Fire番外編
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ピロリロリロ〜
「らっしゃ~せ~」
みなさんこんばんは。
俺は大手チェーンのコンビニ店員。ここで突然ですが簡単に自己紹介を。
顔のスペックは中の中。いや、見る奴が見たら中の上。男子校だった高校時代は鉄道研究部に所属。全国各地の電車を追いかけ青春を過ごした。大学に入ってから大学デビューを果たしたが、いまいち乗り切れず四年間過ごす。今年で22歳。彼女いない歴22年。言わなくても分かると思うが童貞歴22年のこじらせ野郎だ。自己紹介はこんなところで。
そんな俺は奥手で超シャイな性格を克服するために半年前からコンビニでバイトをし始めた。バイトを始めて接客には随分と慣れたがシャイな性格は未だ健在で、女の子に声をかけることすら出来ないでいる。
そんな俺の唯一の楽しみ。
それは、バイト中に好みの女の子を見つけては夜な夜なオカズにする事だ。
何をかくそう俺の妄想力には定評がある。
何?キモいって?
一つだけ言っておく。
妄想は、「自由」だ。
ピロリロリロ~♪
「らっしゃ~…せえぇえいっ!!!!」
「わっ」
俺の渾身の「いらっしゃいませ」に来店した女の子が小さく声をあげて驚いた。
だが、俺と目が合った瞬間ニコリと(愛想笑いで)女神のような微笑みを返してくれた。
キタ━(゚∀゚)━!
おにぎりを品出ししていてチャイムに振り返った俺は心の中でガッツポーズをきめる。興奮しすぎて危うくツナマヨを握り潰しそうになった。
(可愛い!超どストライクだ!!今まで見てきた女の子の中でトップ3には入るんじゃないか?!しかもさっき俺に笑いかけてくれた?彼女きっと性格もいい!はっ!まさか?!真面目におにぎりの品出ししてた俺に気がある?!嘘だろ?!連絡先渡すか?ずっとポケットに入れ続けて半年たった俺の最後の切り札を?!ま、まてっ!早まるな!落ち着け!まだ身体の相性が良いか分からない←
とにかく今日のズリネタは彼女で決まりだ!!!)
そんな事を思われているとは露知らず、意中の彼女はおにぎりコーナーには来ず、真っ先にお菓子が陳列されている棚の通路に入っていった。
お菓子好きか?まぁ大体の女子は甘いのとか好きだからな。おにぎりが負けても仕方がない。
俺もおにぎりの品だしを途中でほっぽりだして素早く彼女の跡を着いていく。
何?キモいって?
馬鹿言え、お菓子の品だしもあるんだよ。
意中の彼女はチョコレートが陳列されている棚の前で足を止めていた。無意識なのか柔らかそうな唇に指を添えていてその姿に危うく悶絶しそうになる。
そしてよく見るとめちゃくちゃスタイルがいい。胸は平均的だが、キュッと引き締まったウエストと上向きの形のいいお尻に血走った目が釘付けになる。
そう、何を隠そう俺は電車の次にアイドル好き。国内アイドルよりも○-POPアイドル推しなのだ。
秋らしいアイボリーのハイネックニットにぴったりめのスカート。しかもニットはなんとノースリーブだ。
彼女は分かっている。男心を。
(エロい!この子は清楚な顔してエロいぞおおーーー!!)
次の瞬間、彼女が商品をよく見るために膝に手をあてて前のめりになった。ノースリーブニットから脇がチラリと見えそうになる。
(脇!脇が見たい!今夜は彼女の脇を夜通し舐め回したいぃい!!!)
俺の妄想が爆発し、興奮のあまり股間も熱を持ち始める。いかんいかん、まだ退勤まで何時間もあるんだ。
そんなことを考えつつも、体は臨機応変に反応し彼女のすぐ斜め後ろに移動して反対の棚のスナック菓子を品出している体を装う。
ここが脇チラベストポジションだ。しかも突き出されたお尻も遠近法でバッチリ撮れる。俺の愛用のカメラがあれば最高のズリネタ写真が撮れたのに…こういう時に撮り鉄だった経験が生かされる。
は?キモいって?
馬鹿言え、ポテツの品出ししてんだよ。
あとは彼女が買う商品を決めて、手を伸ばすだけだ。その瞬間を刻一刻と俺の肉眼カメラが待つ。
(さぁ、いつでも来い!魅惑の脇チラ!俺の今夜のオカズ!!)
彼女がスローモーションで手を伸ばそうとした、その時だった。
「ルリ」
「リヴァイさん!」
(男連れかよぉおおおお!!)
