リアル♡おにごっこ
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壁外調査をしていたら、突然空から今まで聞いたこともないような間抜けな効果音が降ってきた。新手の飛ぶ巨人かとあの冷静なエルヴィン含め皆騒然となったが、現れたのは胸と下半身を黄色と黒の縞模様の小さな布で隠しただけの破廉恥極まりない女だった。
「おいエルヴィン、なんだありゃあ…」
「ふむ、一つ言い切れるのは巨人ではないということかな。」
あのエルヴィンでさえも顎に手を添え首をかしげて理解に苦しんでいる。困惑する俺たちを無視し、女は布地と同じ柄のロングブーツで軽やかにオレンジ屋根の上に降り立つと、こちらに勢いよく指をさしこれから人類を滅亡させて「ちきゅう」を征服すると声高らかに宣言した。
「今なんつったあいつ…?」
「ちょ、ちょっといいかなー!貴女の目的は分かったんだけど、その前に貴女は一体何者なのさー!」
ハンジが屋根の上の女に声が届くように口許に手を添えて叫ぶ。変なツボで滾らなければハンジは結構冷静で頼れる奴なのだ。
「え?私の事?」
「そうそう君の事!」
「私は鬼よ!」
「は?」「あ?」
「だから鬼よ!見て分からないの?!」
「おに…?文献でも聞いたことがないな。」
「鬼」という概念を知らない俺達が驚かない様子が気に入らなかったのか、自称鬼だという女は自分は宇宙一強くて怖い種族なんだと捲し立てる。本当に内臓がそこに入っているのか疑わしくなるほどの細く括れたウエストに両手を添えてぷりぷり説明しだした。
勝手に説明するのはいいが、ここは自由と地獄の成れの果て壁外。人間のように華奢でか細い鬼よりもここには巨人という馬鹿でかくて凶暴な奴らがわんさか居るのだ。いつ巨人が現れるか分からない状況で得体の知れない鬼の小娘を相手にするほど暇じゃない。
「どうするエルヴィン?放っておくか?」
「そうだな…遭遇したからには何か情報を得たいところなんだが…はたして会話は成立するのだろうか?」
「悠長なことは言ってられないぞ。一体、近づいて来ている。」
そうこうしているうちに、ミケが鼻を利かせ「後方からだ。」と後ろの地平線に鋭く眼光を光らせた。それと同時に後方の仲間から信煙弾が上がる。絵に書いたようなバッドタイミング、信煙弾の色は青空に一番映える黒だった。
「チッこんなとこでもたついてやがるから…俺が行く。お前らはここで…あ゛ぁ?!」
「こらー!あなた私の邪魔をしないでよ!」
あろうことか女はこちらに気持ち悪くスキップしてくる奇行種が自分の話の腰を折ったと立腹し、奇行種めがけて向かっていく。絶対絶命。鬼がなんだか知らないが、姿形はうら若き女。また一人、か弱い命が巨人の餌食になると誰もがそう思った。が、次の瞬間には口を大きく開けた巨人の脳天から爪先まで一直線の轟音と閃光が貫いていた。
これには一同たまげた。鬼というやつは雷を操るらしい。さすがにうなじを削げないから丸焦げにして足止めをさせる程度だが、それでも一瞬で奇行種の動きを止めたのだ。ただただ驚いた。そんな訳の分からん状況でも、真っ先に目をキラキラさせて感嘆の声を挙げたのは我らが奇行種のハンジだった。
滾っているハンジにエルヴィンは何やら耳打ちすると、ハンジはすぐさま馬で彼女に駆け寄りなにやら交渉し始めた。身振り手振り大きく説明し、それを女は宙に少し浮きながら手を両膝に乗せて中腰になりコクコクと頭を縦に振り真剣に聞いている。
なんだよ、人類を滅亡させにきた割には滅亡させる相手にめちゃくちゃ謙虚じゃねぇか…
そして数分後、話が纏まったのかハンジは嬉しそうに眼鏡を輝かせて両手で大きく丸を作りながら帰ってきた。
「待て待て待て待て。俺は聞いてねぇぞ。」
