Dawn of the Felines
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『…』
「…」
『…』
夕方、萬屋の仕事がひと段落ついたからと一郎に促され、先に帰った美央はひたすら注がれる視線に困っていた。
その熱視線の正体は二郎で、一郎に頼まれた家事をこなす間美央はずっと二郎に見られている。
その傍らの三郎はというと呆れたように二郎に冷めた視線を送っていた。
たまに二郎と視線が合えば露骨に目を逸らされ、美央が見るのをやめるとまた視線を注がれる。
あまりの熱視線に二郎の気に障るようなことでもしたのではないかと一抹の不安すら過ぎった。
「(うっわ、今の美央ちゃんめちゃくちゃ写真撮りてぇ…!部屋と服装以外はウチ兄3話の完全再現じゃねえか…あー、美央ちゃんマジ尊い…)」
『(私、二郎君に何かしたっけ…?)』
手のひらサイズの本を片手に美央をチラチラと盗み見る二郎に痺れを切らした三郎が口を開いた。
「そんなにジロジロ見てたら美央さんが集中できないだろ。」
「は、ハァ!!?見てねーし!!!別に見てねーし!!!!」
『二郎君?どうかした?』
「な、何でもない!何でもないって!!」
突然声を荒げる二郎に驚く美央を不自然にはぐらかし、美央に聞こえるようにわざとらしく声を上げた三郎の口を塞ぐ。
二郎はそのまま三郎を小脇に抱えて美央に背を向けると、抱えた三郎に小声で怒鳴り付けた。
「このバカ!美央ちゃんに聞こえるだろが!!」
「聞こえるように言ったんだから当たり前だろバカ。」
「テメっ…誰がバカだ誰が!?」
「さっきから美央さんに鼻の下伸ばしてデレデレしてるお前だよバーカ。」
再びわざとらしく声を張り上げる三郎に再び美央が反応するのではと一抹の不安がよぎった二郎だが、それは杞憂に終わった。
当の本人である美央は踏み台に恐る恐る脚をかけ、高い戸棚を開けようとしていたからだ。
よほど集中しているのか、二郎と三郎の小競り合いなど聞こえていないらしい。
「(危っぶねー…美央ちゃんに聞こえてたら恥ずかしさで死ねるわ俺…)」
「(なんか嫌な予感がする…)」
三郎の予感は的中した。
『あっ!!!』
お目当てのものを見つけて油断したのか、美央が踏み台から足を踏み外し、今まさに真っ逆さまに落ちる直前だった。
「美央ちゃん!!!」
真っ先に動いた二郎が落ちてきた美央を背中から抱き留め、共倒れしないようにその場に必死に踏み留まる。
「大丈夫?美央ちゃん。」
『う、うん…ありがとう。』
美央を守るためとはいえ異性を抱きしめるのは初めてであり、女の子特有の柔らかさや甘い匂いに、平静を装うが内心二郎は気が気ではなかった。
「(やっば…!!!!美央ちゃんめっちゃいい匂いした!めっちゃ柔らかかった!!」
「いい加減美央さんから離れろよセクハラ二郎。」
三郎の鋭い罵声に我に返った二郎は腕の中で美央が恥ずかしそうに震えているのにようやく気付く。
『その…恥ずかしいから離してくれる?』
「あっ、ごめんごめんごめん!!」
慌てて美央を解放すると、美央が気まずそうに二郎から離れる。
『それじゃ私、晩ごはんの支度してるね。』
渦中の美央が居なくなったことで三郎はようやく二郎の本心を探り出せた。
「お前まさか美央さんのこと好きなのか?」
「は!?好きじゃねーし別に!!」
「じゃ嫌いなのか?」
「誰もンなこと言ってねーだろ!」
この小競り合いは不穏な空気が手に負えなくなった美央が帰宅した一郎を呼び出し、一郎の鶴の一声で止められたのであった。
「…」
『…』
夕方、萬屋の仕事がひと段落ついたからと一郎に促され、先に帰った美央はひたすら注がれる視線に困っていた。
その熱視線の正体は二郎で、一郎に頼まれた家事をこなす間美央はずっと二郎に見られている。
その傍らの三郎はというと呆れたように二郎に冷めた視線を送っていた。
たまに二郎と視線が合えば露骨に目を逸らされ、美央が見るのをやめるとまた視線を注がれる。
あまりの熱視線に二郎の気に障るようなことでもしたのではないかと一抹の不安すら過ぎった。
「(うっわ、今の美央ちゃんめちゃくちゃ写真撮りてぇ…!部屋と服装以外はウチ兄3話の完全再現じゃねえか…あー、美央ちゃんマジ尊い…)」
『(私、二郎君に何かしたっけ…?)』
手のひらサイズの本を片手に美央をチラチラと盗み見る二郎に痺れを切らした三郎が口を開いた。
「そんなにジロジロ見てたら美央さんが集中できないだろ。」
「は、ハァ!!?見てねーし!!!別に見てねーし!!!!」
『二郎君?どうかした?』
「な、何でもない!何でもないって!!」
突然声を荒げる二郎に驚く美央を不自然にはぐらかし、美央に聞こえるようにわざとらしく声を上げた三郎の口を塞ぐ。
二郎はそのまま三郎を小脇に抱えて美央に背を向けると、抱えた三郎に小声で怒鳴り付けた。
「このバカ!美央ちゃんに聞こえるだろが!!」
「聞こえるように言ったんだから当たり前だろバカ。」
「テメっ…誰がバカだ誰が!?」
「さっきから美央さんに鼻の下伸ばしてデレデレしてるお前だよバーカ。」
再びわざとらしく声を張り上げる三郎に再び美央が反応するのではと一抹の不安がよぎった二郎だが、それは杞憂に終わった。
当の本人である美央は踏み台に恐る恐る脚をかけ、高い戸棚を開けようとしていたからだ。
よほど集中しているのか、二郎と三郎の小競り合いなど聞こえていないらしい。
「(危っぶねー…美央ちゃんに聞こえてたら恥ずかしさで死ねるわ俺…)」
「(なんか嫌な予感がする…)」
三郎の予感は的中した。
『あっ!!!』
お目当てのものを見つけて油断したのか、美央が踏み台から足を踏み外し、今まさに真っ逆さまに落ちる直前だった。
「美央ちゃん!!!」
真っ先に動いた二郎が落ちてきた美央を背中から抱き留め、共倒れしないようにその場に必死に踏み留まる。
「大丈夫?美央ちゃん。」
『う、うん…ありがとう。』
美央を守るためとはいえ異性を抱きしめるのは初めてであり、女の子特有の柔らかさや甘い匂いに、平静を装うが内心二郎は気が気ではなかった。
「(やっば…!!!!美央ちゃんめっちゃいい匂いした!めっちゃ柔らかかった!!」
「いい加減美央さんから離れろよセクハラ二郎。」
三郎の鋭い罵声に我に返った二郎は腕の中で美央が恥ずかしそうに震えているのにようやく気付く。
『その…恥ずかしいから離してくれる?』
「あっ、ごめんごめんごめん!!」
慌てて美央を解放すると、美央が気まずそうに二郎から離れる。
『それじゃ私、晩ごはんの支度してるね。』
渦中の美央が居なくなったことで三郎はようやく二郎の本心を探り出せた。
「お前まさか美央さんのこと好きなのか?」
「は!?好きじゃねーし別に!!」
「じゃ嫌いなのか?」
「誰もンなこと言ってねーだろ!」
この小競り合いは不穏な空気が手に負えなくなった美央が帰宅した一郎を呼び出し、一郎の鶴の一声で止められたのであった。