Dawn of the Felines
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「それで、だ…」
すっかり大人しくなった二郎と三郎もその場に座り、美央を交えて新たに状況の整理が始まった。
「美央、最後にアイツと連絡がとれなくなったのはいつだ?」
『えっと…確か去年の11月までは反応はあったんですけど、今年に入ってから急に連絡がつかなくて…』
そう言うと美央はスマホを取り出し、兄とのメッセージのやり取りの画面を3人に見せた。
「俺もアイツから連絡が来なくなったのはこの時期くらいだな、最初はバイトが忙しいのかと思って気にしてなかったが…」
「この人、一兄の友達なんですよね?共通の知り合いからは何か聞いてませんか?」
「それはさっき二郎に美央を迎えに行かせてる間に連絡した。誰も何も知らないみたいだったがな…」
「兄ちゃんが言ってた確かめたいことってそれだったんだ…。」
結局分かっていること二つ。
誰も美央の兄と連絡をとっていないこと。
その行方は誰も知らないこと。
ただ一つ、美央に希望が差し込んだことといえば、一郎たちの協力を得られたことだろう。
『本当にありがとうございます!私1人だったらどうなってたことか…』
「時間はかかるだろうが、アイツは必ず見つけ出す。それまで待っててくれるか?」
『はい!』
自分に協力者がいる。これだけで美央の不安はかなり取り除かれたと思われた。
「後は俺たちに任せとけ。それじゃ、気を付けて帰れよ。」
『え、帰る…?』
「1人でここまで来たんだろ、お母さん心配してるんじゃないか?」
『そう、ですけど…』
美央は一郎に会うことさえできれば簡単に兄と再会できると思っていた。
兄に会えればすぐに家に帰るつもりだったが、
兄の消息が掴めない以上それは叶わず、兄を探すにはまだ時間がかかる。
何より美央が1番に恐れていることは母に連れ戻されることだ。
あれだけ兄と会うことに反対していた母のことだ。美央が家を出てから何もしないはずがない。
きっと今頃、血眼で美央を探しているに違いない。
見つかれば兄と会うことはおろか、兄を探すことすら許されないだろう。
『家には、帰りたくないです…。』
「なんでだ?」
『お母さんの反対を押し切って家出してきたので…。今帰ったら多分、もうお兄ちゃんに会えないかもしれないから…』
「ならこれからどうするんだ?」
所持金も限られている今、再びどこかに寝泊まりし続けるのは難しい。
しかし家に帰れば母が何をするか分からない。
美央が返す言葉もなく俯いたその時、意外な人物が口を開いた。
「あのさ、兄ちゃん…」
一郎、三郎、美央、3人それぞれの視線が一斉に二郎に向けられる。
「美央ちゃんなんだけどさ、ウチに居候させてあげられないかな?」
『えっ!?』
「あ、いや、その、変な意味じゃなくて!!
…自分の兄貴が行方不明になって、誰かに探してもらってるのに自分は黙って待ってるだけなんて、もし俺だったらイヤだなって思っただけで…
だからその、せめて1番近くで見ていられるほうがマシかな、なんて…」
上手く言い表せないのか、しどろもどろになりながらも美央の肩を持つ二郎に三郎が反論する。
「あのなぁ二郎、女性が知らない男3人と同居なんて普通に考えて嫌に決まってるだろ?ちょっとは美央さんのこと考えろよ。」
「はぁ!?考えてっから言ってんだろーが!
つーかお前こそ話聞いてんのかよ?美央ちゃん家に帰りたくねーって言ってたろ!」
「だからお前ら… 『あの!!!』
再び喧嘩腰になる二郎と三郎を一喝しようとする一郎を美央が遮った。
『二郎君の言う通り、お兄ちゃんが見つかるまで黙って待ってるだけなんて私はイヤです…。
私にお手伝いできることならなんでもします!ここに居させて下さい!!』
お願いします、と震える声で一郎に向かって頭を下げる美央。
「あの、美央さん…?お気持ちは分かりますけど、本当に大丈夫ですか?ついさっき会ったばかりの男の家に居候なんて…」
『ありがとう三郎君、私は大丈夫だから…。
一郎さん…お願いします!』
黙り込む一郎に美央が頭を下げたまま震える手を握りしめる。
「…美央。」
『は、はい!』
「お前、何かバイトしたことあるか?」
『バイト、ですか?』
一郎のイエスともノーとも言わない意外な返答に目を丸くする。
「萬屋の経営とコイツらの世話の両立は俺一人じゃさすがに大変でな…せめて萬屋の受付なり家事だけでも手伝ってくれないか?それが居候の条件だ。」
『…!ありがとうございます…っ!!!』
一郎から居候の承諾が降り、美央の不安に満ちていた表情が一気に明るくなった。
幸い離婚してから仕事にのめり込む母に代わって家事はほぼ毎日していた美央にとっては特に厳しい条件でもない。
改めて美央は三兄弟に向き直った。
『よろしくお願いします!』
その夜のこと。
「あの、一兄…」
「ん?どうした三郎」
「やっぱり僕は美央さんがウチに居候するのはどうかと思います。家出中の女の子を匿うなんて…あ、いや決して一兄のお考えに文句がある訳じゃないですよ!?」
「…確かに三郎の言うことも一理ある。
けどな三郎、お前はもし目の前に困ってる女の子が居たら、その子を見捨てるのか?」
「そ、そんなこと…!」
「それに、」
一郎が三郎の前に一冊の本を差し出す。
