ドラマティックな恋仕方
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あれは私の27年の人生の中で最悪と言っても過言ではない日だ。
長年付き合ってきた彼氏とそろそろ真剣に将来のことを考えていた矢先、彼の浮気が発覚した。
当然私は彼、翔大を糾弾した。
その女と別れて私と誠実に向き合うと誓ってくれれば水に流すし、いっそ浮気相手を選んで私と別れるならそれでもいいと思ったのに、彼の答えはどちらでもなかった。
私が何を言っても謝罪の言葉しか返さず、浮気の理由を問いただしても「ごめん」の一点張り。
そのどっちつかずの態度に腹が立って、私は怒りに任せて部屋を飛び出していた。
私を呼び止める翔大の声なんてどうでもいい。
あんな男さっさと忘れたい。
そう思って夜の街に繰り出した私は、キャッチに素直に付いていき、通された店でひたすらお酒を飲んでいた。
そんな時、
「あ、どうも…」
そう言って相席に連れてこられた男は私と向き合うように席に着いた。
くたびれた安っぽそうなスーツに、クマの酷い辛気臭い顔。
第一印象は正直言って、「コレは無し」と思った。
無し、だと思ってたんだけどなぁ…。
彼が席に着く頃にはすっかり出来上がっていた私は、初対面にも関わらず無遠慮に愚痴をこぼしていた。
しかし彼はこんな傷心中の酔っ払い女の話を親身になって聞いてくれるから、私も調子に乗ってしまった。
「すいません、次の方と交代お願いします。」
「あ、じゃあ…俺はこれで…」
『あの、待って…!』
店員に促されて席を立つ彼。
あれだけ初見では無しだと思っていたのに、酔いが回った頭と傷心中の寂しさからつい彼を呼び止めてしまい、
『…良かったら2軒目行きません?』
今1人になったら寂しさに押し潰されそうで、思わず彼を引き止めてしまった。
「え、その…俺で良ければ…」
こうして2軒目でも同じように彼に愚痴を延々と聞かせたところで、私の記憶は終わる。
そして今朝、昨日の彼とラブホテルで目を覚まし、状況を飲み込むのは遅くはなかったけど、我ながら情けないと思った。
そう、この人とは一夜限りの関係。
これ以降は関わることない、無かったことにしたい。
「無かったことに…ってそれもそうですよね…酒の勢いとはいえこんな冴えない男と寝たなんて黒歴史なんてモンじゃないですし…弥勒院さんにとって忘れたい過去でしかないですよね…」
『…忘れたい過去なら他にもあるわよ。』
「えっ?」
自信なさげなその姿とボソボソと話す彼が不意に昨日の平謝りする翔大と重なって見え、忘れかけていた心の傷が痛み出した。
このままだと泣いてしまいそうな気がした私は、これ以上この人の前で情けない姿を見せたくなくてそそくさとホテルを後にする。
今日は有給取るしかないかな…、こんな状態で仕事なんていけないし、何より翔大に鉢合わせしたくない。
タクシーの窓から流れる景色を見ながら改めて誓った。
『(もう絶対お酒飲むの止めよう…)』
長年付き合ってきた彼氏とそろそろ真剣に将来のことを考えていた矢先、彼の浮気が発覚した。
当然私は彼、翔大を糾弾した。
その女と別れて私と誠実に向き合うと誓ってくれれば水に流すし、いっそ浮気相手を選んで私と別れるならそれでもいいと思ったのに、彼の答えはどちらでもなかった。
私が何を言っても謝罪の言葉しか返さず、浮気の理由を問いただしても「ごめん」の一点張り。
そのどっちつかずの態度に腹が立って、私は怒りに任せて部屋を飛び出していた。
私を呼び止める翔大の声なんてどうでもいい。
あんな男さっさと忘れたい。
そう思って夜の街に繰り出した私は、キャッチに素直に付いていき、通された店でひたすらお酒を飲んでいた。
そんな時、
「あ、どうも…」
そう言って相席に連れてこられた男は私と向き合うように席に着いた。
くたびれた安っぽそうなスーツに、クマの酷い辛気臭い顔。
第一印象は正直言って、「コレは無し」と思った。
無し、だと思ってたんだけどなぁ…。
彼が席に着く頃にはすっかり出来上がっていた私は、初対面にも関わらず無遠慮に愚痴をこぼしていた。
しかし彼はこんな傷心中の酔っ払い女の話を親身になって聞いてくれるから、私も調子に乗ってしまった。
「すいません、次の方と交代お願いします。」
「あ、じゃあ…俺はこれで…」
『あの、待って…!』
店員に促されて席を立つ彼。
あれだけ初見では無しだと思っていたのに、酔いが回った頭と傷心中の寂しさからつい彼を呼び止めてしまい、
『…良かったら2軒目行きません?』
今1人になったら寂しさに押し潰されそうで、思わず彼を引き止めてしまった。
「え、その…俺で良ければ…」
こうして2軒目でも同じように彼に愚痴を延々と聞かせたところで、私の記憶は終わる。
そして今朝、昨日の彼とラブホテルで目を覚まし、状況を飲み込むのは遅くはなかったけど、我ながら情けないと思った。
そう、この人とは一夜限りの関係。
これ以降は関わることない、無かったことにしたい。
「無かったことに…ってそれもそうですよね…酒の勢いとはいえこんな冴えない男と寝たなんて黒歴史なんてモンじゃないですし…弥勒院さんにとって忘れたい過去でしかないですよね…」
『…忘れたい過去なら他にもあるわよ。』
「えっ?」
自信なさげなその姿とボソボソと話す彼が不意に昨日の平謝りする翔大と重なって見え、忘れかけていた心の傷が痛み出した。
このままだと泣いてしまいそうな気がした私は、これ以上この人の前で情けない姿を見せたくなくてそそくさとホテルを後にする。
今日は有給取るしかないかな…、こんな状態で仕事なんていけないし、何より翔大に鉢合わせしたくない。
タクシーの窓から流れる景色を見ながら改めて誓った。
『(もう絶対お酒飲むの止めよう…)』