君と僕のseasons
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「おはよう」
南雲くん。そう言って笑った杠におはよう。と返す。杠が転校してきてから二週間程が経ち、それ位経てばクラスに馴染むのも当然で。気がつけば初日に男子じゃないとブーイングを起こしていた女子達とも仲良くなっていた。
「明日からゴールデンウィークだね」
「そうだな」
「南雲くんは部活?」
「ああ。今年こそは絶対ェ勝ちてェからな」
勝てると良いね。グッと力こぶを作って笑う杠に勝つんだよ。と返事を返して笑う。俺自身、杠に興味なんて無かったのに、二週間も隣の席にいれば仲良くなるもので。
「おはよう、燈彩」
「あ、風介くん」
おはよう、今日は少し早いね。声をかけた人物に笑顔でそう言った杠に笑顔で返し、杠の後ろにいる俺に嫌ったらしい笑みを向けた風介にイラっときた。…まあ、クラスが違うのに毎日良く来るなと少し関心もするが。
この二人が仲良くなったそもそもの発端は、風介が辞書を俺の所に借りに来た事が始まりだ。他クラスにも関わらず何食わぬ顔で入ってきた風介は俺の机まで来て辞書を貸せ。と言ったのに呆れながらお前なぁ。と口から溢れた。そのやり取りを気になっていたのか、こちらをジーっと見ていた杠に風介が気づいて噂の転校生か。と色んな意味が含まれた一言を発したのに杠はただ笑って初めまして。と初日に見せた様な自己紹介を始めた。そこが気に入ったのかは謎だが、その日以来、風介は良く来る様になり、今ではお互いを下の名前で呼び合う程仲良くなったのに何故だかムカつくのだが、じゃあ南雲くんも燈彩って呼んで。と言われた時に上手く呼べず、未だに杠、南雲くんという呼び方だ。
「晴矢、今日こそ逃げるなよ」
「ハッ!誰がいつ逃げたんだよ」
売り言葉に買い言葉。今にも取っ組み合いの喧嘩が始まりそうな俺達を見てニコニコ笑っている杠に首を傾げる。
「楽しそうだな」
「うん。楽しいよ」
二人とも、仲良いね。そう言った杠になんでコイツと!と怒れば風介とハモったのに杠は堪えきれず吹き出した。
「あははは!」
「笑い事じゃねーっつうの」
「全くだ」
笑い疲れたのか、はーっ!と息を吐いて涙を拭う杠はバチバチと睨み合う俺達にでも、と言葉を続けた。
「こんなに楽しいのも、今日までだね」
「あ?……ああ、席替えか」
「また隣になれると良いね」
そう言ってまた笑った杠が眩しくて、そうだな。とそっけない態度を取ってしまった。やっちまった、と杠に謝ろうとしたのと同時にチャイムが鳴る。じゃあな、燈彩。またね、風介くん。ひらりと手を振って自分のクラスへ戻る風介を眺めながら俺も自分の席に座る。そしてやって来た担任の軽い挨拶とHR。教卓に並べられたくじを廊下側から一人ずつとっていく。少ししてから杠が取り、そしてその少し後に俺も取りに行く。
「ドキドキだね!」
「ああ」
引き終わったなー。クラスを見渡して言った担任の言葉と黒板に書かれた座席と数字を確認する。相変わらず後ろを取る俺は運がいい。チラリと杠を見れば、こちらを見ていて目が合った。
「な、なんだよ」
まさかこっちを見ていると思わなくて驚いた。バクバクと早まる心臓に気づかないフリをして言葉を発せば、何でもない。と杠はやっぱり笑った。
暮春
(あれ?)
(あ?…杠?)
(またお隣さんだね!)
20180903
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