Dawn of the Felines
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イケブクロディビジョンで迎えた最初の朝
辛うじて足を伸ばして寝ることができる室内で浅い眠りと目覚めを繰り返した美央は、まだ覚醒しきっていない脳を働かせてスマホの画面で時刻を確認した。
『(まだ7時…………って7時!?)』
画面の示す時刻に慌てて身体を跳ね起こすが、振り上げた足を机に強打し悶絶する。
『痛ったぁ…』
痛みで完全に脳は覚醒し、目を覚ました狭い室内を見回すとああ、そうだった。と思い出す。
安全な中王区を飛び出し、引き止める母を振り切り、兄を探すためにイケブクロディビジョンまでやってきたことを。
唯一の手がかりは兄を知る人物、山田一郎。
彼と接触すればもう一度兄と会うことができるかもしれないと一縷の望みに賭けて身一つでここまできたことを。
仮に山田一郎に会えたとしても兄の情報が得られるとは限らない、もしかしたら彼に会うことすらできないかもしれない。
それでも美央に何もしないで待つという選択肢はなかった。
萬屋ヤマダの電話番号はもう調べてある。
『…よし。』
まだ朝の7時だが電話に出てもらえるだろうか、そんな不安を抱えながらも震える指で画面に電話番号を打ち込んでいく。
『(これで…これでお兄ちゃんの手がかりが…)』
通話ボタンをタップすると、美央は祈るようにコール音が止むのを待った。
-はい、萬屋ヤマダです。-
受話器越しに聞こえた低い声に美央の全身に緊張が走る。
通話が繋がった。
彼が山田一郎なのだろうか?
何から話せばいい?
美央の頭の中は真っ白になり、その直後に様々な思考がぐるぐると巡っていた。
-もしもし?-
『あっ、その…すいません、私…』
-ご依頼ですか?-
『ご、依頼…?じゃなくて、あの…あなたが山田一郎さん、ですか?』
-?はい、そうですけど…-
山田一郎だ。
やっとここまでたどり着いた。
これで兄への手がかりが得られるかもしれない。
クリアになった脳内を必死に働かせて、美央は言葉を繋いだ。
『あっ、あの!私、山崎美央っていいます!去年の冬から兄と連絡が取れなくなって…、それで…家を出て兄を探してるんですが、あなたが兄の友達だと聞いていたので電話しました。』
-山崎…山崎光瑠の妹か?…-
『はい!そうです!!』
考え込んでいるのか受話器の向こうで一郎が沈黙する。
やはり兄について何か知っているのか、一郎の答えを待つ美央が更に緊張で身体を強張らせる。
-もし良かったら直接話したいんだが、今どこにいる?-
『えっ?えっと…今はイケブクロディビジョンのネットカフェ××××に…』
-分かった。本当なら俺が迎えに行きたいところなんだが、今ちょっと立て込んでてな…代わりに俺の弟に迎えに行かせるなら店の前で待っててくれないか?-
『わ、分かりました…。』
-それじゃ、また後で。-
通話を終えて安堵した美央は堰を切ったように崩れ落ちた。
『はぁぁぁぁぁ…緊張したぁ…』
美央が名乗ったとたんに一郎が何かを考え込んでいたのが受話器越しでも伝わったが、兄に関してやはり何か知っているのだろう。
兄は今どこで何をしているのか、どうすれば兄に会えるのか、これから全てが分かると思うと
安心と共に不安も込み上げてくる。
一郎は現在美央が居るネットカフェまで迎えを向かわせると言っていた。
一刻も早く一郎に会わなければと逸る気持ちで美央は簡単に身支度を整え、ネットカフェを後にした。
辛うじて足を伸ばして寝ることができる室内で浅い眠りと目覚めを繰り返した美央は、まだ覚醒しきっていない脳を働かせてスマホの画面で時刻を確認した。
『(まだ7時…………って7時!?)』
画面の示す時刻に慌てて身体を跳ね起こすが、振り上げた足を机に強打し悶絶する。
『痛ったぁ…』
痛みで完全に脳は覚醒し、目を覚ました狭い室内を見回すとああ、そうだった。と思い出す。
安全な中王区を飛び出し、引き止める母を振り切り、兄を探すためにイケブクロディビジョンまでやってきたことを。
唯一の手がかりは兄を知る人物、山田一郎。
彼と接触すればもう一度兄と会うことができるかもしれないと一縷の望みに賭けて身一つでここまできたことを。
仮に山田一郎に会えたとしても兄の情報が得られるとは限らない、もしかしたら彼に会うことすらできないかもしれない。
それでも美央に何もしないで待つという選択肢はなかった。
萬屋ヤマダの電話番号はもう調べてある。
『…よし。』
まだ朝の7時だが電話に出てもらえるだろうか、そんな不安を抱えながらも震える指で画面に電話番号を打ち込んでいく。
『(これで…これでお兄ちゃんの手がかりが…)』
通話ボタンをタップすると、美央は祈るようにコール音が止むのを待った。
-はい、萬屋ヤマダです。-
受話器越しに聞こえた低い声に美央の全身に緊張が走る。
通話が繋がった。
彼が山田一郎なのだろうか?
何から話せばいい?
美央の頭の中は真っ白になり、その直後に様々な思考がぐるぐると巡っていた。
-もしもし?-
『あっ、その…すいません、私…』
-ご依頼ですか?-
『ご、依頼…?じゃなくて、あの…あなたが山田一郎さん、ですか?』
-?はい、そうですけど…-
山田一郎だ。
やっとここまでたどり着いた。
これで兄への手がかりが得られるかもしれない。
クリアになった脳内を必死に働かせて、美央は言葉を繋いだ。
『あっ、あの!私、山崎美央っていいます!去年の冬から兄と連絡が取れなくなって…、それで…家を出て兄を探してるんですが、あなたが兄の友達だと聞いていたので電話しました。』
-山崎…山崎光瑠の妹か?…-
『はい!そうです!!』
考え込んでいるのか受話器の向こうで一郎が沈黙する。
やはり兄について何か知っているのか、一郎の答えを待つ美央が更に緊張で身体を強張らせる。
-もし良かったら直接話したいんだが、今どこにいる?-
『えっ?えっと…今はイケブクロディビジョンのネットカフェ××××に…』
-分かった。本当なら俺が迎えに行きたいところなんだが、今ちょっと立て込んでてな…代わりに俺の弟に迎えに行かせるなら店の前で待っててくれないか?-
『わ、分かりました…。』
-それじゃ、また後で。-
通話を終えて安堵した美央は堰を切ったように崩れ落ちた。
『はぁぁぁぁぁ…緊張したぁ…』
美央が名乗ったとたんに一郎が何かを考え込んでいたのが受話器越しでも伝わったが、兄に関してやはり何か知っているのだろう。
兄は今どこで何をしているのか、どうすれば兄に会えるのか、これから全てが分かると思うと
安心と共に不安も込み上げてくる。
一郎は現在美央が居るネットカフェまで迎えを向かわせると言っていた。
一刻も早く一郎に会わなければと逸る気持ちで美央は簡単に身支度を整え、ネットカフェを後にした。