第3章 ~砂上の平穏~
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同時刻・東京都中央区 日韓新興感染症対策機構本部(EID)…
「各封鎖線の自衛隊とSATが壊滅状態ですッ 封鎖線の修復間に合いませんッ」
「ABUよりCODE:GOLEMの発令を受信ッ 神奈川県全域の封鎖とSTFの出動要請が来ていますッ」
「僅か1週間で封鎖線が破られただと!?……バカなッ」
EIDの武装部門・対バイオハザード部隊(ABU)の司令部が入居する中央区のビルに、横須賀のABU派遣部隊から緊急連絡が届いた。
「司令ッ」
「ABU全隊員を第3封鎖線まで後退ッ STF全隊員を緊急招集ッ 都内で待機中の連中を現地に向かわせろッ」
「了解ッ」
「幹部会へ報告。総理官邸に非常事態宣言の発令を要請ッ」
「ハッ」
11月5日 AM7:00 東京都目黒区・亜貴と絢音の自宅…
亜貴『…ん…』
6人で呑んだ翌日。亜貴は絢音と一緒にベッドで眠った。朝陽がカーテンの隙間から部屋に差し込む中、亜貴が目を覚ます。
絢音「スゥ…スゥ…」
亜貴の胸の中で眠る絢音が穏やかな表情で静かに寝息を立てている。亜貴は絢音を起こさぬようベッドから起き上がる。
亜貴『…』
亜貴はおもむろに机のパソコンと傍に置いてあったスマホの電源を入れた。十数秒して、パソコンとスマホがロック画面になる。
ヴヴ~ヴヴ~ヴヴ~…
スマホが起動すると、通知が連続で表示される。そのほとんどがABU本部からのものだった。
亜貴『!』
その中に、「CODE:GOLEM」の文字が見えた。
CODE:GOLEMが意味するもの……それは、壊滅的な被害をもたらす大規模な感染が発生したということ。しかし横須賀には自衛隊・警察・ABUによる強力な封鎖線が構築されているハズ。にもかかわらず、この通知が届いたということは……その“強力な封鎖線が破られた”ということだった。
亜貴『ッ~~~』
状況を飲み込んだ亜貴は慌てず、しかし猛スピードでクローゼットを開けて着替えを始める。
亜貴『(封鎖線が破られた!? バカなッ)』
着替えを終えると、亜貴はベッドで眠る絢音を揺すって起こした。
亜貴『ッ…絢音ッ 絢音ッ』
絢音「…ん~…」
亜貴『絢音ッ 起きて下さいッ』
絢音「ん~……亜貴くん? どうしたの?」
目を覚ました絢音。らしくもなく慌てている亜貴を見て、不思議そうに眼を擦る。
亜貴『絢音ッ 今日は家から出ないようにッ』
絢音「…え? 急にどうしたの?」
亜貴『緊急事態ですッ 僕が連絡するまで誰が来ても絶対に玄関を開けないようにッ』
絢音「緊急事態って…なに? いったい…」
亜貴『…あのウイルスが漏れ出ました。封鎖線が決壊したんです』
絢音「……え?」
寝起きの絢音の頭脳が一呼吸空けて覚醒する。
亜貴『当然神奈川県全域は封鎖されますが、最悪感染者が関東全域に広がる可能性があります。そうなればここも安全ではありませんッ だから、僕が返ってくるまで、絶対に玄関を開けてはいけませんッ』
絢音「そんな…」
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