イノセント・フラッグ
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ーーーーーーその日は至って代わり映えのない、何時もと変わらない日常だと思ってたんだ
何時も通り家を出て学校へ行って。授業を受けてお昼には友達とあの先生が…とか何時も通りの会話をして。放課後になって部活の子、帰宅する子、それぞれの時間へと向かう為にまた明日ねって手を振って別れて。
家に帰って宿題をやって家事をして。そうしてお風呂に入って布団に潜って、そうしてまた代わり映えのない明日がやって来る。
そう思っていたのに。
何時もと変わらない時間に家に帰るのが何となく寂しいなって思う事ってない?私はその日、何となく寂しいなって思って、何となく家路から道を外れてみた。小さい子供が知らない道に胸をときめかせる様な、そんな気持ちを胸に、こっちに行ってみよう、あっちに行ってみよう、何てゴールも決めずに歩いて歩いて、辿り着いた人の盛んな大通り。家の近くに、こんな現代的な場所があるなんて…何て浦◯太郎な感想を抱いて辺りをキョロキョロと見渡していれば、来た道数メートル横にある商店街の入り口に人が溢れていて、何だか騒がしかった。
「何だろう…!」
もうここまで来ると好奇心を擽られ過ぎた子供が形振り構わず突撃していく様な感覚だ。ドキドキと速まる胸の鼓動に自然と歩くスピードも速くなる。そうして辿り着いた人集り。しかし生憎身長が足りず、後ろでピョンピョン跳び跳ねてみても中心が見えない。
「くっ…!こうなったら…!」
す、すみません…!何て謝りながら野次馬根性で人の間を縫って何とか見れる位置まで進む。やっと中心が見えた時、その光景に思わず鈍器で頭を殴られた様な感覚に陥った。だって、そこにはーーーー
「馬鹿ヤロー!!止まれ!!止まれ!!!」
野次馬を先頭で必死に抑えていた大人を掻い潜り、1人の男の子が飛び出した。その男の子は背負っていたリュックを投げて精一杯腕を動かして、そして、泣きながら彼に言うんだ。
「「君が、助けを求める顔してた」って…」
被さる様に呟いた言葉に自分で言って形容し難い気持ちに支配される。だって、何で、それって、まさか…。ぐるぐると思考の迷路に嵌まる頭に頭痛がした。ポツリと頬を掠めた雨に、周囲は右手一本で天気が変わっちまった!!!と嬉しそうに叫んでいるのを横目に、フラフラとした足取りでその場を離れた。
あれからどうやって帰路に戻ってきたかわからない。気がつけば見慣れた住宅街で、閑散としたこの場所に安心して思わず息を吐いた。先程の騒がしさを切り離したかの様な静かな軒並みに、さっきのは白昼夢だったんだ、そうだ!うんうん!何て1人の世界に入っていたのがいけなかった。
「君はヒーローになれる」
「……あ、」
曲がり角。詳しく言えばT字路。左に曲がろうと顔を覗かして思わず声が出た。何と言うタイミングや。何て考える間もなく来た道をUターン。私は何も見てない。見てない。かの有名なNo.1ヒーロー、オールマイトといずっくんの大事な大事なシーンを壊したなんてそんな事……
「君……見たね?」
「うわぁあああ!!!!ごめんなさぁあああい!!!!」
ヌッと角から顔を出したオールマイトと泣きじゃくってしわしわの顔をしたいずっくんがこちらを見ていて、ああ、これは夢じゃなくて現実だと訴えてくる。
「ははっ……嘘だと信じたかった……」
どうやら私は、あの大好きな作品に迷いこんでいたらしい。
01
(な、なんかごめんね…期待外れで…)
(ちがっ!オールマイトに言った訳ではないです!すみません!)
20190625
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