Dawn of the Felines
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
美央がイケブクロディビジョンで最初に遭遇した人物、有栖川帝統。
最初に会った時もギャンブルで負けたらしく空腹で倒れていたが、今度はパンツ一丁で遭遇するとは思いもしなかった。
そんな帝統をあからさまに怪しむ二郎は、美央を庇うように背後に隠しながらも帝統に突っかかる。
「美央ちゃんに近づくんじゃねぇこの変質者が!!!」
「誰が変質者だ!オイ美央、コイツ何なんだよ。お前の男か?」
『いや…二郎くんは、そんなんじゃないです。』
美央の即答に「美央ちゃん…」と肩を落とす二郎を尻目に、美央はようやく話を切り出す。
『なんで今度はパンツ一丁なんですか、またギャンブルで全財産使ったんですか?』
「そーなんだよ!服まで賭けたってのにボロ負けしちまって、馴染みのおっちゃんも金貸してくれなくてよー」
以前会った時は空腹で倒れている程度だったが、今度は服すら失うとは…
内心そう思うが実際の美央は呆れて言葉が出なかった。
「それで、だ…お前に頼みがある。」
不意に真面目なトーンで話を切り出す帝統に嫌な予感しかしない。
なんですか、と美央が口を開く前に帝統は高々と飛び上がったかと思うと、両膝を付き額を地面に擦り付けて俯いた。
「お願いします…お金貸して下さァァい!!!!」
いわゆる土下座だ。
大の男がパンツ一丁で女子高生相手に土下座をしている。
こんな情けない光景があるだろうか。
周囲からの刺すような視線に居た堪れなくなった美央は頭を上げるように帝統を促す。
『あ、有栖川さんやめて下さい!』
「頼むよぉ!お前しか頼りになるヤツ居ねえんだよ!!」
美央の足に縋り付く帝統を二郎が慌てて引き剥がす。
「止めろっつってんだろこの変態野郎!!!」
「美央ー!お前だけが頼りなんだよぉ!!」
二郎に羽交い締めにされながらも美央に手を伸ばす帝統に異様さを感じたのか周囲が「警察に通報したほうがいいのでは?」と騒ぎ始める。
さすがにこの不穏な空気に居た堪れなくなった美央は、どうせ使い切れないと思っていた大金の存在を思い出した。
『もう分かりましたから!ハイこれ!』
差し出された数枚の紙幣を視界に収めた瞬間、帝統はそれを嬉々として受け取った。
「いいのか!?サンキュー美央!恩に着るぜ!!」
「ちょっ、美央ちゃん…ホントいいの?」
『だってこれ以上大騒ぎにしたくないもん…。』
「あっ、そーだそーだ!なぁ美央」
手にした大金にはしゃぐ帝統を尻目に二郎が美央に耳打ちすると、我に返った帝統が再び美央に近づく。
「今度は何だ変質者!!」
「だから変質者じゃねぇっつってんだろ!さっきから何だお前!?美央の何なんだよ!」
「美央ちゃんは今ウチで居候してんだよ!」
「居候だぁ?」
沸点の低いこの二人の言い合いで暴露されてしまった美央の事情に溜め息をつきたくなるのを堪えて、ここまで知られたなら乗り掛かった船だと美央は帝統に事情を話すと決めた。
『実は…』
『…というワケで中王区を抜け出して、今は二郎君達にお世話になってるんです。』
美央が中王区から兄を探しにきたこと、そのために山田家に居候していること、それら全てを洗いざらい話し終えると帝統が「そうだったのか…」と小さくぼやく。
「その兄貴ってどんなヤツなんだ?俺も探してやっからよ!」
『え、いいんですか?』
「たりめーだろ!美央にはこれで2回も助けられてんだからよ。」
『ありがとうございます!』
思いがけない申し出に希望を抱く美央を、帝統がじっと見る。
「なぁ、美央。俺ら…どっかで会ったことないか?」
『?イケブクロの駅前ですか。』
「そうじゃなくて、それよりもっと前によ…」
今度は何を言い出すかと思ったが、案の定美央の記憶にある帝統との出会いは中王区を抜け出したあの日しか思い当たらない。
『(私が、有栖川さんと…?ないよね?)』
「オイ変質者!いつまで美央ちゃんに付き纏ってんだよ!!美央ちゃんもう帰ろうよー、兄ちゃんが心配するよ?」
いくら記憶をたどっても思い当たる節はなく、苛々が募った二郎から帰りを催促されて現実に戻った。
『あ、ごめんね。じゃあ有栖川さん、また。』
「おう!金ありがとな!!」
帝統に別れを告げ、二郎とイケブクロへの帰路に着く道中、美央は帝統の言葉がどうしても気がかりになった。