「だって今初めて言ったんだもん。こういうことだよねエルヴィン?我ながらナイスアイディアだと思うんだけど。」
「あぁ。でかしたぞハンジ。リヴァイ、後は頼んだ。」
「てめぇら…」
何がナイスアイディア、頼んだだ。結局俺が一番被害を被ってるじゃねぇか。
「あなたが人類の中で一番強い人間だそうね!絶っ対に捕まらないんだから!」
巨人が現れても邪魔をしないよう仲間が周りを見張る中で鬼という女は自信満々に俺に宣戦布告をする。
エルヴィンから「仲間に引き入れろ」と命令を受けたハンジの提案は簡単に言えば「鬼ごっこ」。人類最強の俺から逃げ切る事が出来れば我々人類は鬼に降伏する。しかし俺が勝てば、鬼は人類の下僕となり巨人を絶滅させることに協力する。捕まるという定義は、彼女の頭に遠慮がちに生えた2つの黄色い角。あれを俺が掴めばよいという。
人類はわりと数が多いから、滅亡させるのにも骨がおれる。ならば人類の一番強い者がすぐそこに居るので彼を人類代表として一度で決着をつけたらどうかといううまいのかうまくないのかよく分からない提案をしたらしい。ハンジのプレゼンがよかったのか彼女はそれを快諾し、今に至るというわけだ。
「いけー!リヴァイやっちまえー!」
「兵長!その女型の鬼に人類の底力みせてやりましょう!」
ここが壁の外と言うことを忘れたのかハンジや部下達は俺と鬼を丸く囲み黄色い声援を送ってくる。あいつらこいつが雷の使い手だと忘れてねぇか?流石の俺も雷に打たれれは即死。誰がどう考えたって部が悪過ぎると思うのだが…というより何で俺がこんなことに…人より強いからといってむやみやたらに重責を負わすのはやめてほしい。
「ふふ、こんな小さな人が人類の代表だなんて託す人類に同情しちゃうわ。」
「あ?」
ブーツの先で地面を撫でふわふわと浮きながら好戦的な眼差しを向けてくる鬼のその一言で、鼓膜の近くで俺のリミッターがカチリと外れる感覚がした。おもしれぇ、強気な女は嫌いじゃない。この女の泣き顔が見たくなった。
「では、準備はいいですか?」
人類最強と鬼。まさに夢のカード。
両者にそれぞれ目配せし、始まりの合図としてニファが耳元を押さえながら緑色の信煙弾を上げた。
煙弾が空高く上がるよりも先に飛んだのはもちろん俺だ。鬼が屋根の上に浮上するのを予測してアンカーを家屋の上の煙突に突き刺す。そして呑気に浮上してきた鬼の背後を一気にとった。
「きゃあっ!なんで居るのっ?!」
「なんでだろうな」
鬼の大きな瞳が俺をとらえている。近くで見ると鬼は中々悪くない顔をしていた。だが勝負事にそんなこと関係無い。ふわっふわの彼女の髪の間を俺の指は迷わず突き進んでいく。そして硬くて可愛らしい小さな角に指の腹が触れた。
これを掴めば勝負あった、調査兵団は結成以来成し得なかった大きな功績を引っ提げて帰還することとなる。が、鬼もあと一歩のところで意地をみせる。しなやかに身体をのけ反らし空中でバク転すると俺との距離をあっという間に取ってしまった。
「ちっ…あと一歩だったか」
外野はというと、俺の目にも止まらぬキレッキレッの跳び方に観衆と化した調査兵達はここが壁外というのを忘れ大いに盛り上がっている。
「兵長!今の跳び方痺れました!」
「兵長ー!がんばってー!」
「あと一歩です!」
オルオやペトラ、リヴァイ班の黄色い声援が鼓膜を震わす。壁内に娯楽が少ないため熱くなるのは分かるが、あいつら、ここが壁外ってのを完全に忘れてやがるな。
「ねぇ!飛べるなんて聞いてない!その腰につけた武器使うの反則よ!」
「あ?てめぇも飛んでんだろうが。おい、角を隠すんじゃねぇ、それこそ反則だろう」
