Dawn of the Felines
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二郎に案内され萬屋ヤマダのある雑居ビルに招待された美央。
ついに兄を知る唯一の手がかりである山田一郎と対面する緊張に駆られ、思わずドアの前で立ち往生していた。
『(やっと…やっとここまで…)』
胸の前で組んでいた両手をきつく握りしめ、祈るような気持ちでノブを握った。
二郎は美央を応接間の適当な場所に座らせ、一郎を呼ぶと言ってその場を離れた。
「兄ちゃーん、山崎美央さん連れてきたよー。」
二郎の呼びかけに返事はなく、代わりに足音と共に大柄な男が現れた。
二郎も背が高いと思っていたが、その二郎以上に高い背の主を見上げようと美央は座っていたソファーから立ち上がる。
『貴方が…一郎さん…?』
二郎と同じ左右で異なる色の双眸が真っ直ぐに美央を射抜く。
「山崎美央さんだな…。」
気圧されるような一郎の威圧感に美央が身動いだのに気付いたのか、一郎はフッと笑い口元を緩めた。
「よく来てくれたな。ここまで来るの大変だったろ?」
押し潰されそうな威圧感から打って変わり、親しみやすそうな雰囲気を醸し出す一郎に「あ、はい…」と生返事を返すのが精一杯の美央。
座るよう一郎に促され、美央は一郎と向き合うようにして再びソファーに着く。
「それで山崎さん…」
『あ、美央でいいです。』
「…じゃあ美央。
単刀直入に言うが、俺も最近アイツと連絡とれないんだ。
さっきお前からの電話を受けて連絡してみたが、電話も出ないしメッセにも反応がない。
共通のダチにも聞いてみたんだが、誰もアイツと連絡がつかないらしい…。」
『そんな…』
一郎も兄の居場所を知らなかった。
唯一の手がかりだと思っていただけに、美央の落胆は大きかった。
連絡がつかないのは美央だけではないということは兄の安否さえも危ういかもしれない。
本当にもう兄に会うことはできないのかと不安がよぎる。
「けどな、」
一郎が言葉を続ける。
「俺はアイツが何も言わずに美央の前から居なくなるヤツとは思えない、お前のことは何度もアイツから聞いてたからな。」
『お兄ちゃんが、私のことを…?』
「あぁ。普段は生意気なのに、根はガキの頃から変わらず甘えん坊のままで…ほっとけねぇ妹だってな。」
『…。』
美央はもしかしたら兄が失踪したのは自分が原因ではないかと思っていた。
兄に甘えすぎたから、知らず知らずの内に兄に迷惑をかけていたかもしれないと密かに思っていた。
だから兄は自分のことを無視していただけかもしれないと不安さえあった。
しかしそれは杞憂に終わった。
一郎の言葉が嘘ではないなら、兄も美央のことを想ってくれていたと判断できる。
「それで、だけどよ…」
『え?』
「美央さえ良ければ協力させてくれないか?
俺もお前の兄貴を探してやる。」
『協力…なんで…?』
「俺自身もアイツに用ができた、兄貴なら妹に心配させるなって一言言ってやりてぇ。
それに、俺は困ってるヤツがほっとけない性質でな…」
一郎の手が美央の頭に伸び、大きな手が美央の頭をワシワシと撫でる。
「1人でよくここまで来たな、よく頑張った。」
『ッ…!』
母の元を離れて単身でイケブクロディビジョンにたどり着いたから1日経ったが、美央はずっと孤独だった。
誰も自分のことを知らず、誰にも頼ることもできず、兄に会えるかどうかも分からない不安に満たされた美央だったが、一郎の言葉に気が緩んだのかその場で泣き崩れた。
『…っいちろ、さ…ありが、とっござ…いま…』
「よーしよしよし、大丈夫だって。お前の兄貴は必ず俺が…いや、俺たちが見つけてやるからよ。」
一郎は、泣き止まない美央を宥めながら柱の陰にいた2人を横目で見る。
「まあ…一兄の言うことは絶対ですからね。」
「俺らに任せてよ、美央ちゃん。」
泣き腫らした目で見上げた先には美央を案内した二郎と、もう1人は見覚えがない少年が居た。
よく見ると彼の目も一郎や二郎と同じく左右の色が違う。
不思議そうに少年を見つめる美央の視線に気が付いたのか、つかつかと歩み寄ってくる。
「申し遅れました、僕は山田三郎と申します。先程は愚兄の二郎がご迷惑をおかけしませんでしたか?」
『ぐけい…?』
スパァンッッッッッ!!!!
