第1章 ~終わりの始まり~
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コブラⅡが先ほど来た庭園を眺めながら歩く参道に入った。
怜奈「…どうして言ってくれなかったの?」
小百合・絢音「…」
亜貴『守秘義務がありました。従業員、特に我々のような保安部隊の人間はその秘匿性故、例え家族であっても業務内容勿論、勤務先に関して話すことすら禁じられていました』
宗谷『…それだけじゃない』
怜奈・小百合・絢音「?」
宗谷『…さっき上からの命令でと言ったが、俺は去年から外交方針を巡って外務省内で孤立していた…簡単に言えば腫物扱いだ。上から嫌われた役人に未来は無い。その内にEIDへの出向の話が持ち上がり、腫れ物だった俺にはすぐ辞令が下った。事実上の左遷だ。外務省職員としての給料は支給し続けるというのを条件でな……今でも国際法局には出勤することはあるが、ほとんど仕事を振られることはない。当然会議にも出れんしな』
怜奈「…」
宗谷『左遷されたなんて話を怜奈には勿論、ご両親に話せるワケもない』
怜奈「…ウチの両親に知られたくないから言わなかったの?」
宗谷『…厳密には少し違う。怜奈と別れたくなかったとか、失望させたくなかったとか、そんな下らん理由じゃない。ご両親に知られること自体も構わん………ただ、心配をかけたくなかった……怜奈を任されてる男が左遷など、ご両親からすれば不安でしかないだろう』
そう言う宗谷の背中が、怜奈にはいつになく小さく見える。
零『…それ言うなら俺も同じだな。前職は安定してたけど、将来のことを考えるとやっぱり収入的に不安だし、何より退屈だった。上司とのソリも合わなかったから昇進も望めなかったし。何よりここは収入が高い上に副業もOKだった』
小百合「…お金の為に、そんな危ない所に転職したってこを?」
零『…金は“デカい”んだよ。俺達みてぇなサラリーマンや役人はお前らタレントみたいに大きな額を一気に稼げる職業じゃねぇ。将来を考えると、それなりに金がないと生活もできねぇ…ましてや将来を考えたら、それなりに稼いでないと不安なんだよ…』
亜貴『僕は先ほど話した通りです。別に職場にも収入にも不満はありませんでした。上との協議の結果、納得してEID(ここ)に入り込みました。自主的に来た分、ある意味一番悪いかもしれません』
絢音「…」
日韓新興感染症対策機構(EID)の保安部門は、通常の施設警備員と特殊部隊である対バイオハザード部隊(BCS)及び特殊保安部隊(SSS)に分かれている。特に後者は高い専門技量が必要となる上、有事の際は文字通り生命がかかっていることからかなりの年収と各種手当が完備されている。実際に高収入を目当てに自衛隊や警察官から転職する者も少なくなかった。
亜貴『黙っていたことは謝ります。責められて当然だとも思います』
宗谷『お前達がEIDの工場の近くに行くと知った時、本来は止めるべきだった。そうすればお前達が巻き込まれることも無かった…』
零『…正直危機感すら持ってなかった。彼氏失格だよな…』
小百合・怜奈・絢音「…」
ヒロイン達は暫く何も言葉が出なかった。別にこの事件に巻き込まれたことが彼らのせいだと責める気など無い。勤め先だって、お互いイイ歳した大人だ。いちいち互いの仕事にまで口は出さない。
…とは言え、限度がある。
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