鬼はまさか人間が自分と同じ場所まで飛べるとは思わなかったようで、警戒して両手で角を隠してしまった。そんなことされたら掴めるものも掴めない。雷に打たれる前にあの細っこい腕を削ぐか?いや、流石にそこまでしたくない。
「リヴァイ!彼女の着衣を狙うんだ!彼女に乙女心が存在するのならきっとポロリを防ごうと素っ裸の胸を両手で隠すだろうから角が狙える!」
「成る程」
下から戦況を見ていたハンジの機転の効いた(?)作戦に相づちを打つ。男としてやってはならない最低の事だとは頭で理解しているが、なぜだろう、とんでもなくワクワクしてきやがる。
「ちょっ、ちょっと!そんなえっちな作戦ダメに決まってるでしょ!ズルい!」
「あ?こっちは全人類の命かけてんだ。勝ち方なんぞにこだわってられるか」
「ダメなものはダメ!ここは未来のダーリンしか見ちゃいけない所なの!そんなことしたら怒るんだからね!」
「おま、そんな格好しといてなんだその鉄壁の貞操概念は…」
目尻や頬、四肢まで真っ赤にさせて腕で胸を隠した恥じらう鬼を見て、俺の捧げた心臓にドスドスドスとハート形の矢じりが容赦なく突き刺さる。勝ち気で破廉恥な見た目とのギャップ、まさかの清純さ。まだ勝負は決まっていないがリヴァイ心の中では完全に白旗が上がっていた。
「おい」
「な、何よ!」
「じゃあ俺がお前の未来のダーリンになれば俺は見てもいいのか」
「えっ?…それは…そう、なるけど…」
俺の真剣な表情を見て急に目の前の人間を意識したのか鬼は一旦は視線を反らすが、まんざらでもなさそうに上目遣いでチラチラとこちらを見つめてくる。なんだよそれ、めちゃくちゃ可愛いことしてくるじゃねぇか。
「で、でもここでは駄目!みんなが見てるもん!」
「安心しろ。俺の部屋で、二人きりの時にだ」
「ちょ、リヴァイ?!マジで?!」
「キャー!兵長ー!」
(ぜってー連れて帰る。)
興奮したメガネやら外野がうるさい中、まさか人間の男から熱烈にプロポーズされてしまうなんてと感極まって屋根の上に立ち尽くす鬼のすぐ側の鐘塔にアンカーの狙いを定める。そして俺は屋根を蹴り、決意と人類の命運がかかったトリガーの引き金を勢いよく引いた。
続く?
「おいエルヴィン、なんだありゃあ…」
「ふむ、一つ言い切れるのは巨人ではないということかな。」
あのエルヴィンでさえも顎に手を添え首をかしげて理解に苦しんでいる。困惑する俺たちを無視し、女は布地と同じ柄のロングブーツで軽やかにオレンジ屋根の上に降り立つと、こちらに勢いよく指をさしこれから人類を滅亡させて「ちきゅう」を征服すると声高らかに宣言した。
「今なんつったあいつ…?」
「ちょ、ちょっといいかなー!貴女の目的は分かったんだけど、その前に貴女は一体何者なのさー!」
ハンジが屋根の上の女に声が届くように口許に手を添えて叫ぶ。変なツボで滾らなければハンジは結構冷静で頼れる奴なのだ。
「え?私の事?」
「そうそう君の事!」
「私は鬼よ!」
「は?」「あ?」
「だから鬼よ!見て分からないの?!」
「おに…?文献でも聞いたことがないな。」
「鬼」という概念を知らない俺達が驚かない様子が気に入らなかったのか、自称鬼だという女は自分は宇宙一強くて怖い種族なんだと捲し立てる。本当に内臓がそこに入っているのか疑わしくなるほどの細く括れたウエストに両手を添えてぷりぷり説明しだした。
勝手に説明するのはいいが、ここは自由と地獄の成れの果て壁外。人間のように華奢でか細い鬼よりもここには巨人という馬鹿でかくて凶暴な奴らがわんさか居るのだ。いつ巨人が現れるか分からない状況で得体の知れない鬼の小娘を相手にするほど暇じゃない。
「どうするエルヴィン?放っておくか?」
「そうだな…遭遇したからには何か情報を得たいところなんだが…はたして会話は成立するのだろうか?」
「悠長なことは言ってられないぞ。一体、近づいて来ている。」