歳相応とは思えない三郎の言葉遣いに呆気にとられていると突如、三郎の後頭部が鋭い破裂音に似た音を立てた。
「テメェ三郎!!!誰が愚兄だ誰が!?つーかお前美央ちゃんと初対面だろ気安く口きいてんじゃねぇよ!」
「痛った…ッ、お前こそ依頼人に向かって気安く『ちゃん付け』で呼ぶな馴れ馴れしい!」
「さっき美央ちゃんが名前で呼んでいいっつってたろーが!人の話聞いてねーのかよこのテーノー弟がよぉ!!」
「はぁ!?この僕が低脳だって??何をどう判断したら、そうなるのかなこのバカはさぁ!」
呆気にとられる美央を他所に二郎と三郎の口論が始まった。
目の前で繰り広げられる激しい口論に呆然としながらも、二郎が手の形を平手にしたまま三郎を睨み付ける様を見て、先程の破裂音の正体は二郎に叩かれた音かと理解する。
さすがに止めたほうがいいかと美央が動こうとした瞬間、一郎の腕がそれを制し、ずかずかと口論中の2人の間に割って入る。
ガンッッ!!!!
「いでっ」
「あだっ」
「お前らいい加減にしろ!!女の子の前でみっともねぇだろ!!!」
拳に握った両手を二郎と三郎にそれぞれ振り下ろし一喝した。
二郎も三郎も鶴の一声が効いたとばかりに大人しくなる。
『(こんなんで本当にお兄ちゃんを見つけられるの…!?)』
先行きが不安になる美央であった。
ついに兄を知る唯一の手がかりである山田一郎と対面する緊張に駆られ、思わずドアの前で立ち往生していた。
『(やっと…やっとここまで…)』
胸の前で組んでいた両手をきつく握りしめ、祈るような気持ちでノブを握った。
二郎は美央を応接間の適当な場所に座らせ、一郎を呼ぶと言ってその場を離れた。
「兄ちゃーん、山崎美央さん連れてきたよー。」
二郎の呼びかけに返事はなく、代わりに足音と共に大柄な男が現れた。
二郎も背が高いと思っていたが、その二郎以上に高い背の主を見上げようと美央は座っていたソファーから立ち上がる。
『貴方が…一郎さん…?』
二郎と同じ左右で異なる色の双眸が真っ直ぐに美央を射抜く。
「山崎美央さんだな…。」
気圧されるような一郎の威圧感に美央が身動いだのに気付いたのか、一郎はフッと笑い口元を緩めた。
「よく来てくれたな。ここまで来るの大変だったろ?」
押し潰されそうな威圧感から打って変わり、親しみやすそうな雰囲気を醸し出す一郎に「あ、はい…」と生返事を返すのが精一杯の美央。
座るよう一郎に促され、美央は一郎と向き合うようにして再びソファーに着く。
「それで山崎さん…」
『あ、美央でいいです。』
「…じゃあ美央。
単刀直入に言うが、俺も最近アイツと連絡とれないんだ。
さっきお前からの電話を受けて連絡してみたが、電話も出ないしメッセにも反応がない。
共通のダチにも聞いてみたんだが、誰もアイツと連絡がつかないらしい…。」
『そんな…』
一郎も兄の居場所を知らなかった。
唯一の手がかりだと思っていただけに、美央の落胆は大きかった。
連絡がつかないのは美央だけではないということは兄の安否さえも危ういかもしれない。
本当にもう兄に会うことはできないのかと不安がよぎる。
「けどな、」
一郎が言葉を続ける。
「俺はアイツが何も言わずに美央の前から居なくなるヤツとは思えない、お前のことは何度もアイツから聞いてたからな。」
『お兄ちゃんが、私のことを…?』
「あぁ。普段は生意気なのに、根はガキの頃から変わらず甘えん坊のままで…ほっとけねぇ妹だってな。」
『…。』
美央はもしかしたら兄が失踪したのは自分が原因ではないかと思っていた。
兄に甘えすぎたから、知らず知らずの内に兄に迷惑をかけていたかもしれないと密かに思っていた。
だから兄は自分のことを無視していただけかもしれないと不安さえあった。
しかしそれは杞憂に終わった。
一郎の言葉が嘘ではないなら、兄も美央のことを想ってくれていたと判断できる。
「それで、だけどよ…」
『え?』
「美央さえ良ければ協力させてくれないか?