突然「リヴァイさん」と呼ばれた目付きの悪い小柄な男が現れたのだ。そして彼女(ルリちゃんと言うらしい。可愛い名前だ。)は名前を呼ばれ、膝に手をあてて身を屈めていた姿勢を辞めてしまった。
「チッ(くそっ!俺のベストショットが!)」
「あ?」
「っしゃ~せ~」
突然のライバル出現に(脳内ではすでに彼女と俺は付き合っている)思わず舌打ちが出てしまい、男が不思議そうにこちらを見た。慌てて商品を弄っているフリをする。危ない危ない、これでもお客様ファーストなのだ。
「リヴァイさん見てください!メルティー○ッスの新作でフルーティーオレンジ味が出てますよ!紅茶と合いそうだと思いません?」
「ほぅ、アールグレイと合いそうだな」
「定番のいちご味にしようか迷っちゃって~リヴァイさんだったらやっぱりオレンジですよね?」
どうやら彼女が長い間悩んでいたのは2種類の味のチョコをどちらに買うか決めかねていたからのようだ。確かにメルティーキッ○は雪のような口溶けで旨い。キスしながら一つのチョコを溶かし合うのもまた冬の一興…うっ、また股間が…
「俺に構わず好きな方を選べばいい」
「どうしよっかなぁ〜、どっちも美味しそ〜」
ルリちゃんはそう言うと、また膝に手をあてて屈もうとする。
よしっ!今度こそ魅惑の脇チラが俺のすぐそこまでっ…
と思った次の瞬間、あろうことかリヴァイという男は自分のジャケットをルリちゃんの肩にかけやがったのだ。
「こんな格好じゃ風邪引くぞ。車から降りた時寒かっただろ」
「あ、はい実は。。でもすぐに戻るからいいかなって…すみません、リヴァイさん車の中で待っててくれてもよかったのに…」
「俺も買う物があったからついでだ」
「ありがとうございます。」
どうやら話を聞いていると、ルリちゃんがデート帰りの車内でこれから向かうリヴァイとかいうチビの家でチョコが食べたいと言い出したらしく(可愛らしい提案だ)このコンビニに立ち寄ったらしい。チビが後から来たのは寒そうな彼女に自分のジャケットを貸すためのようだ。
(何してくれてんだよクソチビィィィイ!余計な事するから彼女の脇チラが幻のお蔵入りになっちまったじゃねぇか!!)
黒のジャケットを肩から被せられた彼女の脇とお尻は完全にガードされてしまった。弱小生物である童貞の貴重なオカズまで容赦なく詐取するとは…世界は弱肉強食。時に、残酷だ…
当のルリちゃんはジャケットを肩にかけられて何だか嬉しそうにしている。頬がほんのりピンク色だ。彼の匂いに包まれて抱きしめられたような安心感に浸っているのだろうか?
(クソッ!無駄にかわいい!本来(妄想の中)ならば俺にその顔は向けられるはずだったのに!)
言っとくが、俺の妄想力に右に出るものはいない。
「俺は隣の棚見てるから早く決めろよ。変な虫が付かねぇ内に」
「え?虫?」
悔しくて血走った目で何とかジャケットを透視できないか彼女をガン見していたら、鋭い目付きをしたチビに睨まれた。
(ヤベッ)
チビのくせにカンは鋭いようだ。だが俺はこのままでは終わらない。
なんてったって俺の妄想力と行動力には定評が(以下略)。
俺はとうとう制服の胸ポケットに半年間入れっぱなしにしていた最後の切り札に震える手を伸ばす。隠されると見たくなる!それが男の性なのだ!
(今こそ、これを渡す時だ!)
こんなかわいい子に会えるなんて滅多にない。彼氏がいようがいまいが関係ない、好きという気持ちが大切!それにどうしても彼女の脇が見たい!
俺の気持ちはどんどん盛り上がる。
それはまるで鉄道オタク達の原点、往年の蒸気機関車D51(デゴイチ)の真冬の峠越えのように!
要はその気にさせて寝とってしまえばよいのだ!そう、今流行りの(?)NTRだ!!
俺はまだ童貞で実践はない。だがア○ルトビデオで何度もイメトレをした。若さと引き出しの多さだけは誰にも負けない。それにあの目付きの悪いチビより絶対に俺のナニの方が大きいはず!俺のフレッシュマグナムでルリちゃんを必ず寝とってみせる!!
