Dawn of the Felines
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朝方の一悶着から数時間後、美央はさっそく一郎に連れられながら萬屋ヤマダの事務所へと向かう。
一度は依頼人として足を運んだ場だが、今日から自分も従業員になると思うと不安と緊張が込み上げてくる。
隣の一郎は慣れた様子で薄暗い裏道を進みながらもすれ違う人々に気さくに応えていた。
『(すごい…本当に誰からも慕われてるんだ…)』
「アレ?一郎さんその子誰ッスか?」
「もしかして彼女ッスか?」
一郎に連れられる美央に気付いた2人組の青年が近づく。
大柄な男に歩み寄られた美央が怯えるように肩をすくめると、察した一郎が即座に美央の前に出る。
「バーカ違げえよ、前話したろ?この子が光瑠の妹だよ。」
「えっ…この子が光瑠さんの…!!!?めっちゃ可愛くないですか!?」
「マジでか…光瑠さんと全然似てねえ…」
この2人も兄のことを知っているのか、まじまじと美央の顔を覗き込む。
何か知っているかと思い美央も庇ってくれていた一郎の後ろからおずおずと顔を出した。
『私、お兄ちゃんを探しにここまで来たんです!何か知ってたら教えて下さい!』
「何か、か…そういや光瑠さんと最近連絡してねえな…」
「俺も去年の年末に新しいバイト始めたって聞いてから連絡つかねえんだよな…」
新しいバイトを始めた?
聞いたことのない情報に美央が青年に食い下がる。
『何のバイトですか?どこで働くとか言ってましたか!?』
「い、いや…そこまでは…」
「美央、気持ちは分かるけど落ち着け。
」
必死に食い下がる美央を一郎が宥め、青年たちに別れを告げた。
またも杞憂に終わった兄との再会の可能性に、再び事務所へと向かう美央の足取りは重くなる。
「…そんな顔すんな、アイツは絶対俺が見つけてやるから。」
『…はい。』
俯く美央の頭に一郎の手が置かれ、ワシワシと撫でられる。
頭を撫でるのは2人の弟がいる一郎にとっては癖なのだろうかと思いながらも甘んじて受けていると、再び一郎へと声がかかる。
しかしそれは、先程と違い友好的なものではなかった。
「山田一郎!今日こそくたばってもらおうか…」
「あぁ?女連れとは調子乗ってんなぁオイ!」
見るからに柄の悪そうな男が複数人、下卑た悪意が一郎と美央に向けられる。
そして男達の手にはマイクが握られていた。
それもただのマイクではない。
ヒプノシスマイク、武力による戦争が根絶されたH歴に開発された唯一の兵器であり、このマイクを通したリリックは人の精神に干渉し様々な症状に陥らせることが可能となる。
その矛先が今、一郎へと向けられていることに不安を隠せない美央とは裏腹に、一郎は「またか…」とぼやくと呆れた様子でため息をついた。
「美央、下がってろ。」
美央を庇うように立ちはだかると一郎も男達と同じようにマイクを取り出し、電源を入れたその瞬間、
『っ!』
気圧される。
そう思ったのは美央だけではない。
その場に居た誰もが一郎に圧倒された。
たった1ターンのリリックだった。
それだけで男達は全員返り討ちにされていた。
白目を剥いて失神する男達を鼻で笑うと、一郎はマイクを電源を切って美央に向き直る。
「悪いな美央、恐い思いさせて。」
『いえ、大丈夫です。』
「ならいいが…じゃ、行くか。」
先程までの気圧されるような獰猛さから、見慣れた優しい一郎に戻り安堵する美央。
一郎も不安の解けた様子の美央に頬を緩める。
一悶着あったが2人はようやく萬屋の事務所にたどり着き、美央の初仕事が始まった。
一度は依頼人として足を運んだ場だが、今日から自分も従業員になると思うと不安と緊張が込み上げてくる。
隣の一郎は慣れた様子で薄暗い裏道を進みながらもすれ違う人々に気さくに応えていた。
『(すごい…本当に誰からも慕われてるんだ…)』
「アレ?一郎さんその子誰ッスか?」
「もしかして彼女ッスか?」
一郎に連れられる美央に気付いた2人組の青年が近づく。
大柄な男に歩み寄られた美央が怯えるように肩をすくめると、察した一郎が即座に美央の前に出る。
「バーカ違げえよ、前話したろ?この子が光瑠の妹だよ。」
「えっ…この子が光瑠さんの…!!!?めっちゃ可愛くないですか!?」
「マジでか…光瑠さんと全然似てねえ…」
この2人も兄のことを知っているのか、まじまじと美央の顔を覗き込む。
何か知っているかと思い美央も庇ってくれていた一郎の後ろからおずおずと顔を出した。
『私、お兄ちゃんを探しにここまで来たんです!何か知ってたら教えて下さい!』
「何か、か…そういや光瑠さんと最近連絡してねえな…」
「俺も去年の年末に新しいバイト始めたって聞いてから連絡つかねえんだよな…」
新しいバイトを始めた?
聞いたことのない情報に美央が青年に食い下がる。
『何のバイトですか?どこで働くとか言ってましたか!?』
「い、いや…そこまでは…」
「美央、気持ちは分かるけど落ち着け。
」
必死に食い下がる美央を一郎が宥め、青年たちに別れを告げた。
またも杞憂に終わった兄との再会の可能性に、再び事務所へと向かう美央の足取りは重くなる。
「…そんな顔すんな、アイツは絶対俺が見つけてやるから。」
『…はい。』
俯く美央の頭に一郎の手が置かれ、ワシワシと撫でられる。
頭を撫でるのは2人の弟がいる一郎にとっては癖なのだろうかと思いながらも甘んじて受けていると、再び一郎へと声がかかる。
しかしそれは、先程と違い友好的なものではなかった。
「山田一郎!今日こそくたばってもらおうか…」
「あぁ?女連れとは調子乗ってんなぁオイ!」
見るからに柄の悪そうな男が複数人、下卑た悪意が一郎と美央に向けられる。
そして男達の手にはマイクが握られていた。
それもただのマイクではない。
ヒプノシスマイク、武力による戦争が根絶されたH歴に開発された唯一の兵器であり、このマイクを通したリリックは人の精神に干渉し様々な症状に陥らせることが可能となる。
その矛先が今、一郎へと向けられていることに不安を隠せない美央とは裏腹に、一郎は「またか…」とぼやくと呆れた様子でため息をついた。
「美央、下がってろ。」
美央を庇うように立ちはだかると一郎も男達と同じようにマイクを取り出し、電源を入れたその瞬間、
『っ!』
気圧される。
そう思ったのは美央だけではない。
その場に居た誰もが一郎に圧倒された。
たった1ターンのリリックだった。
それだけで男達は全員返り討ちにされていた。
白目を剥いて失神する男達を鼻で笑うと、一郎はマイクを電源を切って美央に向き直る。
「悪いな美央、恐い思いさせて。」
『いえ、大丈夫です。』
「ならいいが…じゃ、行くか。」
先程までの気圧されるような獰猛さから、見慣れた優しい一郎に戻り安堵する美央。
一郎も不安の解けた様子の美央に頬を緩める。
一悶着あったが2人はようやく萬屋の事務所にたどり着き、美央の初仕事が始まった。