序章
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昭和63年(1988年)…
~某局A・報道番組~
キャスター[性描写や暴力、差別的な表現を規制するメディア良化法案について、都議会総務委員会が開かれ、賛成反対、それぞれの意見を述べました]
【反対派】弁護士協会・青木聡史[この法案によって社会にもたらされるものは、これは言論統制以外の何物でもないと]
【賛成派】民栄党代表・稲葉儀市[悪しき表現がですね、青少年に及ぼす影響、悪影響は甚大なものがあります]
【反対派】北洋大学教授・野嶋紀明[ここは絶対に思想は弾圧するべきではないし、規制をかけるべきではないと]
【賛成派】弁護士・表現を守る会代表・小早川健[政府の方向性の示唆というものが求められているんだと思います。具体的に言うとですね、まぁ検閲というんですかねぇ]
~某局B討論番組~
放送作家・小倉栄喜[そういうものをあのぉ…メディア化してですね、見せることによって]
~某局C報道番組~
作家・水岡陽子[でも、それを読む自由はあっていいと思うんです]
~某局B討論番組~
放送作家・小倉栄喜[まぁ政府には今一度お考え頂きたいと]
~都議会中継~
共民党・依田良一[国民が安心して受け取ることのできるメディア表現を確立する為にも、有害図書・有害メディアを監視する…]
~国会~
民栄党・坂田清光「メディアを選別することは、我々の急務であり、今一度、有害メディアを取り締まる法律が必要であると考えます」
~某局D会見番組~
官房長官「新しい元号は、“正化”であります」
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1989年(正化元年) メディア良化法、施行
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正化31年(西暦2019年)
メディアへの監視権を持つメディア良化委員会と法執行機関である良化特務機関(通称:メディア良化隊)による思想・言論弾圧とも言える検閲によって、日本は戦前に回帰したような独裁・統制国家となっていた…
5月某日 AM2:00
東京都武蔵野市……西東京市と小金井市との境に位置する同市北西部に、ある広大な施設があった
パキンッ
シュザンッ
ドサッドサッ
???「裏門の処理完了…」
???「カメラの処理もOK~」
その施設に立つ建物の裏口に、2人の仮面を付けた人物が立っていた。足元には、全身黒ずくめで防弾チョッキに防弾メット、ゴーグル、フェイスマスクを付けた2人が倒れている。
???〈この位置から狙える監視カメラは全て破壊しました〉
???「流石だな」
???〈急がないと気づかれますよ?〉
???「おう♬」
深夜の暗闇の中に佇む2人の声は共に若い男性のようで、片方の青年は夜叉の仮面に上下黒のスーツと青いネクタイ、もう片方の青年はグレーの狼を象った仮面に紫のスーツとネクタイを着用している。
???〈“カムイ”~〉
???〈あぁ〉
カムイ……そう呼ばれた狼の仮面の青年が、倒れている者達の服を探り始める。
???〈脱出の準備ができたら言いなさい〉
???「りょうか~い♬」
その施設から数十m離れたアパートの屋上に、フェイスマスクをした青年が狙撃銃(スナイパーライフル)=TRG M10の照準器(スコープ)から2人の仮面の人物を眺めていた。
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