イノセント・フラッグ
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「ここ、どこ……?」
目が覚めて辺りを見渡す。どこを見渡しても地平線のわからない、空と海が一体になった景色。あれれー……おっかしいなぁ……私、さっきまで学校に向かってなかったっけ……?何て首を傾げた瞬間、後ろから声をかけられて肩を揺らした。
「ここは君の精神世界だよ」
「!吃、驚した……へ?精神?」
「そう」
声のした方を向いても誰もいない。んん?と又も首を傾げれば今度はクスクスと笑う声が反響する。
「僕を探しても見つけられないよ」
「どこにいるの?」
「さあ、どこだろうねっ」
楽しそうに笑う声の主に少し呆れつつ、…で、ご用件は?と聞けば、つまんなーい。と返された。
「…」
「まあ、いいや。あのね、やっと君が色々と思い出してくれたから、そのお礼に」
「お礼…?」
そう!と元気に発せられた言葉と一緒にふわり。と優しい風が頬を掠めた。それに意識を持っていかれ、吹き抜ける風を眺めていれば、君の個性、チートだね!何て聞こえたのにギギギ……と錆びたネジみたいに首が動く。
「風に水に光に……ああ、あと炎とか色々使えるよ」
「え、ちょ、待って!?あれ、やっぱり私の個性なの!?」
「そうだよ?」
僕が与えたんだ!顔が見えたら今頃、えっへん!とドヤ顔してるであろう声の主に思わず拳を握る。
「何で!?くれるのであれば1つにしてくれればよかったのに!」
そんなに要らんわ!と怒れば、ええーだってさ、と言葉を続ける。
「君が作ったんじゃないか」
「へ……?」
「覚えてる?ほら、君がハマってた魔法世界の漫画で、昔よくこんな魔法があればなぁ…何て創造してたじゃん」
「え……嘘、ちょっと待って……」
その話は昔、前世の私が学生の時に連載していた作品で。妖精の尻尾なんてファンシーなギルドに入って主人公たちと一緒に旅するんだ!何て想像してた時期に作っていたオリジナルでチートな魔法。精神世界にも関わらず、タラタラと流れ出る汗とひきつる私の顔を見たのか、ふふんっと楽しそうに笑う声の主は言葉を続ける。
「ほら、燃えてきたでしょ?」
「アウトー!!!それはアウトー!!!!!」
叫びと同時に頭を抱えて膝から崩れ落ちる。ああもう最悪……。何でこんな事になってるの……あ……何か視界がぼやけてきた……。
ううっ…と今にも泣きそうな私にどうしたの?何て純粋そうに聞く声の主に何かもう怒りを通り越してしまいどうでもよくなっていて。それでも一つだけ、どうしても聞きたい事があって弱々しく口を開く。
「…ねえ」
「ん?」
「私は…そんなチートな個性もらっても、雄英には行かないよ?」
「それは無理だよ」
私の声を食う勢いで一刀両断された。そして終いには、君もきっと、誰かのヒーローだから!何て訳分かんない事言い始めるし。
「君がこっちに来た理由は色々あるけれど、先ずは沢山たくさーん、関わりを持ってもらわなくちゃだからね!」
「う、うぇええ……」
「だからほら!負けないで!プルスウルトラ!だよ!」
「何かもう色々と雑だね!?飽きたの!?」
「少し」
「正直だね!?!?」
ああー!もう嫌だぁ…!!!両手で顔を多いながら泣けば、遮った視界の端から溢れる光にハタ、と泣くのをやめる。
「…そろそろ起きる時間だ」
「待って!?何も解決してないよ!?」
「それじゃあ、これから先を、楽しんで!」
「話聞かないね!?聞いてよ!!……あ!ちょ、」
最後にもう一度、プルスウルトラー!と言った声を遠くに感じながら、少しずつ感じる薬品の匂いに顔を顰めた。
03
(こ、こは……?)
(目覚めたかい?)
(!!)
20190630