思い立ったら即実行!直ぐ様俺は声をかけた。
「すすすっ!すみましぇえんっ!!」
「え?」
「あっ、その、ぽっ」
「ぽ?」
(しまった!緊張しすぎて汽笛のような声を出してしまった!しかも勢いで話しかけたはいいが何から話せばいいんだ?!落ち着け!渡すだけだ!連絡先を書いた紙を渡せっ!!)
「すみません、邪魔でした?」
屈んだ体勢のまま振り返ったルリちゃんは(上目遣いが絶望的に可愛かった)俺がチョコレートの棚の品出しをすると思ったらしく、一歩譲ってくれた。なんて親切で優しいんだ!酔っ払ったウザイ客が多い中、その姿はまるで女神!
流石俺の嫁!!
「あ、えと、違くて、その…渡したいものが、ありまして、、…」
「渡したいもの?」
行け!俺!
寝取れ!俺!
脱童貞!
おめでとーう!
「おい、会計」
「っ!?少々お待ち下さいっ!」
突然響いたチビのドスの効いた「会計」という低音。極限の緊張状態だった俺はまるで引っ張りあげられた操り人形のように身体を硬直させ、そそくさとレジへ戻った。
絶好のチャンスだったのに!何やってんだ俺は!!
「ルリ、早く持って来い」
「は~い」
「129円が一点…298円が一点…」
俺はチビが持ってきたカゴに入った商品のバーコードを読み取っていく。
500mlのミネラルウォーターやプレミアム使用の三枚入りの食パン…これどう考えてもお泊まりして翌朝に食べる奴だろ!破廉恥な!けしからん!お前らけしからんぞっ!
「んぽぉっ???!!!」
「あ?」
悶々としながらも順調に商品のバーコードを読み取っていた俺は衝撃のあまり後ずさる。
カゴの中に残っていた最後の商品…
四角い薄型の長方形でビニールにキレイにパッキングされた三個しか入ってないのに値段が馬鹿高すぎて滅多に売れない伝説の…
(安心安全のmade in japan!世界最薄0.01ブラックパッケージだとーーー??!!!)
「んな、んななっ、」
「何だ?」
「い、いえっ!1000円が一点っ!」
こんなえげつないコンドームをつけて天使のようなルリちゃんとこれからヤろうってか?!0.01なんてしてないのと同じようなもんじゃないか!最早0.00!(←童貞の間違った知識)
この男、全くもって破廉恥すぎる!きっと自分勝手なオラオラ系セックスしてんだろ!
くそぉ!俺は羨ましくなんかねぇぞ!!
真っ赤な顔をして茹でダコ状態の俺とは対照的に男は我関せず涼しい顔をしている。
余裕なのが余計にムカつくが、仮に俺があの0.01ミリのコンドームをつけてヤったとしてもおそらく0.01秒しか持たないだろう。女の子の前ではかっこつけたいし、保険をかけて童貞にはせめて0.03ミリは欲しい。
「リヴァイさ~ん!決まりました~!」
「っ?!!」
なんということか、このタイミングでルリちゃんがチョコを持ってレジに駆け寄ってきた。
(まずいっ!早くこのえげつないコンドームをレジ袋の中に隠さないと!!)
うら若き乙女にこういうものは見せてはならないものだと童貞の俺でもわかる。モラルの問題だ。
(早く!早くプレミアム食パンとミネラルウォーターの間に入れるんだ!)
レジ袋の外からそういうものが透けてしまわないように配慮しろと店長には口酸っぱく教わった。クソ真面目な俺は必死にマニュアルを死守する。
しかし焦ったのが良くなかった。次の瞬間手元が狂い黒い箱は俺の手から宙を舞ってスローモーションでレジカウンターに落ちていく…
「迷ったんですけどやっぱリヴァイさんと紅茶美味しく飲みたいなって新作のフレッシュオレンジに…」
(あ゛ぁーーーーーー!!!!)
笑顔で駆け寄ってきた彼女の瞳がカウンターに見事に表面を向けてポトリと落ちた箱に釘付けになった。
そして理解するまで少々時間を要し3.5秒後、ボムッとそりゃもう絵に描いたように顔が真っ赤になった。
「これも頼む」
「は、はい…298円が一点…合計で1984円でございます…、、」
三人の中で男だけが表情を変えず平常心だ。ここまで潔く正々堂々とされると男からみてもちょっと格好良く思えてくる。
「どうした?」
「……どうしたって…だって…その……」
ルリちゃんの声はどんどん尻すぼみに。下を向いてモジモジとしながらチラリと男の顔を伺っている。その恥ずかしそうな表情に俺の眠れる股間がざわつき出す。
女の子が一番輝くのは天使のような笑顔だとこの前ネットニュースに載ってたが、こういう羞恥に満ちた表情も加虐心をそそられていい。う゛っ…また俺の眠れるマグナムが発射準備を始め(以下略)
「今あるのが無くなりそうだったから、ついでに買っただけだ」
「そうなんですか…」
男はそう言うとルリちゃんの真っ赤な耳をするりと撫でて、うつ向いたせいで前の方に落ちてきてしまった長い髪を耳にかけた。現れたルリちゃんの顔は熟れた桃のようにキレイに染まって、目が潤んでしまっていた。
(ぽっ、ぽれてまうやろーーーー!!!)
