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リヴァイ・アッカーマン。大手ゼネコン、やり手の営業職。この聖なる夜に、意を決して恋人に告げたい事があった。
「おめでとうリヴァイ」
聖夜に相応しい美しい音色のような声の持ち主こと、彼女がリヴァイの恋人だ。
ピクシス社長が見目もさることながら仕事ぶりも一目見て気に入り、ライバル会社から引き抜いて来たのだ。
彼女がリヴァイの会社に入社してきた当時、誰もが高嶺の花だともてはやしリヴァイもすぐに彼女に夢中になった。だが当時の彼女には職場に残してきた恋人が居り、それはもう束縛の激しいクソ野郎だったらしく彼女はそういう事情もあって働く場を変えたかったのかもしれない。暫くすると彼女は男と別れ、それを予期していたリヴァイはチャンスを見逃さなかった。
リヴァイは傷ついた彼女を慰める体を装いうまく近づいて、着実に彼女と深い仲になっていった。随分と姑息な手段だったと思うが、なんと言われようが関係ない。欲しいものはどんな手を使っても必ず出に入れる。それがリヴァイの流儀なのだから。
ただ一つ計算違いだったことがあった。それは彼女は見かけによらず随分と初心だったことだ。何かにつけ頬を紅らめ敬意のこもった眼差しを向けてくる彼女にリヴァイはこれは慎重にいかなければならないと思った。束縛なんてもっての外。経済的にも精神的にも自立した完璧な男となり、紳士に徹して絶対にボロは出してはならないと…今思うと、このストイックな考えが良くなかったのかもしれない。
「ちょっと話があるんだがいいか?」
「え?うん…」
彼女お手製の豪華なクリスマスディナーを堪能し、テーブルを拭き二人分の紅茶をいつものように用意したリヴァイは、食器を一通り洗い終わった彼女を再びダイニングテーブルに呼んだ。いつもならリビングのソファーで二人でテレビても観ながらゆっくり紅茶を飲むのだが、今日は食事をするときのようにきっちりと対面だ。
普段こんな畏まって飲まないため、彼女は不思議そうに椅子に腰掛けた。
「どうかしたの?」
「いや…」
「プレゼント、気に入らなかった?」
誕生日兼クリスマスプレゼントとしてさっき貰ったハイブランドのネクタイとネクタイピンのセットはリヴァイの好みの的を射た完璧なプレゼントで勿論とても気に入った。問題はプレゼントではない。ずっと燻り続けてきたある事だ。
「別に大したことじゃねぇんだが…いや、まぁそれなりに大した事か。少し言いにくいんだが…」
「ちょっと待って。嘘でしょ…こんな日に…私達うまくいってたと思ってたのに…」
「待て待て待て待て、違うんだ」
まさか恋人達の一大イベントに別れ話を切り出されるのかと思った彼女は顔面蒼白で涙目になってしまい、それをリヴァイは全力で否定する。別れ話なんて絶対ない。仮に別れたいと言われても地獄の果て迄追いかけていく位自分は結構執念深い。
「じゃあ何?やっぱり早く言って、心臓が持たないわ…」
吉か凶か、彼女は宙ぶらりんなこの状態に耐えかねて早く言って欲しいとリヴァイを急かした。
「あのな…寝室の事なんたが…」
「うん…」
「一緒に…したいんだ」
「どういう事?」
「だから、一緒のベッドで寝てぇんだ」
もっと重たい内容の話をされるのかと身構えていた彼女は顔面蒼白から一転、拍子抜けしてポカンと口を開けてしまっている。あぁ、そんな間抜けな表情でも心底彼女は美人で可愛くて最高の女だと思った。
「え、ちょっと待って、、まず話の整理をしていい…?最初にリヴァイが寝室別々にしようって言ったんじゃなかった?お互いプライベートは大切だし、仕事の疲れを取るためにって…」
「あぁ、確かに俺は同棲する時にそう言った。それはお前に格好つけてそう言ったんだ。前の男が独占欲の塊で束縛酷かったって言ってたから俺は正反対の男を演じようとした。だがな、思った以上に寂しすぎて寝付きも悪いし毎晩死にそうに辛い」
「そ、そうなんだ…だから朝隈が酷いのね。」
彼女は一旦落ち着こうと紅茶を飲むがテーブルの端から端まで目が泳いでしまっている。いつも外で手も繋がないクールで頼りがいのあるリヴァイの口から出た言葉にかなり動揺しているようだ。
「こんなくっつき虫みてぇなダセェ俺は嫌か」
「ま、まさか!リヴァイがそんなふうに思ってたなんて普段のイメージと違いすぎてびっくりしちゃって…あの、正直私もね、寝室を別でって言われた時ショックだったの。そっちの部屋に行きたいなって思っても、押しかけて嫌われちゃったらどうしようって思ったり…だから、今すごく嬉しい。」
彼女もずっとさみしいと思っていたらしく、カップを両手で包みながらはにかむ笑顔を見せた。あぁ、こういう所がいちいち可愛くて仕方がないのだ。ならもう遠慮なくいこう。
「もう一ついいか?」
「なに?」
「毎日とは言わねぇから、一緒に風呂も入りてぇ」
「ぶっ!」
「大丈夫か?」
衝撃の提案に顔を真っ赤にさせてむせた彼女を心配しつつ、今度こそドン引きされたかと腹をくくったリヴァイだったが、クスクスと軽やかな笑い声があたりを包んだ。
「そんな風に思ってたんだ。」
「今度こそ引いたか?」
「ううん。少し恥ずかしいけど…私もそういう事したいな。恋人らしいこと。」
ツウっとカップの縁を指で撫でながら彼女は上目遣いでリヴァイを見つめる。
「ちなみにそれって今日から?」
「当然だ」
二人は熱い視線を絡ませあって立ち上がると寄り添い合いながらバスルームへ消えていった。その翌年、やり手のリヴァイ課長の営業成績は飛ぶ鳥を落とす勢いでさらに飛躍したのだった。
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