「アイツ、ウチ兄の美央に似てるだろ?見た目といい境遇といい…」
「…」
すっかり大人しくなった二郎と三郎もその場に座り、美央を交えて新たに状況の整理が始まった。
「美央、最後にアイツと連絡がとれなくなったのはいつだ?」
『えっと…確か去年の11月までは反応はあったんですけど、今年に入ってから急に連絡がつかなくて…』
そう言うと美央はスマホを取り出し、兄とのメッセージのやり取りの画面を3人に見せた。
「俺もアイツから連絡が来なくなったのはこの時期くらいだな、最初はバイトが忙しいのかと思って気にしてなかったが…」
「この人、一兄の友達なんですよね?共通の知り合いからは何か聞いてませんか?」
「それはさっき二郎に美央を迎えに行かせてる間に連絡した。誰も何も知らないみたいだったがな…」
「兄ちゃんが言ってた確かめたいことってそれだったんだ…。」
結局分かっていること二つ。
誰も美央の兄と連絡をとっていないこと。
その行方は誰も知らないこと。
ただ一つ、美央に希望が差し込んだことといえば、一郎たちの協力を得られたことだろう。
『本当にありがとうございます!私1人だったらどうなってたことか…』
「時間はかかるだろうが、アイツは必ず見つけ出す。それまで待っててくれるか?」
『はい!』
自分に協力者がいる。これだけで美央の不安はかなり取り除かれたと思われた。
「後は俺たちに任せとけ。それじゃ、気を付けて帰れよ。」
『え、帰る…?』
「1人でここまで来たんだろ、お母さん心配してるんじゃないか?」
『そう、ですけど…』
美央は一郎に会うことさえできれば簡単に兄と再会できると思っていた。
兄に会えればすぐに家に帰るつもりだったが、
兄の消息が掴めない以上それは叶わず、兄を探すにはまだ時間がかかる。
何より美央が1番に恐れていることは母に連れ戻されることだ。
あれだけ兄と会うことに反対していた母のことだ。美央が家を出てから何もしないはずがない。
きっと今頃、血眼で美央を探しているに違いない。
見つかれば兄と会うことはおろか、兄を探すことすら許されないだろう。
『家には、帰りたくないです…。』
「なんでだ?」
『お母さんの反対を押し切って家出してきたので…。今帰ったら多分、もうお兄ちゃんに会えないかもしれないから…』
「ならこれからどうするんだ?」
所持金も限られている今、再びどこかに寝泊まりし続けるのは難しい。
しかし家に帰れば母が何をするか分からない。
美央が返す言葉もなく俯いたその時、意外な人物が口を開いた。
「あのさ、兄ちゃん…」
一郎、三郎、美央、3人それぞれの視線が一斉に二郎に向けられる。
「美央ちゃんなんだけどさ、ウチに居候させてあげられないかな?」
『えっ!?』
「あ、いや、その、変な意味じゃなくて!!
…自分の兄貴が行方不明になって、誰かに探してもらってるのに自分は黙って待ってるだけなんて、もし俺だったらイヤだなって思っただけで…
だからその、せめて1番近くで見ていられるほうがマシかな、なんて…」
上手く言い表せないのか、しどろもどろになりながらも美央の肩を持つ二郎に三郎が反論する。
「あのなぁ二郎、女性が知らない男3人と同居なんて普通に考えて嫌に決まってるだろ?ちょっとは美央さんのこと考えろよ。」
「はぁ!?考えてっから言ってんだろーが!
つーかお前こそ話聞いてんのかよ?美央ちゃん家に帰りたくねーって言ってたろ!」
「だからお前ら… 『あの!!!』
再び喧嘩腰になる二郎と三郎を一喝しようとする一郎を美央が遮った。
『二郎君の言う通り、お兄ちゃんが見つかるまで黙って待ってるだけなんて私はイヤです…。
私にお手伝いできることならなんでもします!ここに居させて下さい!!』
お願いします、と震える声で一郎に向かって頭を下げる美央。
「あの、美央さん…?お気持ちは分かりますけど、本当に大丈夫ですか?ついさっき会ったばかりの男の家に居候なんて…」
『ありがとう三郎君、私は大丈夫だから…。
一郎さん…お願いします!』
黙り込む一郎に美央が頭を下げたまま震える手を握りしめる。
「…美央。」
『は、はい!』
「お前、何かバイトしたことあるか?」
『バイト、ですか?』
一郎のイエスともノーとも言わない意外な返答に目を丸くする。
「萬屋の経営とコイツらの世話の両立は俺一人じゃさすがに大変でな…せめて萬屋の受付なり家事だけでも手伝ってくれないか?それが居候の条件だ。」
『…!ありがとうございます…っ!!!』
一郎から居候の承諾が降り、美央の不安に満ちていた表情が一気に明るくなった。
幸い離婚してから仕事にのめり込む母に代わって家事はほぼ毎日していた美央にとっては特に厳しい条件でもない。
改めて美央は三兄弟に向き直った。
『よろしくお願いします!』
その夜のこと。
「あの、一兄…」
「ん?どうした三郎」
「やっぱり僕は美央さんがウチに居候するのはどうかと思います。家出中の女の子を匿うなんて…あ、いや決して一兄のお考えに文句がある訳じゃないですよ!?」
「…確かに三郎の言うことも一理ある。
けどな三郎、お前はもし目の前に困ってる女の子が居たら、その子を見捨てるのか?」
「そ、そんなこと…!」
「それに、」
一郎が三郎の前に一冊の本を差し出す。
「アイツ、ウチ兄の美央に似てるだろ?見た目といい境遇といい…」
「…」