全国の女子に言いたい。女の子のこの顔は男に絶対に見せてはいけない。大抵の男の理性がぶっ飛ぶ。
男はというと、あまり表情は変わっていないが目を細め面白そうに口角を上げていた。そこで俺はとんでもない事に気が付ついた。
(この男、わざとやっている!)
わなわなとその巧妙な手口にハンディのバーコードリーダーが震える。
お前さっきジャケット肩にかけてた優しさどこやった?!ドSすぎだろ!
いや、これぞ女を落とす緩急つけたテクニックか!甘辛ミックスコーデ!
結婚詐欺師と同じじゃねぇか!
だが正直俺はこういう男に憧れていた!
いよっ!男の中の男!
童貞のくせしておこがましくNTRなんて計画してごめんなさい!
師匠、一生付いていきます!
俺の中で(彼女ができる前に)何かが開花する。
もう乱れ咲き!
だが同時にふと思う。
加虐が過ぎてちょっとルリちゃんが可哀想な気もしてきた。まだまだ俺が甘っちょろいのはわかっているが、俺が彼氏ならもうちょっとマイルドな感じに攻め立てて二人で楽しくNN(にゃんにゃん)したい。
そんな事を思っていたら師匠(リヴァイ)はトドメにルリちゃんの腰を自分の方に引き寄せると、耳に顔を近づけてこちらにもかろうじて聞こえるくらいの声で呟いた。
「いつものやつより薄いのにしといた。今夜楽しみだな」
「………(コク…)」
(あかーん!この子、めっちゃ調教されてるーー!)
ルリちゃんが小さく頷き、潤んだ瞳が物欲しそうに揺れたのを俺は見逃さなかった。清廉そうな女の子にこんなエッチな一面があるなんて!ぬぉーけしからんっ!けしからんが今ので5回はヌける!
「おっといけねぇ、買い忘れた物があった。先に車に戻っててくれ。すぐに行く」
「はい」
男は白々しく呟くと、車のキーをルリちゃんに渡し両頬に手を添えて恍惚とした表情の彼女の背中に手を添えて先に車に行くように促した。
あぁ、彼女が行ってしまう…偶然立ち寄っただけみたいなのでもう会えないのだろうが誠に良いものを見せてもらった…最後の後ろ姿まで(特に美しいおみあしを)俺の肉眼カメラに永久保存して…
「おい、人の女をジロジロ見てんじゃねぇ」
「んぽっ?!」
ほよほよハートを飛ばしながら歩く彼女の背中を見送っていたら、正面から眉間に深く皺を刻み鬼のような形相の男がこちらを見ていた。
「てめぇ、さっきあいつに何か渡そうとしただろ」
「ししし、してましぇっ」
「しらばっくれんな、出せ」
射殺されそうな鋭い目と893のような先程よりドスの効いた重厚な低音に本当にチビりそうになる。
まさかこの人そっち系の人?
俺は直ぐ様胸ポケットから震える手でメモを取り出す。命は大切にしたい。男はそれを引ったくるようにして奪い広げた。
最初は名前とLINEのIDしか書かれていなかったが、もっとアピールが必要かと思いどんどん書き足していった結果、俺の履歴書のようになったメモ。
「チッ…気持ち悪ぃな」
「すみませ、、」
「もうこの店には二度と来ねぇが、お前の名前と顔は覚えた。あいつに付きまといでもしやがったらただじゃおかねぇ」
「ひっ」
男はそう言うとびりびりに俺のメモを破り捨てて店を出ていった。カウンターに置き去りにされたびりびりになってしまった俺のメモ…それはまるで俺自身を表しているようだった。
ツゥー
「あ、鼻血…」
突如流れた赤いもの…今夜のシフトは俺には色々と刺激が強すぎたようだ。
ここで突然ですが、童貞店員心の俳句
~秋の夜に メルティーキッスは 鉄の味~
お後が宜しいようで
完