そうこうしているうちに、ミケが鼻を利かせ「後方からだ。」と後ろの地平線に鋭く眼光を光らせた。それと同時に後方の仲間から信煙弾が上がる。絵に書いたようなバッドタイミング、信煙弾の色は青空に一番映える黒だった。
「チッこんなとこでもたついてやがるから…俺が行く。お前らはここで…あ゛ぁ?!」
「こらー!あなた私の邪魔をしないでよ!」
あろうことか女はこちらに気持ち悪くスキップしてくる奇行種が自分の話の腰を折ったと立腹し、奇行種めがけて向かっていく。絶対絶命。鬼がなんだか知らないが、姿形はうら若き女。また一人、か弱い命が巨人の餌食になると誰もがそう思った。が、次の瞬間には口を大きく開けた巨人の脳天から爪先まで一直線の轟音と閃光が貫いていた。
これには一同たまげた。鬼というやつは雷を操るらしい。さすがにうなじを削げないから丸焦げにして足止めをさせる程度だが、それでも一瞬で奇行種の動きを止めたのだ。ただただ驚いた。そんな訳の分からん状況でも、真っ先に目をキラキラさせて感嘆の声を挙げたのは我らが奇行種のハンジだった。
滾っているハンジにエルヴィンは何やら耳打ちすると、ハンジはすぐさま馬で彼女に駆け寄りなにやら交渉し始めた。身振り手振り大きく説明し、それを女は宙に少し浮きながら手を両膝に乗せて中腰になりコクコクと頭を縦に振り真剣に聞いている。
なんだよ、人類を滅亡させにきた割には滅亡させる相手にめちゃくちゃ謙虚じゃねぇか…
そして数分後、話が纏まったのかハンジは嬉しそうに眼鏡を輝かせて両手で大きく丸を作りながら帰ってきた。
「待て待て待て待て。俺は聞いてねぇぞ。」
「だって今初めて言ったんだもん。こういうことだよねエルヴィン?我ながらナイスアイディアだと思うんだけど。」
「あぁ。でかしたぞハンジ。リヴァイ、後は頼んだ。」
「てめぇら…」
何がナイスアイディア、頼んだだ。結局俺が一番被害を被ってるじゃねぇか。
「あなたが人類の中で一番強い人間だそうね!絶っ対に捕まらないんだから!」
巨人が現れても邪魔をしないよう仲間が周りを見張る中で鬼という女は自信満々に俺に宣戦布告をする。
エルヴィンから「仲間に引き入れろ」と命令を受けたハンジの提案は簡単に言えば「鬼ごっこ」。人類最強の俺から逃げ切る事が出来れば我々人類は鬼に降伏する。しかし俺が勝てば、鬼は人類の下僕となり巨人を絶滅させることに協力する。捕まるという定義は、彼女の頭に遠慮がちに生えた2つの黄色い角。あれを俺が掴めばよいという。
人類はわりと数が多いから、滅亡させるのにも骨がおれる。ならば人類の一番強い者がすぐそこに居るので彼を人類代表として一度で決着をつけたらどうかといううまいのかうまくないのかよく分からない提案をしたらしい。ハンジのプレゼンがよかったのか彼女はそれを快諾し、今に至るというわけだ。
「いけー!リヴァイやっちまえー!」
「兵長!その女型の鬼に人類の底力みせてやりましょう!」
ここが壁の外と言うことを忘れたのかハンジや部下達は俺と鬼を丸く囲み黄色い声援を送ってくる。あいつらこいつが雷の使い手だと忘れてねぇか?流石の俺も雷に打たれれは即死。誰がどう考えたって部が悪過ぎると思うのだが…というより何で俺がこんなことに…人より強いからといってむやみやたらに重責を負わすのはやめてほしい。
「ふふ、こんな小さな人が人類の代表だなんて託す人類に同情しちゃうわ。」
「あ?」
ブーツの先で地面を撫でふわふわと浮きながら好戦的な眼差しを向けてくる鬼のその一言で、鼓膜の近くで俺のリミッターがカチリと外れる感覚がした。おもしれぇ、強気な女は嫌いじゃない。この女の泣き顔が見たくなった。
「では、準備はいいですか?」
人類最強と鬼。まさに夢のカード。