『(有栖川さんと会ったこと…か…)』
不透明な記憶が頭を過った。
最初に会った時もギャンブルで負けたらしく空腹で倒れていたが、今度はパンツ一丁で遭遇するとは思いもしなかった。
そんな帝統をあからさまに怪しむ二郎は、美央を庇うように背後に隠しながらも帝統に突っかかる。
「美央ちゃんに近づくんじゃねぇこの変質者が!!!」
「誰が変質者だ!オイ美央、コイツ何なんだよ。お前の男か?」
『いや…二郎くんは、そんなんじゃないです。』
美央の即答に「美央ちゃん…」と肩を落とす二郎を尻目に、美央はようやく話を切り出す。
『なんで今度はパンツ一丁なんですか、またギャンブルで全財産使ったんですか?』
「そーなんだよ!服まで賭けたってのにボロ負けしちまって、馴染みのおっちゃんも金貸してくれなくてよー」
以前会った時は空腹で倒れている程度だったが、今度は服すら失うとは…
内心そう思うが実際の美央は呆れて言葉が出なかった。
「それで、だ…お前に頼みがある。」
不意に真面目なトーンで話を切り出す帝統に嫌な予感しかしない。
なんですか、と美央が口を開く前に帝統は高々と飛び上がったかと思うと、両膝を付き額を地面に擦り付けて俯いた。
「お願いします…お金貸して下さァァい!!!!」
いわゆる土下座だ。
大の男がパンツ一丁で女子高生相手に土下座をしている。
こんな情けない光景があるだろうか。
周囲からの刺すような視線に居た堪れなくなった美央は頭を上げるように帝統を促す。
『あ、有栖川さんやめて下さい!』
「頼むよぉ!お前しか頼りになるヤツ居ねえんだよ!!」
美央の足に縋り付く帝統を二郎が慌てて引き剥がす。
「止めろっつってんだろこの変態野郎!!!」
「美央ー!お前だけが頼りなんだよぉ!!」
二郎に羽交い締めにされながらも美央に手を伸ばす帝統に異様さを感じたのか周囲が「警察に通報したほうがいいのでは?」と騒ぎ始める。
さすがにこの不穏な空気に居た堪れなくなった美央は、どうせ使い切れないと思っていた大金の存在を思い出した。
『もう分かりましたから!ハイこれ!』
差し出された数枚の紙幣を視界に収めた瞬間、帝統はそれを嬉々として受け取った。
「いいのか!?サンキュー美央!恩に着るぜ!!」
「ちょっ、美央ちゃん…ホントいいの?」
『だってこれ以上大騒ぎにしたくないもん…。』
「あっ、そーだそーだ!なぁ美央」
手にした大金にはしゃぐ帝統を尻目に二郎が美央に耳打ちすると、我に返った帝統が再び美央に近づく。
「今度は何だ変質者!!」
「だから変質者じゃねぇっつってんだろ!さっきから何だお前!?美央の何なんだよ!」
「美央ちゃんは今ウチで居候してんだよ!」
「居候だぁ?」
沸点の低いこの二人の言い合いで暴露されてしまった美央の事情に溜め息をつきたくなるのを堪えて、ここまで知られたなら乗り掛かった船だと美央は帝統に事情を話すと決めた。
『実は…』
『…というワケで中王区を抜け出して、今は二郎君達にお世話になってるんです。』
美央が中王区から兄を探しにきたこと、そのために山田家に居候していること、それら全てを洗いざらい話し終えると帝統が「そうだったのか…」と小さくぼやく。
「その兄貴ってどんなヤツなんだ?俺も探してやっからよ!」
『え、いいんですか?』
「たりめーだろ!美央にはこれで2回も助けられてんだからよ。」
『ありがとうございます!』
思いがけない申し出に希望を抱く美央を、帝統がじっと見る。
「なぁ、美央。俺ら…どっかで会ったことないか?」
『?イケブクロの駅前ですか。』
「そうじゃなくて、それよりもっと前によ…」
今度は何を言い出すかと思ったが、案の定美央の記憶にある帝統との出会いは中王区を抜け出したあの日しか思い当たらない。
『(私が、有栖川さんと…?ないよね?)』
「オイ変質者!いつまで美央ちゃんに付き纏ってんだよ!!美央ちゃんもう帰ろうよー、兄ちゃんが心配するよ?」
いくら記憶をたどっても思い当たる節はなく、苛々が募った二郎から帰りを催促されて現実に戻った。
『あ、ごめんね。じゃあ有栖川さん、また。』
「おう!金ありがとな!!」
帝統に別れを告げ、二郎とイケブクロへの帰路に着く道中、美央は帝統の言葉がどうしても気がかりになった。
『(有栖川さんと会ったこと…か…)』
不透明な記憶が頭を過った。
15/15ページ