俺もお前の兄貴を探してやる。」
『協力…なんで…?』
「俺自身もアイツに用ができた、兄貴なら妹に心配させるなって一言言ってやりてぇ。
それに、俺は困ってるヤツがほっとけない性質でな…」
一郎の手が美央の頭に伸び、大きな手が美央の頭をワシワシと撫でる。
「1人でよくここまで来たな、よく頑張った。」
『ッ…!』
母の元を離れて単身でイケブクロディビジョンにたどり着いたから1日経ったが、美央はずっと孤独だった。
誰も自分のことを知らず、誰にも頼ることもできず、兄に会えるかどうかも分からない不安に満たされた美央だったが、一郎の言葉に気が緩んだのかその場で泣き崩れた。
『…っいちろ、さ…ありが、とっござ…いま…』
「よーしよしよし、大丈夫だって。お前の兄貴は必ず俺が…いや、俺たちが見つけてやるからよ。」
一郎は、泣き止まない美央を宥めながら柱の陰にいた2人を横目で見る。
「まあ…一兄の言うことは絶対ですからね。」
「俺らに任せてよ、美央ちゃん。」
泣き腫らした目で見上げた先には美央を案内した二郎と、もう1人は見覚えがない少年が居た。
よく見ると彼の目も一郎や二郎と同じく左右の色が違う。
不思議そうに少年を見つめる美央の視線に気が付いたのか、つかつかと歩み寄ってくる。
「申し遅れました、僕は山田三郎と申します。先程は愚兄の二郎がご迷惑をおかけしませんでしたか?」
『ぐけい…?』
スパァンッッッッッ!!!!
歳相応とは思えない三郎の言葉遣いに呆気にとられていると突如、三郎の後頭部が鋭い破裂音に似た音を立てた。
「テメェ三郎!!!誰が愚兄だ誰が!?つーかお前美央ちゃんと初対面だろ気安く口きいてんじゃねぇよ!」
「痛った…ッ、お前こそ依頼人に向かって気安く『ちゃん付け』で呼ぶな馴れ馴れしい!」
「さっき美央ちゃんが名前で呼んでいいっつってたろーが!人の話聞いてねーのかよこのテーノー弟がよぉ!!」
「はぁ!?この僕が低脳だって??何をどう判断したら、そうなるのかなこのバカはさぁ!」
呆気にとられる美央を他所に二郎と三郎の口論が始まった。
目の前で繰り広げられる激しい口論に呆然としながらも、二郎が手の形を平手にしたまま三郎を睨み付ける様を見て、先程の破裂音の正体は二郎に叩かれた音かと理解する。
さすがに止めたほうがいいかと美央が動こうとした瞬間、一郎の腕がそれを制し、ずかずかと口論中の2人の間に割って入る。
ガンッッ!!!!
「いでっ」
「あだっ」
「お前らいい加減にしろ!!女の子の前でみっともねぇだろ!!!」
拳に握った両手を二郎と三郎にそれぞれ振り下ろし一喝した。
二郎も三郎も鶴の一声が効いたとばかりに大人しくなる。
『(こんなんで本当にお兄ちゃんを見つけられるの…!?)』
先行きが不安になる美央であった。