両者にそれぞれ目配せし、始まりの合図としてニファが耳元を押さえながら緑色の信煙弾を上げた。
煙弾が空高く上がるよりも先に飛んだのはもちろん俺だ。鬼が屋根の上に浮上するのを予測してアンカーを家屋の上の煙突に突き刺す。そして呑気に浮上してきた鬼の背後を一気にとった。
「きゃあっ!なんで居るのっ?!」
「なんでだろうな」
鬼の大きな瞳が俺をとらえている。近くで見ると鬼は中々悪くない顔をしていた。だが勝負事にそんなこと関係無い。ふわっふわの彼女の髪の間を俺の指は迷わず突き進んでいく。そして硬くて可愛らしい小さな角に指の腹が触れた。
これを掴めば勝負あった、調査兵団は結成以来成し得なかった大きな功績を引っ提げて帰還することとなる。が、鬼もあと一歩のところで意地をみせる。しなやかに身体をのけ反らし空中でバク転すると俺との距離をあっという間に取ってしまった。
「ちっ…あと一歩だったか」
外野はというと、俺の目にも止まらぬキレッキレッの跳び方に観衆と化した調査兵達はここが壁外というのを忘れ大いに盛り上がっている。
「兵長!今の跳び方痺れました!」
「兵長ー!がんばってー!」
「あと一歩です!」
オルオやペトラ、リヴァイ班の黄色い声援が鼓膜を震わす。壁内に娯楽が少ないため熱くなるのは分かるが、あいつら、ここが壁外ってのを完全に忘れてやがるな。
「ねぇ!飛べるなんて聞いてない!その腰につけた武器使うの反則よ!」
「あ?てめぇも飛んでんだろうが。おい、角を隠すんじゃねぇ、それこそ反則だろう」
鬼はまさか人間が自分と同じ場所まで飛べるとは思わなかったようで、警戒して両手で角を隠してしまった。そんなことされたら掴めるものも掴めない。雷に打たれる前にあの細っこい腕を削ぐか?いや、流石にそこまでしたくない。
「リヴァイ!彼女の着衣を狙うんだ!彼女に乙女心が存在するのならきっとポロリを防ごうと素っ裸の胸を両手で隠すだろうから角が狙える!」
「成る程」
下から戦況を見ていたハンジの機転の効いた(?)作戦に相づちを打つ。男としてやってはならない最低の事だとは頭で理解しているが、なぜだろう、とんでもなくワクワクしてきやがる。
「ちょっ、ちょっと!そんなえっちな作戦ダメに決まってるでしょ!ズルい!」
「あ?こっちは全人類の命かけてんだ。勝ち方なんぞにこだわってられるか」
「ダメなものはダメ!ここは未来のダーリンしか見ちゃいけない所なの!そんなことしたら怒るんだからね!」
「おま、そんな格好しといてなんだその鉄壁の貞操概念は…」
目尻や頬、四肢まで真っ赤にさせて腕で胸を隠した恥じらう鬼を見て、俺の捧げた心臓にドスドスドスとハート形の矢じりが容赦なく突き刺さる。勝ち気で破廉恥な見た目とのギャップ、まさかの清純さ。まだ勝負は決まっていないがリヴァイ心の中では完全に白旗が上がっていた。
「おい」
「な、何よ!」
「じゃあ俺がお前の未来のダーリンになれば俺は見てもいいのか」
「えっ?…それは…そう、なるけど…」
俺の真剣な表情を見て急に目の前の人間を意識したのか鬼は一旦は視線を反らすが、まんざらでもなさそうに上目遣いでチラチラとこちらを見つめてくる。なんだよそれ、めちゃくちゃ可愛いことしてくるじゃねぇか。
「で、でもここでは駄目!みんなが見てるもん!」
「安心しろ。俺の部屋で、二人きりの時にだ」
「ちょ、リヴァイ?!マジで?!」
「キャー!兵長ー!」
(ぜってー連れて帰る。)
興奮したメガネやら外野がうるさい中、まさか人間の男から熱烈にプロポーズされてしまうなんてと感極まって屋根の上に立ち尽くす鬼のすぐ側の鐘塔にアンカーの狙いを定める。そして俺は屋根を蹴り、決意と人類の命運がかかったトリガーの引き金を勢いよく引いた。
続く?