかなか出てこない家主に痺れを切らした女性が再びインターホンを鳴らし、独歩は慌ててインターホンの通話ボタンを押した。
「お待たせしてすみません…」
-あっ、こちらこそ突然すみません…今日お昼頃に引っ越しの挨拶に伺ったんですけどお留守だったので改めてご挨拶に伺いました。-
「それはどうも…今開けます。」
昼間なら一二三が家に居たはずだろうが、相手が女性と知っておおかた居留守を使ったのだろう。
一二三への文句は後で言うとして、独歩は玄関に向かいドアを開けた。
『何度もお邪魔してすみません…隣に引っ越して来ました弥勒院と申しま…』
「あ、私は観音坂と申しま…」
弥勒院?どこかで聞き覚えのある苗字に恐る恐る女性の方を見ると、互いに言葉を失った。
「え…え!?弥勒院…さん…!?」
『また貴方ですか…!!なんでここに!?? 』
「す、すみませんすみません!ここに住んでるんです!!ご迷惑でしたらすぐにでも引っ越しますから…!」
『あ、いや…別にそこまでしなくてもいいですから…!』
一週間前に一夜を明かした女性、弥勒院玲香の姿が。
引っ越しの理由は分からないが、まさか隣の部屋とは…と、頭を抱えたくなる。
『以前も申し上げましたが、先週のことは無かったことにしてお互い無視し合えばいいだけでしょう。今後はただの隣人で、それ以上でもそれ以下でもありません。』
「そ、そうですね…」
『では失礼しますね。』
淡々と挨拶を終えた玲香に呆然とする独歩に背後から一二三が恐る恐る声をかけた。
「も、もう…お、おおお女のひと、い、いない…?」
「…あぁ、もう帰った。」
玲香が去ったことを伝えると、一二三がようやく恐怖から解放されたとばかりに胸を撫で下ろす。
正直、今回に限り独歩もそれに同意した。
「(なんでよりによって隣の部屋に引っ越してくるかな…無かったことにとは言ってたけど、やっぱり俺のこと怒ってるんじゃ…?もういっそ俺は仕事でもプライベートでも何もしないほうがいいんじゃないか…)」
独歩が自己嫌悪に苛まれる最中の頃、玲香は玲香で自室に戻って頭を抱えていた。
ただその原因は独歩との再会ではなく、スマホの画面に映される同じ相手からの着信履歴と一方的に送られ続けるメッセージ。
『…ハァ』
着信画面に表示された名前にため息をついた玲香は振動を続けるスマホをソファーに放り投げる。
その画面には翔大と表示されていた。